日韓合同アイドルグループ・IZ*ONE(アイズワン)のメンバー仲の良さは、重要な意味を持つ

wezzy

2018/12/6 00:15


 日本から、宮脇咲良、矢吹奈子(ともにHKT48)、本田仁美(AKB48)が参加している日韓合同のアイドルグループ・IZ*ONE(アイズワン)が、12月5日放送の『2018FNS歌謡祭』(フジテレビ系)に出演する。IZ*ONEが日本の音楽番組で歌うのはこれが初めてとなる。

IZ*ONE は10月29日にデビューしたばかりだが、韓国ではデビューして早々『M COUNTDOWN』(Mnet)や『THE SHOW』(SBS MTV)など各局の音楽番組のランキングで1位を獲得。日本での正式なデビューはまだ未定にも関わらず、日本でもすでに話題を呼び始めている。

デビュー日に発売されたIZ*ONE の1stミニアルバム『COLOR*IZ』は、輸入盤にも関わらず11月12日付オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得した。デビュー作の輸入盤が1位を獲得するのは異例。TWICEですら、6枚目のミニアルバム『YES or YES』(2018年11月8日発売)まで、日本のオリコン週間アルバムランキングで輸入盤作品が1位になったことはなかった。IZ*ONEは日本ですでによく知られているメンバーが参加しているプロジェクトとはいえ、スタートダッシュの勢いが凄まじい。

とはいえ、前途洋々というわけでもない。48グループのメンバーが出向していることからわかる通り(IZ*ONEの活動期限は2021年4月まで。それまでの間48グループのメンバー3人はIZ*ONE専任となる)、IZ*ONEのプロデューサー陣のなかには秋元康氏の名前がある。BTSと秋元氏のコラボレーションが中止になった例が象徴的だが、秋元氏の政治姿勢は韓国国内でアレルギー反応を示されることがある。IZ*ONEの場合も、韓国国内で公共放送へのIZ*ONE出演を見送る署名運動が行われた。

結果的には、韓国の公共放送局であるKBSが視聴者から寄せられた出演規制要求を拒否し、IZ*ONEは無事にKBSの音楽番組『ミュージックバンク』に出演することができた。とはいえ、現在のIZ*ONEに秋元氏プロデュースの色はほとんどないが、今後日本での展開が本格的に始まれば秋元氏の色が強まる可能性も考えられ、その場合に韓国側でどういう反応が起こるかは未知数だ。

日本での活動でも懸念材料は多い。「徴用工」問題を始めとした政治における日韓関係の悪化や、BTSの炎上からメディアの間で急速に広まったK-POPアーティストへの忌避感が活動の妨げとなる可能性は十分に考えられる。
IZ*ONEメンバーの仲の良さには重要な意味がある
 そんな時代だからこそ、IZ*ONEの活動に期待がもたれる。IZ*ONEが日韓友好の象徴となる期待である。

IZ*ONEというグループが現在持つ大きな特徴として、メンバー間の仲の良さを押し出すところがある。V LIVE(K-POPアイドルがよく使う動画配信サイト)や、サイン会(韓国で行われているIZ*ONEのサイン会は撮影可能)では、メンバー同士がふざけ合う様子がしばしば見られる。

WIZ*ONE (IZ*ONEのファンの総称)はそうした姿を見ることに楽しみを見出し、「宮脇咲良とイ・チェヨン→チェクラ」「宮脇咲良とキム・イェナ→Tom & Jerry」「アン・ユジンとキム・ミンジュ→ミンジン」など、仲良しコンビにはすでに固有の愛称が付けられている。

『新大久保とK-POP』(毎日コミュニケーションズ)などの著作があるライターの鈴木妄想氏は自身のブログのなかで、IZ*ONEのそういった姿には、ただ「メンバー同士の仲が良い」以上に、とても大きい意味があると記している。

<アイドルグループ内で仲がいいなーってのはあるけど、ここまでイチャイチャされると爽快感がありますよね。そして、そこがグループのキモなのかも、とも思いました。
 なんせ日韓交えたメンバー構成だから、いろいろリスクもあるし、懸念もあるし、雑音も多いじゃないですか。
(中略)
 でも、IZ*ONEのメンバーがこうやって日々いちゃついて、お互いの言葉を覚えて、一緒に生活して活動して、お互いに笑い合っているっていうのは、何よりも説得力と重みのある事実なんじゃないかなーと思います。
 なんていうか、これは武器ですよ。韓国のアイドルグループに日本人メンバーがいる、という構図とはまた違うし。対等さと、双方へのリスペクトがある。
(中略)
 何があっても、どんな時も仲良くイチャイチャする、それがIZ*ONEの最大の武器であり、唯一の選択肢なのだと思います>
『PRODUCE 48』時代からあった日韓メンバーの友情
 この傾向は、グループが発足する以前からあったものだ。

IZ*ONEは、韓国で人気のオーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)のシーズン3として製作された『PRODUCE 48』(2018年6月15日~8月31日放送/Mnet)から生まれたグループ。

『PRODUCE 48』は、『PRODUCE 101』とAKB48グループがコラボして生まれた番組で、韓国側の練習生とAKB48グループからやって来たメンバーが混ざって合宿しながらオーディションを受ける様子が放送された。

番組では、先生からの強烈なダメ出しに涙したり、過酷な練習になんとかついていこうと必死になる姿(1日のレッスン時間が18時間以上の日もザラにあったという)が視聴者の感動を呼ぶ。

オーディションの過程では、グループにわかれて楽曲披露する審査もあった。グループで歌やダンスをする以上、メンバー同士で息を合わせる必要があるし、レッスンについていけないメンバーがいたら支えなければ、審査で高い評価を得ることができない。

言葉の壁があるなか、なんとかコミュニケーションをとろうと苦闘し、同じ目標に向かって努力する過程で、自然と韓国人メンバーと日本人メンバーの間に友情が芽生えていく。その過程は番組のハイライトとして大きく取り上げられた。

そういった友情エピソードのなかでも特にフォーカスされたのが、オーディションを勝ち抜いて現在はIZ*ONEの一員になっているカン・へウォンと、AKB48の佐藤美波(第2回発表で脱落)だ。

お互い言葉はあまり通じないが、厳しいレッスンを通じてどんどん仲を深めていく2人。第2回の合格メンバー発表の後、オーディションを勝ち進んだカン・へウォンがステージ上で<あなたと友だちになれて、一緒に過ごせて、本当に幸せだったよ>とスピーチし、佐藤美波が号泣するシーンは『PRODUCE 48』のなかでも名シーンのひとつとなっている。

2人にはいまでも交流があるようで、11月26日に公開された「Billboard Korea」のインタビュー動画では、カン・へウォンが佐藤美波に<お互いそれぞれの場所で活躍できている状況が幸せです。『PRODUCE 48』の思い出が時々恋しくなります。私はいつでもあなたのそばにいるからね。つらいときは連絡してね>とビデオメッセージを送るシーンもあった。

こういった『PRODUCE 48』の流れがIZ*ONEにも引き継がれている。
エンターテインメントには国同士のいがみ合いを乗り越える力がある
 「non-no」(集英社)2019年1月号でのインタビューでチャン・ウォニョンが<韓国人メンバーは日本語を、日本人メンバーは韓国語をできるだけ使って、話をしようと努力しています>と普段の生活を明かしているが、その様子は、リアリティ番組『IZ*ONE CHU』(Mnet)などでも垣間みることができる。

K-POPアイドルの一般的な習慣通り、IZ*ONEもメンバー同士で共同生活をしているが、リアリティ番組では、普段の生活でもお互いの言語を使い合って相互理解を深めようとする様子がしばしば見られる。

それは言語だけに限った話だけではなく、生活習慣や食文化といった点でもそうだ。『IZ*ONE CHU』には、韓国人メンバーがキンパの作り方や食べ方を教え、逆に日本人メンバーが梅干しや明太子の食べ方を教えたりするシーンがある。

メンバー同士がそのように相互理解していくことは、ファンにも必ず影響を与える。

IZ*ONEの活動を見ていけば、必然的に相手の国の言葉や文化に触れることになるし、また、メンバー同士がお互いにリスペクトし合って活動することは、両国のファン同士がリスペクトし合って交流することにもつながっていく。

それこそがエンターテインメントの持つ力でもある。

韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨氏は「ユリイカ」(青土社)2018年11月号のインタビューで、<いまK-POPを聴いている小中学生が急激に増えています。その子たちは大人たちが作り上げた壁に毒されることなく、すごく純粋な気持ちで韓国を見ることができている。エンターテインメントというわかりやすい切り口から他国に接するのはすごく大事なこと>と語っている。

政治的な問題により双方の国民のいがみ合いが日増しに強くなるキナ臭い時代だからこそ、市井の人々がお互いにリスペクトを送り合うような関係をつくるきっかけとして、IZ*ONEはとても重要な役割を担っていると思うのである。

(倉野尾 実)

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