LAMP IN TERREN、“言いたいことを落とし込んだ”復活アルバム『The Naked Blues』を語る

OKMusic

2018/12/5 19:00

LAMP IN TERRENの4thアルバム『The Naked Blues』が素晴らしい。2018年は松本 大(Vo)の声帯ポリープ手術に伴って4月に活動を一時休止し、8月19日の日比谷野外大音楽堂にて完全復活を遂げた彼ら。今作に託した想いや自身の変化について松本に話を訊いた。

自分を掘り下げた先にしか
唯一無二なものは見つからない

ーー活動休止を経て、復活となった8月19日の日比谷野外大音楽堂公演を振り返って、どんな感想を持っていますか?
「正直な話をすると、活動再開ライヴということでいろいろ緊張する要因も重なっていて…大切な日なのに体調も悪かったんですよ。副鼻腔炎で少し鼻声だったし、悔しさが残るライヴでした。でも野音のライヴ以降はネジが2、3本飛んですごく良い状態になった気がします。結果的にあの日はあって良かったなと」

ーー最初は緊張してても、ライヴのある瞬間に吹っ切れたと言う人はいますけど、そういう状態にもならなかったと?
「後半になるにつれて落ちて行くというか…」

ーーあっ、そうなんですか。
「自分の殻を破ろうとしてもがいている感じですね。もともと野音でのライヴの出来が悪かったら、バンドを辞めようとも思っていて。野音に向けて頑張ろうと思っていた矢先、年明けにポリープが見つかり、自分の目標がどんどん邪魔されていく…これで野音が駄目だったから辞めるという判断はダサいかなと。だから、当日は自分の覚悟を決める最終工程みたいな時間でした」

ーーというのは?
「今回のアルバム『The Naked Blues』にも通じますけど、僕は今まで自分以外の何かになるのに必死で、ありのままの自分をないがしろにして生きてきたから。よく大人から“裸になれ”と言われてきたけど、心からそうなりたいと願うようになったんですよ。結局、自分を掘り下げた先にしか唯一無二なものは見つからない。そうなるためにも野音の時間は必要だった気がしますね」

ーーライヴに対する考えやスタンスも変わりました?
「“考えない”ってことですね。今は殻を破って、感覚的には1歳みたいな気持ちなんですよ。僕は思考を重ねるにつれて主観になっちゃって、暗号化したような歌詞になっていたんですけど、自分本位にならないためにも、会話するぐらいの気持ちで曲を書いてみようと。僕は自分の人生と音楽が直結しているし、生き様がそのまま音になってる感覚があるんで。そのドロドロした生き様をぶつけるしかないなと思って、今作を作るにあたって主軸に置いていたのは、“自分を疑わない”“他者と比較しない”。他人と意識すると、僕は弱くなっちゃうので。でもしょうもない自分をちゃんと信じて届けたら、伝わるんじゃないかと」

ーー今作は“The Naked Blues”というタイトル通り、丸裸でリアルなエモーションが詰まってますよね。
「その分、不安も大きかったですね。周りはいいアルバムができたってめっちゃ喜んでくれてるけど、僕は自分のことすぎて分からなくて(笑)。今回は言いたいことをほとんど曲の中に落とし込んでますからね。語るよりも、語られる作品になったらいいなと」

ーー1曲目「I aroused」からバンドの覚悟が滲み出てますよね。《眩しさに潰されずに 選んだ道を行けばいい》の歌詞にはグッと来ました。
「この曲は今作の言いたいことを担ってますからね。“僕から言いたいことはこれだけです、以上!”みたいな(笑)」

ーーイントロの雰囲気はRadioheadのアルバム『Kid A』を彷彿させますね。
「そうなんですよ! このピアノの始まりと音像は知ってる人は気付くと思ったし、好きな音楽を盛り込んでみたいなと思った時に「Everythin in Its Right Place」(『Kid A』収録曲)が持ってる音像感と自分の気持ちが一致したんです」

来てくれたお客さんとしか
作れないものがライヴだと思ってる

ーー歌詞も赤裸々ですが、音楽も自分の好きなものに素直になろうと?
「そうですね。めっちゃUKの魂で作りましたからね。僕が影響を受けたUKの総決算みたいな。自分で方向性は決めていたけど、それをメンバーとは共有してなくて。それぞれのニュアンスでやってくれるから、俺らっぽくなるのかなと思います」

ーー「オーバーフロー」の勇壮なメロディーもカッコ良くて、個人的に今作の中でも大好きな楽曲です。
「2~3年前にあった曲なんですけど、ポリープ手術でお休みをしている間に“音楽をやりたい”という気持ちがオーバーフロー(=溢れる)したんです。なぜ音楽をやってるのかを考えた結果、いい声だと言われたり、僕らの曲を聴いてくれているのが嬉しく感じて。聴いてくれる人の何かを変えている…それを含めて、音を鳴らすことが楽しいし、“もっと観てくれ”“もっと愛してくれ”と思ったから、それを歌詞に書きました」

ーー《もういっそフルボリュームで叫ぶよ 君に愛されたい!》というド直球の歌詞ですもんね。リード曲の「BABY STEP」はどのような想いから?
「僕の声が持ってる良さは何だろうと思ったんです。ずっと「緑閃光」という曲が評価されていて、それが何故なのか自分では分からなかったんですけど、今考えるとどこまでも響き渡るメロディーの可能性を持った曲だと感じて。メジャーデビュー以降、「緑閃光」だけが評価されるのが嫌で「地球儀」(3rdアルバム『fantasia』収録曲)「innocence」(1stシングル「innocence / キャラバン」・3rdアルバム『fantasia』収録曲)みたいな曲を作ってみたけど、この曲で真っ向から「緑閃光」に対峙しようと」

ーーなぜこのタイミングでそういう気持ちになったんですか?
「自分が裸になるためにいろんな関門が設けられていて。そのうちのひとつが自分が向き合わなかったものと対峙しなきゃいけないなと思ったんです」

ーーそれで「BABY STEP」ができて、何が見えてきました?
「“俺は天才かもしれん”って(笑)。誰しもが天才だと思うんですよ。誰しもが制御しているものを壊すと突出した部分があると思うし、それが素晴らしい自分に向かうための第一歩になるから。今まではありのままの自分を否定して隠していたから、自信が持てなかったんでしょうね。でも、ありのままの自分を心から認めることができた作品を作ることができて、今は根拠のない自信があるんです。純粋な欲望は尊いものだし、それは隠さなくてもいいし。でも隠さなきゃいけない世の中なら、俺が全部見せてやろうと。“ありのままでいることは美しいんだよ”と思いながら制作しました」

ーー「BABY STEP」を聴いて、歌詞もそうですけど、松本さんの歌声からもっともブルースを感じました。ご自身が思うブルースはどういうものだと思います?
「浄化ですかね。僕らはウェ~イ!っていうバンドじゃないので(笑)、日々の憂鬱、悲しさや辛さが音楽によって洗い流されることも楽しいと言っていいかなって。それが自分にとってのブルースなんですよ。《僕が僕を好きになった瞬間から 世界は変わるのだから》の歌詞とかは、あざとい表現だなと思って昔の自分だったらそれを直してましたからね。今は、あざといかもしれないけどそれを書こうと」

ーーいろんな意味で振り切った作品になりましたね。では、2月16日の福岡BEAT STATIONから3月16日の恵比寿LIQUIDROOM公演まで続く今作のレコ発ツアーはどんな気持ちで臨もうと思ってます?
「もともと先にツアー名が“BABY STEP”に決まってたんですよ。去年は精神的に生まれ変わる1年だったけど、今年はポリープがあり、身体が生まれ変わった1年なので。“BABY STEP”は“小さいけど、偉大なる一歩”みたいな意味があるので、今話したことをそのままツアーで表現できたらいいなと思いますね。ライヴはお客さんと一緒に作るものだから、バンドメンバーが増えるような感覚があるんですよ。やっぱり来てくれたお客さんとしか作れないものがライヴだと思うから、一本一本違う内容になると思います。だから、今作をしっかり聴き込んでツアーに来てほしいです。そこに自分の気持ちを乗せて、僕らと一緒にライヴを作りましょう!」

取材:荒金良介

【定期公演『SEARCH』詳細】

定期公演『SEARCH #009 - AFTER CHRISTMAS NIGHT-』
12月26日(水) 東京・渋谷Star lounge

<2019年>
定期公演『SEARCH #010』
1月26日(土) 東京・渋谷Star lounge

定期公演『SEARCH #011』
2月26日(火) 東京・渋谷Star lounge

定期公演『SEARCH #012』
3月26日(火) 東京・渋谷Star lounge

アルバム『The Naked Blues』

2018年12月5日発売

\n【初回盤】(CD+DVD)
AZZS-80/¥3,800(税別)
<収録曲>
■CD
01.I aroused
02.New Clothes
03.オーバーフロー
04.BABY STEP
05.花と詩人
06.凡人ダグ
07.亡霊と影
08.Dreams
09. Beautiful
10.おまじない
11.Water Lily
12.月のこどもたち
■DVD ※初回盤のみ
STORIES OF “The Naked Blues" Document & Interview

\n【通常盤】(CD)
AZCS-1073/¥2,900(税別)

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