松田龍平の涙が共感と感動を与えた『獣になれない私たち』

クランクイン!

2018/12/2 14:00

 俳優の松田龍平が、女優の新垣結衣と共にダブル主演を務めるドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系/毎週水曜22時)。これまでは新垣演じるヒロイン・晶と田中圭扮する京谷の恋愛模様が物語の中心になっていたが、28日放送の第8話では、松田が演じる恒星の人物像にフォーカス。クライマックスで恒星が見せた涙は、見る者に大きな感動と共感を与えた。

【写真】松田龍平が抜群の演技を見せた『獣になれない私たち』第8話フォトギャラリー

第8話。恒星(松田)は、呉羽(菊地凛子)の夫・カイジの会社の上場を手伝うことを決めるが、打ち合わせを何回もキャンセルされていた。さらに恒星の元に、行方不明の兄・陽太(安井順平)が警察に捕まったという連絡が入る。一方、晶(新垣)が務める会社の面接に現れたのは京谷(田中)の元カノ・朱里(黒木華)。晶と朱里が知り合いだと知った九十九(山内圭哉)は採用を決めるが…。

これまで断片的に描かれてきた恒星と兄の関係。恒星自身がセリフの中で、兄のことを晶に似ていると指摘しながら“お人好しの優等生”と、否定的なニュアンスで表現してきた。第8話は、飄々としながら毒舌を吐く恒星と、真逆の兄を対比させることで、恒星の人物像を深く掘り下げるという物語に。幼い頃、2人で遊んでいたボードゲームをキーアイテムに、成長するに従って、お互いに関係を避け、理解し合おうとしてこなかった兄弟間の断絶が見事に表現されていた。

ドラマの後半では恒星と兄が道端で口論をする展開に。小学校から高校、そして社会人へ成長するに従い、お互いの中に集積されたわだかまりをストレートに伝え合うエモーショナルな展開は、ケンカという方法ながらも、懸命にお互いを理解し合おうとする姿と、松田の感情を全面に出した演技も相まって感動的なシーンとなった。

もう一点、特筆すべきは、恒星と兄の背景に横たわる東日本大震災と福島第一原発事故だ。彼らの福島の実家は避難指示区域となり人が住めない状態に。そして兄は地震と原発事故の影響で父親から継いだ工場を倒産させてしまった。兄が劇中で叫ぶ「あんなことさえなきゃ!」の言葉や、恒星の「本当に苦しいのは敵が誰かわからないこと」というつぶやきは、未曾有(みぞう)の災害と事故を目の当たりにしてきた私たちに一層重く響く。物語の終盤、福島の実家が解体された写真を見た恒星が必死に涙を堪える姿に、やり場のない怒りと人生の無常を受け入れようと苦悩する人間の姿を見せつけられた。(文:スズキヒロシ)

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