Jリーグはソシャゲ課金から学ぶべし!? テレ東『FOOT×BRAIN』ホリエモン回が面白すぎ

日刊サイゾー

2018/12/5 17:00


「サッカーはこれから頑張んないと、ヤバイなと思いましたね」

多彩なジャンルの知を楽しみながら、サッカーの可能性を広げるテレビ東京の『FOOT×BRAIN』。2011年の放送開始から8年目の今年、春に放送日時の変更(日曜昼→土曜深夜へ)、夏には皆藤愛子卒業&大幅なセットチェンジという2度にわたるリニューアルを経て、最近やたらと面白い回が続く。その象徴が12月2日放送の堀江貴文ゲスト回「ホリエモン登場!『サッカー界はやばい』ズバリ物申す!」だった。

面白かった理由は2つ。ひとつは単純に、堀江の知見がサッカーやスポーツビジネスを知る上で意義深いものだったこと。そしてもうひとつが、ここ最近の『FOOT×BRAIN』から感じる“継続性”だ。

15年にJリーグのアドバイザーに就任した堀江。自らの役割を「極端なことを言う係」「(試合以外の)周りの何かを見るのが仕事」と評したが、なかなかどうして、今回の番組では極端どころか至極真っ当で、うなずける話が多かった。

たとえば、プロスポーツにとって積年の課題ともいえる「人気が先か、強化が先か」論について。堀江は、「みんなチーム強化をすれば人気が出ると思ってるんだけど、間違いなく逆。強化より先に人気を出さないと。弱くてもファンが来てくれるチーム作り、環境作りをしないと」と断言する。その実例として挙げていたのがプロ野球だ。

「人気が出たチームは絶対強くなる。野球だってそうじゃないですか。広島カープって、10年前15年前って万年最下位みたいなチームだったのが、いまや3年連続で優勝して。なんで強くなったかといえば、マツダスタジアムでしかないと思う」

「あの雰囲気がまたいいんですよ。夏場にちょっと風が吹いてくるスタジアムにいることが価値。そうすれば、あとはいつの間にか強くなるんですよ」

サッカーの話をするはずが、野球について語る堀江。04年、球界再編問題での新球団設立断念によって球界と袂を分かった男が、プロ野球をしみじみと語る姿がなんとも味わい深かった。

このほかにも、

・社交場としてのスタジアムの可能性

・ジャパネットたかた(V・ファーレン長崎)はいかにすごいか

・ピークシフト対策(渋滞を防ぐ)としてのスタジアムグルメ

・ピークシフト対策としてスタジアムにスーパー銭湯を作ろう

・競技人口減少に対抗するための外国人枠の撤廃

などなど、さまざまな実例や各クラブの取り組み、自らのアイデアを紹介していく。

「彼氏に連れてこられた彼女が『また行こう』ってなるような仕掛けをしてるかな?」と疑問を投げかけ、「1回来た客には2回目の無料チケットを渡せばいい」「3回目は友達連れてきたらキャッシュバックとか」と、ソシャゲ課金から学ぶべきと説いてみせる。

ちなみに、堀江のJリーグアドバイザーとしての報酬は月額3万円。「これだけの情報で3万円。どんだけコスパがいいんだよ」と番組MCの勝村政信は驚いてみせたが、この日の番組自体が知的な刺激に満ちたコスパのいい30分間だった。

そして、このホリエモン回が意義深かったのが、ここ最近の『FOOT×BRAIN』との継続性の部分。「この話、ちょっと前にも別なゲストが言っていたことと通ずるな」とリンクする話が多かったことだ。

たとえば、「ピークシフト対策としてスタジアムにスーパー銭湯を作ろう」という堀江の提言は、11月に放送した「J1長崎社長・高田明が語った驚きの地域再生プラン」回において、V・ファーレン長崎の高田社長(元ジャパネットたかた社長)が明かした、ホテル・スタジアム構想と同じだ。

この点は番組内で勝村も言及。すると堀江は「ジャパネットはすごいんですよ」と熱く語ってみせた。こうした名物社長同士の横のつながりも楽しい。

また、堀江が提言したソシャゲ的チケット展開は、前週11月25日放送の「いま名古屋が熱い!一歩先のグランパスの集客戦略とは!?」で紹介されていた「3試合観戦で1試合無料」というチケット戦略と重なる。事実、今季の名古屋は常に降格圏争いに身を置く(順位的には)苦しいシーズンだったが、観客動員数ではクラブ史上最多を更新。堀江が語った「強化より先に人気を出さないと」を地で行く形となっていた。

こうした“継続性”は、「また同じ話か」ではなく、「立場が違っても目指すものは同じになるのか」という気づきになるし、次はどんな話が聞けるのか? と、翌週以降、またこの番組を見るモチベーションにもなる。

堀江がこの日語ったのは、ファンをいかに常連化させるか、という問題提起であり、アイデア。その意味で最近の『FOOT×BRAIN』はリピーター、つまり慣れ親しんだ視聴者にうれしい作りになっているのだ。

こうした“経営視点のJリーグ”は『FOOT×BRAIN』で定期的に取り上げてきた話題ではあるが、今夏のリニューアル以降、明らかに多くなった印象を受ける。以前はもっと、戦術の話や日本代表についての話題、他競技から学ぼう、といったテーマが多かった。

もちろん、それらもサッカーファンとしては知りたい話題ではあるが、極論すればこの番組でなくても触れる機会はある。だが、小難しい話ではなく、知的にサッカーを楽しめるコンテンツはなかなか少ない。だからこそ引き続き、『FOOT×BRAIN』らしさ、テレビ東京らしさ、深夜らしさを意識した番組作りで、今まで以上にサッカーファンの知的好奇心を広げてほしいのだ。

この日の番組終了後、MC勝村政信が番組公式サイトでこんなことを書いていた。

「サッカーでも、たくさんのオプションを持っている選手、チームは強い。死ぬほどトレーニングを積んだ人にしか、オプションを作ることができない」

日本サッカーの発展のためには、『FOOT×BRAIN』というオプションが必要だ、と思わせる番組作りを引き続き期待したい。

(文=オグマナオト)

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