【漢字トリビア】「顔」の成り立ち物語

TOKYO FM+

2018/12/2 11:00

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「顔」。師走に入って、この一年を振り返ることが多くなってきました。今年、巷で話題になった顔、心に深く刻まれた顔。さまざまな顔を思い出しながらひもといてみたい漢字です。



「顔」は「彦根城」の「彦」という字の右側に、「おおがい」または書き順から「一ノ貝」と呼ばれる部首(頁)を書きます。
これは人間の頭や顔に関する漢字に使われる部首ですが、この場合は、神に祈りを捧げる人を横から見た様子を意味します。
一方、向かって左側の「彦」を旧字体(彥)で見ると、「文章」の「文」の下に「がんだれ(厂)」を書き、その中にカタカナの「ノ」に似た斜めの線を三本ひきます。
「文」は古代中国・殷の時代の風習で、朱色などで一時的にからだに描いた入れ墨のこと。
ここでの「がんだれ」はその形から、秀でた額を表しています。
その額に描かれた朱の入れ墨は、邪悪な霊が入り込まないように記したまじないのようなもの。
三本の斜め線は「さんづくり(彡)」と呼ばれ、色や形がそろっていることを表現しています。
そこから「彦」という字は、美しい表情をした男性を意味するようになりました。

今からおよそ三千年前のこと。
少年たちは、日がな一日、里山を駆け巡って遊びます。
名も知らぬ果実を口にして喉を潤し、木の枝やつるを組み合わせて道具を作る。
小さな動物や昆虫たちの命の営みを眺め、子どもを守ろうとする獣たちの鋭いまなざしと対峙する。
自然の神秘や美しさに触れながら、学びを深める子どもたち。
やがて人としての領分をわきまえることを知り、自分の力で立ち、その力を誰かのためにも使うことに生きがいを見出すようになるのです。
今、少年の日々に別れを告げ、大人への一歩を踏み出そうとする若者たち。
神妙な表情をした彼らの額には、一人前の男としての門出を祝い、邪悪なものから身を守るための色鮮やかな文様が刻まれています。

ではここで、もう一度「顔」という字を感じてみてください。

「顔」という漢字が表しているのは、自分と、そして世界と真剣に向き合う人の厳かな表情。
思わず応援したくなるような「顔」と、今年はいくつ出会えたでしょう。
そもそも自分自身は、そんな「顔」をすることがあったかしら。
「顔」という字と自分の「顔」を、ふと、見比べてしまいます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『絵で読む漢字のなりたち 白川静文字学への扉』(金子都美絵/絵・添え書き 白川静/文字解説 太郎次郎社エディタス)

12月8日(土)の放送では「拭」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20~7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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