浦沢直樹の大阪万博誘致批判発言「万博という発想、古くさい」があらためて注目! 膨れ上がる予算、儲かるのは利権者だけ

リテラ

2018/12/4 15:20


 11月24日(日本時間)に、2025年の万博開催地が大阪に決まった。

本サイトでは先日、大阪万博が日本維新の会と安倍政権が押し進めるカジノ建設に血税をつぎこむための隠れ蓑になってしまっている構図を報じたが(https://lite-ra.com/2018/11/post-4393.html)、そもそもそれ以前に、万博に関しては、1200億円~1300億円という会場建設費に、800億円の運営費、それとは別に大阪市が負担する700億以上のインフラ整備など、費用についても懸念が広がっており、とてもではないが手放しで喜べるような代物ではない。

そんななか、『20世紀少年』(小学館)のストーリーに大阪万博を登場させたことでもおなじみの、漫画家の浦沢直樹氏が過去に行った発言がインターネット上で話題となっている。

浦沢直樹氏は、2017年3月27日付朝日新聞に掲載された「大阪万博誘致」をテーマにしたインタビューで、少年時代に大阪万博へ連れて行ってもらえなかったことが心残りだとの思い出を明かしつつも、このように語っていた。

「僕が描いた「20世紀少年」は、10分の1くらいが自叙伝です。この漫画で、僕は、万博に行けなかったことで相変わらず夢を抱いている自分を自虐的に笑っているんです。あの万博は「人類の進歩と調和」を指し示したけど、進歩を夢見るってことが今となっては切ない感じがしますよね。
 もう1回万博をやろうとしているのが全く理解できない。万博のようなことをしないと、町おこしができないという発想なら古くさいですね。それに、今はネットでワンクリックすれば世界に「行ける」。感覚が変わっちゃってます」

万博のようなことをしないと、町おこしができないという発想なら古くさい──まさにその通りだが、松井一郎大阪府知事や安倍政権の頭にはそもそも、1970年の大阪万博のようなテーマ設定などなく、こういった巨大イベントをきっかけにしていかに金を引き出して、一部の利権者に利益をもたらすかといったことしかないのは明白だ。

11月27日には、早速その化けの皮が剥がれる出来事があった。この日、松井知事は万博に関する関係省庁連絡会議のため首相官邸を訪れたのだが、その場でこんな発言があったのだ。

「世界80億人が参加できる体制を作りたい、と世界各国で(の誘致活動で)風呂敷を広げすぎるぐらい広げてきたので、日本の総力を挙げていただかなければ実現不可能だ」(2018年11月27日付毎日新聞)

であれば、いますぐに返上すべきだろう。東京オリンピック・パラリンピックで引き起こされた問題が、大阪でまた繰り返されようとしている。

ご存知の通り、2020年の東京オリンピックはもともと「コンパクト五輪」を掲げて誘致を行ったが、開催が決まると予算は雪だるま式に膨れ上がり、もともと7000億円と謳っていた支出は3兆円にまで到達するのではないかとの試算が出ている。

先の松井知事の発言を見る限り、大阪万博も同じ轍を踏む可能性は否定できない。

●万博やオリンピックで潤うのは、権力者と一部の利権者だけ

事実、大阪万博も早くもその杜撰さを指摘され始めている。そのひとつが、想定来場者の数だ。大阪府は万博の想定入場者数を2800万人と見込んでいるが、これは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの年間来場者数(1460万人)をはるかに上回り、東京ディズニーリゾートの年間来場者数(3010万人)にも近い数字だ。大阪はこの数字を185日間しかない万博期間で達成できるとしている。2005年の「愛・地球博」は2204万人の来場者があったが、それから20年が経ち、ただでさえ万博は凋落傾向にあるのに、「愛・地球博」以上の成果を得られるとする試算に疑問の声が起きている(2018年11月29日付ニュースサイト「日刊ゲンダイ」)。

これは氷山の一角でしかなく、今後、開催時期が近づいてくれば、そういった杜撰さはどんどん浮き彫りになってくるだろう。

大規模イベント誘致への忌避感は国民の間で確実に広まりつつある。

たとえば、札幌市は現在、2030年の冬季オリンピック誘致を続けているが、ここに来て初めて、札幌市民を対象に行った世論調査で「反対」(53%)が「賛成」(46%)を上回った(2018年10月31日付北海道新聞)。

「経済活性」の甘言をお題目にして大規模イベントを呼び込んだところで、結局は、権力者と癒着した一部の利権をもつ人々以外には、経済効果などないことに皆が気づき始めたのである。

自分たちの利益のために不要な国際イベントを誘致し、血税を貪って金儲けしている人間は誰か──しっかりと見届けておいたほうがいいだろう。
(編集部)

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