加速する北方領土交渉に野党の反応は… 進む「二島返還論」での解決を懸念

しらべぇ

2018/12/3 09:00


安倍晋三・首相が2019年6月28日、29日に行われる大阪G20サミットでロシアのプーチン大統領と会談し、領土問題の解決に向けた大幅前進を目指している。これに対して、与野党はどう反応したのだろうか。

■国民民主党の玉木雄一郎代表は理解




理解を示すのが玉木雄一郎「国民民主党」代表だ。11月16日に玉木氏は毎日新聞「政治プレミア」に『北方領土「2島先行」引き渡し 国後・択捉は段階的返還』と題して寄稿し、次のように論じた。

「今回の日露首脳会談で、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が1956年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速すると合意したことは、これまで私が主張してきたことにも沿ったものだ。首相も相当踏み込んだとの印象だ。

10月の代表質問では、首相が日ソ共同宣言は両国の議会で承認された唯一の公的な文書だと認めた。日露首脳会談での合意につながるメッセージだったのかとも思っている。

この間の私と首相のやりとりが、今回の首相の決断に影響したところがあったとすれば、私にも引き続きこの問題をチェックしていく責任がある」

「10月の代表質問では『日ソ共同宣言を土台にして』という表現をした。共同宣言そのものならば歯舞群島、色丹島を日本に引き渡すけれども、国後島と 択捉島については南千島の一つとしてサンフランシスコ講和条約に基づきロシアに帰属するということが確定してしまう。

ただこれでは、今までの『四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶ』という政府の方針とは明らかに異なる。国後島、択捉島を含めて帰属の問題を解決しようというところまではロシア側も認めている。我々としても、国後島、択捉島について、ゼロ回答は受け入れられない。

私が『土台』という言葉を使ったのは、100%日ソ共同宣言そのままではないという意味だ。ただし、現実的な選択肢として考えれば歯舞群島、色丹島の引き渡しがまず実現すべき課題だ。その後は交渉だ。2島の引き渡しの後、残る2島の帰属について交渉を継続していく。

領土問題には100点満点はない。どこかで折り合うならば、まずは日ソ共同宣言を土台にして歯舞、色丹の2島は確実に引き渡しを求めつつ、プラスアルファを求める、次の段階に交渉の局面を移していくべきだ。

国後島、択捉島での日本の関与を、共同利用や共同活用も含めて、どれだけ勝ち取れるかがポイントになる。

こうした手順が一番、現実的だ。先日、北海道根室市を訪問して、元島民から話を聞いた。そのなかでとにかく一歩でも二歩でも進んでほしいという当事者の強い思いを知った。

そして漁協で北の海の豊かな海産物を見て、2島の引き渡しが実現すれば根室市をはじめとした隣接地域の経済活性化にも大きく寄与すると感じた」

「鈴木宗男さんは非常にリアリスティックな政治家で、『2島+アルファ』で最終解決をはかると主張している。しかし日本は4島ということでやってきた。『先行返還』と言わず、国後島、択捉島の帰属問題についてけりをつけてしまう構想だ。

ロシアは納得するだろうが、そこまで割り切っていいのか懸念も残る。例えば歯舞群島、色丹島の引き渡しの時点では平和条約は結ばず、中間的な友好善隣条約というようなものを結ぶ。

国後島、択捉島については引き続き協議し、完全な平和条約については将来の課題にするというやり方もあるのではないか」

つまり、玉木代表は安倍首相の腹案「二島返還プラスアルファ」という路線を支持しているわけだ。

■共産党は猛反発、千島列島全体の返還を要求




日本共産党の志位和夫委員長は11月15日、国会内で記者会見し、安倍晋三首相が14日のシンガポールでのロシアのプーチン大統領との会談について、「少なくとも2点は強調しておきたい」として、日ロ領土問題に対する日本共産党の基本的立場を述べた。

第一は、「歯舞群島と色丹島は北海道の一部なので『2島先行返還』はありうることだが、その場合は、中間的な条約と結びつけて処理することとし、平和条約は領土問題が最終的な解決に至った段階で締結すべきだ」ということ。

志位氏は、「2島返還で平和条約を結ぶことは絶対にやってはならない。ここが肝心なところだ。平和条約は結んだら国境線の画定となる。それ以上の領土返還交渉の道は閉ざされる。歴代日本政府の立場の自己否定となり、ロシア側の主張への全面屈服になる」と強調した。

第二に、志位氏は、60年以上にわたり日ロ領土問題が前進しなかったのは、「国後島・択捉島は千島にあらず。だから返還せよ」という日本政府の主張が「歴史的事実に照らしても国際法的にも通用しない主張だったことにある」と指摘。

「このことを正面から認め、領土交渉の方針の抜本的な再検討をすべき」と強調した。

そして、「日ロ領土問題の根本は、『領土不拡大』という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじって、ヤルタ協定で千島列島の引き渡しを決め、それに拘束されてサンフランシスコ平和条約で千島列島の放棄を宣言したことにある。この戦後処理の不公正をただし、全千島列島の返還を正面から求める交渉を行ってこそ、解決の道が開かれる」と語った。
(日本共産党公式サイトより引用)
共産党は図にあるように、カムチャッカ半島の下にある占守島から国後島までにいたる北千島・南千島からなる千島列島すべてをロシアは日本に返還すべきだという立場をとっている。歯舞群島と色丹島は北海道の一部という立場だ。

■立憲民主党は「四島一括は譲れない」




筆者は11月29日、立憲民主党の枝野幸男代表の定例会見で「北方領土交渉をどのように進めるべきと考えるか」と見解を求めた。

「北方四島の問題については相手のある外交交渉にならざるを得ない側面があるのは否定できない。したがって、どういう手順で進めるべきなのかということについては相手があることなので一概に断定的に『これでないといけない』と言うつもりはない。

大事なのは、四島とも歴史的にも法的にもわが国固有の領土であるということ。この線だけは絶対に譲ってはならない。いずれは四島すべて返していただくということが常に前提にありながらどういうプロセスを踏んでいくかという問題だと思っている」

と答えた。

■小沢一郎代表「歯舞群島と色丹島は陸地合計の7%」




11月27日に自由党の定例会見で、筆者は山本太郎&小沢一郎・両共同代表に、北方領土問題への立場についてただした。まず、小沢代表の回答は…

「北方領土は、戦争終了後にソ連軍が不法占拠したところ。ソ連の領土として認めることは、我が国はもちろんですが、国際法的にもあり得ない。

ですから2島返還というのは、以前の日ソ宣言(日ソ共同宣言1956年12月12日発効)に基づいての話なんだけども、4島を返すという前提の中でまずは2島を、ということなら、話は分かりますけれども、2島だけで終わりだといけない。

4島の中のたしか国土で言うと7%だったな。(色丹島と歯舞群島の陸地の合計)面積で言うとね。

僕はそれもプーチンは返すことはないだろうと思いますけれども、まあ返すということであったならば、という仮定の話で言って、今のように4島を目標にしてまずは2島という話でない限り、こんなことは交渉になり得ない」


山本代表は以下のように応えた。

「2島返還みたいな話は昔にもあったわけですよね。ことごとく潰されてきたことの辻褄が合わないって部分があります。

当然このまま2島返還ってことになって、今(小沢代表が)言われたような一桁台ぐらいの地域だけを返されて、しかも主権がないような状態というのは、もう意味が分からない」

野党でも北方領土問題の解決方法は分かれている。はたして、解決を急ぐ安倍首相のくびきになれるのか?

・合わせて読みたい→「この世界は真っ平らだ!」現代に語り継がれる地球平面説

(取材・文/しらべぇ編集部・及川健二

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