伝えるだけでは、伝わらない? 期待以上に相手を動かす伝え方


こんにちは。1分トークコンサルタントの沖本るり子です。

皆さんは、日ごろの仕事や生活で、こんな会話をしたことはありませんか?

「聞いてません」「いや、伝えたはず」。「そんなつもりで言ったんじゃない」。

言った言わない の水掛け論がなければ、仕事は効率よく進み、よりよい人間関係を築くことができるでしょう。しかし、「あのとき『わかった』と言っていたのに、なぜその通りに動いてくれないの?」と、相手が期待通りに動いてくれないことに嘆く人が多いのが現状だと思います。

そこで今回は、期待以上に相手を動かすための伝え方についてご紹介します。

沖本るり子(おきもと るりこ)
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株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムやリバティアカデミーでも登壇中。著書に『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。

「伝える」ゴールは相手を動かすこと

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Image: Antoniu/shutterstock

「わかったと言ったのに動いてくれない」。

きっとこれは、多くの人が「伝わった」ことで満足してしまっているからです。

近年では、「伝える」ではなくその一段階上の「伝わる」ことを意識しましょう、というコミュニケーション論をよく目にしますが、実際は、これでは不十分なのです。

そもそも、あなたが発信している理由は何でしょう?

部下や上司、あるいはお子さんや友人・知人に「こうして欲しい」という希望・要望があるからではないでしょうか。つまり、「伝える」のゴールは「相手を動かす」ことなのです。

言葉によって自分の気持ちが「伝わる」ことは最低限。自分が発した言葉で「人を動かしたい」なら、それ相応の「伝え方」をしなければなりません。

まず、人を「動かす」ための伝え方の発信レベルは、次の5段階にわけることができます。

レベル1:「話す人」

レベル2:「伝える人」

レベル3:「伝わる人」

レベル4:「動いてもらえる人」

レベル5:「期待以上に動いてもらえる人」

「どうして言ったとおりに動いてくれないの?」となる原因は、レベル3「伝わる人」までを目標にしているからだと考えられます。人に動いてもらうためには、レベル4から5を目指さなければなりません。

では、この5つのレベルを、具体的に解説していきましょう。

期待“通り”と、期待‟以上“に動いてもらえる人の違いは?

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Image: Antoniu/shutterstock

たとえば、水不足で2リットルの水のペットボトルが1万円もするほど貴重なものだとします。あなたはのどが渇いていますが、7000円しか持っていません。ペットボトルを2本持っているAさんに水をもらえるようお願いするなら、どのように伝えればいいでしょうか?

レベル1の話す人は、「のどが渇いています」と言うでしょう。

これでは事実をただ声に出しただけ。場合によっては、単なる独り言かなと相手は聞き流してしまうかもしれません。

レベル2の伝える人なら、こんな感じです。「Aさん、のどが渇いています

かろうじて誰に向かって発信しているかがわかるレベルです。相手に「ああ、のどが渇いているんだね」という状況を把握してもらうことはできたでしょう。ですが、水を飲みたいという要望は伝わってはいないため、目的は達成できません。

レベル3の伝わる人は、このように言うでしょう。

Aさん、のどが渇いています。でも、7000円しかもっていないんです

必要最小限のことは伝わったと思います。ですが、自分軸でしか発信していないため、聞き手の反応はさまざま。「3000円を貸してほしいってことかな?」とも「水を7000円で売ってくれと言うことかな?」とも解釈できます。相手にこちらの要望どおり動いてもらいたいのであれば、このままではまだ不親切で不十分です。

では、レベル4の動いてもらえる人ではどうでしょう。

Aさん、今、のどが渇いているので、お水を売っていただけませんか? 財布には7000円しか入っていないのですが、残りの3000円は明日、持ってきます

これなら、こちらの要望がはっきりと伝わるでしょう。相手にどう動いてほしいかを声に出して発信しているので、相手が動いてくれる可能性がぐんと高まります。

この伝え方であれば、今すぐはダメでも、少なくとも明日、1万円がそろった時点で水を売ってもらえそうです。

このレベルでも十分ですが、本当は‟今“水が飲みたいですよね。しかも安く売ってもらえたらなおうれしい。そんな「期待以上に動いてもらう」ための伝え方は次のレベルです。
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Image: Antoniu/shutterstock

レベル5の期待以上に動いてもらえる人ならこう言います。

Aさん、今、お水を飲ませてください。のどが渇いて倒れそうなんです。財布には7000円しか入っていません。のどを潤せば、今すぐAさんの苦手な資料分析のお手伝いができます。今、お水を飲ませてください

いかがでしょう。これまでの伝え方とはかなり違いを感じるのではないでしょうか。

人は、自分にとってお得なことがあるとき、気持ちがプラス側に動きます。そして、気持ちがプラスになると、期待以上に動いてくれる可能性が高まります。

この場合は、「苦手な資料分析を手伝う」という言葉で、相手が期待以上の働きをしてくれる可能性が高まります。

たとえば、すぐに7000円で水を売ってくれるかもしれませんし、「資料分析の手伝い」のメリットを大きく感じるのであれば無料で水をくれるかもしれません。

しかし、目標は高ければ高いほうが、よい成果を生みます。レベル4の「動いてもらえる」を目標にすると、「伝わる」レベル3で終わってしまう場合もあります。

それに、プラスがあるほうが相手にとってもうれしいはず。あなたの要望を満たすためだけの場合よりも、気持ちよく動いてくれるでしょう。

このように、相手に行動に移してほしい事柄がある場合、自分の要望を伝えるだけでなく、相手のメリットになる提案をプラスすることを意識しましょう。

それが、Win –Winの関係を築くことができる、「伝わる」よりも2ランク上のコミュニケーション術なのです。

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Image: Antoniu(1, 2, 3, 4)/shutterstock

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