女らしさ、男らしさ…窮屈な世にNO!と言うおしゃれなレディース集団

女子SPA!

2018/12/2 08:45



「フェミニズム」と聞くと、どんなイメージが沸くでしょうか。ちょっとした発言や表現物に「女性差別だ!」と文句をつける面倒くさい人たち? そんな印象を持っている人も多そうです。

ところが、とてもポップな形でフェミニズムを訴えようとしている「NEW ERA Ladies(ニューエラレディース)」というユニットがあります。

メンバーである姉の宮越里子さん(グラフィックデザイナー)と、妹のsuper-KIKIさん(イラストレーター/アーティスト)に話を聞きました。

◆ZINEやファッションで発信中

彼女たちは、ZINEと呼ばれる自主制作で作る冊子『NEW ERA Ladies(ニューエラレディース)』を発行したり、super-KIKIさんがデザインするファッションでメッセージを発信中。2人が着ている服も、作品の一部です。

前回の記事で書いたように、活動を始めたきっかけは、里子さんがクラブで痴漢に遭い、被害者なのに非難がましい声をかけられたことでした。

インタビューの前に、アパレル作品に込められたメッセージを紹介しましょう。

●STOP GENDERING ME

ジェンダリングというのはKIKIさんの友人が作った造語。トップスに記された「STOP GENDERING ME」は、「ジェンダー(社会的に作られる性別)を勝手に決めるな」というような意味です。

「女らしくないとか」「男らしくしろ」といったレッテルを貼るなと訴えています。それに性自認と性別は、必ずしも同じではありません。性は男女二つだけで語れるものでもないし、自分の性別をまだ決めていない人に、性別の「らしさ」を押しつけるのは、どれだけ暴力的でしょうか。

●I’m over trying to find the “adorable” way to state my opinion and still be likable! F@@k that.

<愛らしく自分の意見を述べる方法を探したり、いい子で居続けるのはやめた。そんなのくそ食らえ!>

ジェニファー・ローレンスというハリウッド女優の言葉です。

男性と同じ方法で女性が意見を述べると「攻撃的だ」と言われてしまう。だから相手に好かれるように柔らかい言い方をしたり、相手に聞いてもらえるような言い方をしてきたけれど、どうしてこんなことをしなければいけないんだろう? 男性たちはこんなプレッシャーを受けることはないのに。

そう疑問に感じた彼女は「そんなのやめた!」と言い放ちました。この言葉は多くのハリウッド女優たちの心に響き、絶賛されたのです。

super-KIKIさんの作品は、イベントなどの際に出品しているそう。詳しくはインスタグラム@super__kikiで情報を発信しています。

◆女も男も「こうあるべき」に縛られて苦しんでる

――フェミニズムというと、女の力が強くなって男が損をする…というイメージを持って毛嫌いする男性もいますよね。お2人の考えるフェミニズムとは?

里子「私たちは前提として女性の権利を拡張したり、性別は男女だけなのかを探り、最終的には『すべての人の人権の平等や、差異を考え、実践するのがフェミニズム』だと考えています。

まず、なぜ『女はこうあるべき』『男はこうあるべき』という役割に縛り付けられているのか。フェミニズムを学んでいくと分かるのですが、それは権力を持った一部の男性たちにとって、そういった社会である方が都合がいいからです。その構造が女性の学ぶ権利や働く権利など様々な『個を尊重する』権利を侵害しています。『女性は結婚して家庭に入り夫のケアをし、子を産む』という決めつけがあると、その家庭を養うために『仕事ができなければ男として認められない』『男はパリッとスーツを着こなし【立派な】格好をしなければならない』という決めつけになる。

男も男で辛いんだから、フェミニストは女性の権利ばかり主張するのはおかしい、と言われたりもしますが、男性も女性も辛いからどっちもどっちという話ではなく、非対称性を認めたうえで、お互いを縛り付けるものは何なのかをきちんと見てほしいと思います。現状は女性の権利が侵害されていることは明らかですが、結果的に男性を縛り付ける面がある。男性の自殺率が高いというデータがありますが、仕事がバリバリできてお金を稼げないと、男として認めてもらえないというプレッシャーなども原因の一つだと思います」」

日本の年間自殺者数は男性が1万4826人、女性が6495人(平成29年、厚生労働省『自殺対策白書』)。自殺死亡率=人口10万人当たりの自殺者数は、男性が世界ワースト12位で、女性はワースト3位(世界保健機関調べ)。

と同時に、男女格差を図るジェンダー・ギャップ指数は、世界で144カ国中114位と惨憺たる順位です。

里子「勝手に性別で人をくくると、生きづらい人が出てくる。料理が得意、細やかな気配り、かわいらしい格好が好き、優しげな仕草、これらはすべて個人の選択の話で、性別で分けられるものではないですよね。『男女の役割や責任』から解放されて、ひとり一人がいろんな選択をできるようになれば、もっともっと生きやすくなるはずです」

――そうすれば、外で働きたくない男性や、パフェが好きなスイーツ男子だって、「男のくせに」という呪いの言葉をかけられずにすむわけですからね。

KIKI「『男だからこうすべき』『女はこうあるべき』という思い込みや押しつけがあると、好きなこともできない。それはとても窮屈なことです」

セクハラを「女性が拒否しないのが悪い」という暴論

――また、最近はセクハラや性暴力が今まで以上に問題になっています。好きな人に対しての「口説き」と区別がつかずどうすればいいかわからない、と困惑している人も多いのではないでしょうか。

里子「よく男性から、『女性は嫌ならそう言えばいい』と言われることがあります。

でもちょっと考えてみてください。例えば、密室に2人っきりになったとします。もし押し倒されたら非力な女性であれば抵抗できません。押し返す力があったとしても、抵抗して殺されてしまった女性のニュースが頭をよぎり、何もできないこともあります。

相手が上司だったら、嫌だな、おかしいなと思っても、空気を読んでニコニコするしかないかもしれません。相手が友だちの場合、だからこそ怒らせたら友人関係の輪がどうなるか、怒らせたら何をされるか分からない恐怖もあります。

そういった理由で強く否定できないからといって、相手を受け入れたことにはならないんです。肉体的な力や構造的な力を持つ人たちは『自分はパワーを持っている』『社会が女性の抵抗する力を奪っている』という前提をまず認識して欲しいですね」

KIKI「強く断れない気持ちは、弱者の立場になるとよく分かります。反発すると、『お前なんかに欲情しねえよ、ブス!』などと言い返されることもあります。『もしかしたら自分の勘違いかな?』と思うと、言えなかったりもします。

決して被害にあった人が黙っているのが悪いのではありません。解決への手助けになるのはフェミニズムを知ることです」

◆女も男も気持ちよく生きたいよね

里子「女性は、男性からよく『女は性の話をするべきじゃない』と言われます。でも、そうして黙らされている立場の人は、性的な誘いを受けたときに『おかしい』『いやだ』と思ってもなかなか否定できません。抵抗の言葉や仕草を奪われている状況があるのに『否定しなかったからOKだと思った』と言われて、一生心に傷を負うようなセクハラを受けるかもしれません。

そうしてその場で否定できないことから、あとから『あれはセクハラだった』と訴えざるを得なくなってしまう。確認するべきは、同意が得られているかどうかです。それを知れば、『そんなつもりはなかった』という言い訳が多いのは、『同意』とは何かを知ろうとしなかった結果だと思います」

KIKI「女性が自分の権利を主張し、フェミニストが声をあげることは、男性にとって『曖昧で解らないこと』が減っていきます。確認作業をすれば誰もが気持ちよく過ごせるようになるんです。

すべての人間が平等になることは、自分が得られるべき権利を損なうことではなく、自分の利益にもつながります。それはとても大切なことです」

<文/和久井香菜子 撮影/林紘輝>

【和久井香菜子】

ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営

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