「部下のデキが悪い」と思うのはダメ上司の証拠。どこがダメなのか

日刊SPA!

2018/12/1 08:30



「あんな仕事にどれだけ時間をかけてるんだ」

「こんな仕上がりじゃダメだ」

部下の仕事に、こうしたダメ出しをするリーダー、管理職は多いだろう。

直接部下に「お前は仕事ができない」と言うことは少ないだろうが、内心そう思うことも多いはずだ。

しかし、そうした不満は、「実は上司の指示の出し方が悪いことがほとんど」だと言うのは、『「今のチームで残業を減らして生産性を上げろ!」という無茶ぶりを解決する!』の著者で人事戦略デザイナーの山極毅氏だ。

◆“仕事ができない部下”というのは、この世に一人もいない

山極氏は現在、株式会社経営人事パートナーズを運営。サントリー食品インターナショナル、日本郵便、太陽工業など、大手企業をクライアントとして、人事のコンサルティング業務を行っている。

「私は、“仕事ができない部下”というのは、この世に一人もいないと考えています」と山極氏。

それなのに「仕事ができない」と“思ってしまう”要因は、以下の3つだという。

1、理解が足りない

2、言った通りに動かない

3、期待通りの成果が出せない

「まず、理解が足りないとは、意思疎通が足りないということです。上司が『なるべく早くあげて』と言ったとき、『今日中』と受け取る人もいれば、『今週中』と受け取る人もいるでしょう。また、『自由にやっていいよ』と言ったとき、『色や配置だけ変える』人も、『まったく違う構成でつくり上げる』人もいます。同じ言葉でも、相手によって受け取り方が違うということをわかっていないリーダーが意外と多いのです。

2番目の、言った通りに動かないというのは、リーダーが自分のやり方に固執しているという証です。上司が得意なやり方と部下が得意なやり方が違うということはよくあります。部下がどんなやり方で力を発揮できるか把握しておくべきでしょう。

3番目の、期待通りの成果が出せないというのは、できあがりのイメージがずれていただけのことがほとんどです。アウトプットの評価を決める要素には“品質”“納期”“費用”の3つがあります。上司が細かい点まで気にするタイプだと、その希望通りに仕上げてこないと『クオリティが低い』と判断されます。また、“納期”についても、ぎりぎりまでやり直して品質にこだわるのか、早めに出して修正しながら進めるのか、上司が好むタイプによって評価が変わってきます。品質、納期、費用のすりあわせをしていないために、できあがりが期待通りにならず、『仕事ができない』と判断してしまうのです」

たしかに、言われてみれば心当たりがあるという人もいるだろう。

◆上司に求められるのは、ジョブスキルではなくヒューマンスキル

こうした上司と部下のすれ違いを防ぐにはどうしたらいいのだろうか。

「リーダーには、極論すれば“みんなに気持ちよく仕事をしてもらうことができれば、ほかの能力は必要ない”とさえ私は考えています。上司に求められるのは、ジョブスキルではなくヒューマンスキルなのです。

人にはそれぞれ最大限の力を発揮して活躍できるポジションがあります。それには、個々人の“個性”と“強み”をリーダーが把握することです」

「個性と強み」といっても漠然としているが、山極氏は組織心理学者である小林惠智博士が開発した「FFS理論」というセオリーを用いて分析するのだという。

FFS理論は、人が無意識に考え、行動するときの特徴的な5つの要素の組み合わせと、それぞれの要素の高低による違いで個性が作られていると考える。そして、その5つの要素を定量的に解析し、ストレスがかかったときに思考や行動がどのように変化するかを分析したもの。これによって、個人の強みを客観的に把握できるという。

「ものすごく簡単に言うと、通常の適正判断などでは『発想力があるので企画部門へ』というように、『向いている職種』を判断していました。しかし、FFS理論では、『企画部門のなかで、どういう働き方をしたときに力を発揮できるか』ということを診断します。

それぞれの得意な働き方、どういうとき満足感を感じるか、ストレスがかかったときどういう行動を取りやすいかなどをリーダーがわかっていれば、理想をいえばチーム全員が把握しあっていれば、楽しく仕事ができるようになってきます。異なる個性を組み合わせ、強みを活かし合うことで、自然に実績が出せるようになるのです」

「アイツがやらない」ではなく「どう言えばアイツが実績を出しやすいのか」とリーダーが考えを変えるほうが、生産性アップには早道ということだ。

部下のふがいなさをぼやく前に、我が身を振り返ったほうがいいのかもしれない。

【山極 毅】(やまぎわ たけし)

経営人事パートナーズCEO。組織人事監査協会認定パーソネルアナリスト。1989年、日産自動車入社。在籍中の27年間で、開発、企画、人事の三部門を経験。自動車ビジネスのほぼ全部署、全行程での実務を担当する。2016年に独立し、経営人事パートナーズを設立。近著に『「今のチームで残業を減らして生産性を上げろ!」という無茶ぶりを解決する!』

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ