大野拓朗が再びピュアなロミオを演じる、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

SPICE

2018/11/30 18:00


世界的なシェイクスピア劇を原作にしたポップでロックなフランス発のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。小池修一郎が潤色・演出を手掛ける日本オリジナルバージョンの舞台は、2011年と2013年、そして新演出版として2017年に上演され、2019年はこの新演出版の再演ということになる。その2017年版で初めてロミオ役に挑戦したのが、大野拓朗だ。いまやNHKの大河ドラマ「西郷どん」や連続テレビ小説「わろてんか」などの映像作品でも広く知られるようになった大野だが、舞台、それも特にこのミュージカル『ロミオ&ジュリエット』への思い入れは誰よりもアツい。10月末に行われた制作発表会見の直後に、その大野を独占直撃! 『ロミジュリ』愛を、大いに語ってもらった。

ーー再演が決まった時は、まずどう思われましたか。

うれしかったです! なんといっても前回、自分が世界で一番好きなミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオという役をやらせていただけて本当にうれしかったんです。それをもう一度できるんですから。再演が決まってからずっと、早くこの日が来ないかなと待ち遠しく思っていました。

ーー具体的には、この作品のどういうところがお好きなんですか。

曲ですね。世界観ももちろん好きなんですが、やっぱり一番大きいのは楽曲が全曲好きだと思えるミュージカルには、この作品で初めて出会えたので。

ーーこの舞台を初めてご覧になったのは、たまたまだったんですか?

はい。2011年に観たんですが、最初はたまたまだったと思います。それで上演中に四回観に行きました。

ーーそんなことをするのも初めてでした?

知り合いがいるからキャストを変えて二回観るというのは何度か経験がありましたが、当時はミュージカル界に知り合いはひとりもいませんでした。なのに、次はこの組み合わせで、今度はこのキャストで観たいとか、もう、ただただファンでしたね(笑)。
大野拓朗
大野拓朗

ーーということは、お客さんの気持ちが誰よりもわかる演者かもしれませんね。

確かに、そうですね!(笑)

ーーそして実際にロミオを演じてみて、前回舞台に立ってみて印象に残っていることは。

それはやはり、ロミオとして舞台に立てて幸せだなということです。毎公演、最初から最後までずっとそう思い続けていました。

ーーそれって、ものすごく幸せなことですね。

本当に幸せでした! しかも公演が終わってからも、車移動の時にはいまだに初演の時のCDを毎日聴きながらずっと歌っていますからね。初演の2011年の時からなので七年近く毎日歌っている計算になるんですけど、これがまったく飽きないんです。それほどまでに好きなミュージカルに出会えたなんて、本当に幸せだと思います。また、ロミオってモンタギューだけでなくて、キャピュレットを含め、物語に出てくる全員を愛している、天使のようなキャラクターだと思っているんです。それが、演じれば演じるほどどんどん自分の中にも入ってきて。公演中、カンパニーのみんなを愛していて、すごくあったかい気持ちになっていたということも、すごく印象的でとっても幸せな感覚でした。

ーーダブルキャストで同じ役を演じるというのも、面白い経験になったのではないかと思いますが。

そうですね。自分の役が、このシーンにおいてどういう立ち位置でどうセリフを言えばいいかというのが、客観的に見られるので。同じロミオ役の古川雄大さんが演じている姿を見て、ああやるのもいいなとか、自分の場合はここをこうしたらいいかもしれないとか、すごく勉強になります。

ーーでも同じ役でも、古川さんとはイメージがかなり違ったというか。

それはやはり、持ち合わせている空気感も感性も人それぞれ違いますからね。たとえ同じ方向に向かっていたとしても、同じ振付で踊っていたとしてもどうしても違う風に見えてくる。それもあるので特にライバル視したり、比べ合ったり、ということもまったくなかったです。

ーー稽古中は、二人で話し合って?

前回はたくさん、相談させてもらいました。古川さん自身も初演から出ていたものの、前回は一気に演出が新しくなったので、小池先生の要望に対して「こう言っていたけど、それはどういう意味があるのだろうか?」とか「そのためにはこうしたほうが良いんじゃないか?」とか、お互いに意見を出し合ったりして。
大野拓朗
大野拓朗

ーーそうやって二人で話して、小池さんに提案するんですか?

いや、それでもう稽古で勝手にやっちゃいます。小池先生は、それが気になったらすぐ言ってくださるので。

ーー前回、その小池先生の演出を受けてみて、いかがでしたか。

美的センス、美に対する感覚が抜群に優れていらっしゃると思いました。ステージングにしろ、衣裳にしろ。こういう動き方をして、こうセリフを言って、こう歌ったほうがきれいに見えるんだということをすごく大切にされています。そして、その美的感覚が王道で素晴らしいんです。だからこそ、いろいろな方に認められて、美しい世界観を作り続けていらっしゃる大先生なんだと思いますね。

ーーそして今回は新たに葵わかなさんが加わってジュリエットが三人になりますが、それぞれの印象は。木下晴香さん、生田絵梨花さんとは前回も共演されていますが。

あれから、木下さん、生田さんも大きな舞台で経験をさらに積んできていますからね。僕も観に行かせてもらっていますが、技術面でもどんどん成長していくなーって、観ていて思いました。だから今回、負けないようにがんばらないと! 歌に関しては木下さんと生田さんに前回も引っ張ってもらっていたんですが、今回はあの時より少しは歌えるようになっているはずなので「ちょっとはついていけまっせ!」くらいな感じで、あの二人が成長した姿を間近で見られることは本当に楽しみです。今度は、どういうジュリエットになるんだろう。そして、葵さんに関しては、朝ドラ(『わろてんか』)で共演していた時、まるまる10カ月間は大阪で一緒に過ごしていました。役柄的にも、僕の幼馴染の奥さんで、寄席の女将さんで、みんなの“おかあちゃん”的な存在だったんです。その印象がまだ抜けていないんですが、稽古を重ねていく中でこの関係性がどう変わっていくかというのも楽しみなんです。そしてもちろん芝居に関しての勘は抜群だと思います。あと声も非常にきれいですから。
大野拓朗
大野拓朗

ーーあんなに歌えるというのも、驚きでした。

素敵ですよね。葵さんは今回初舞台ですが、木下さんも前回の『ロミジュリ』が初舞台だったから気持ちはよくわかると思います。僕も映像をやっていたところから、ミュージカルが大好きで挑戦するようになったという立場としては、葵さんと似ている部分もあるので、そういう視点からも少しでも支えになれたらいいし、逆に今度は自分が引っ張っていけるようにならないと、と思っています。

ーージュリエットに引っ張ってもらうだけではなく。

はい。僕が引っ張ってあげたいからこそ、もっともっとがんばらなきゃな! と(笑)。

ーーそして、ベンヴォーリオが三浦涼介さん、木村達成さんという初参加の二人になるというのも、また舞台の印象が変わるのかなと思いますが。

まだどんな風に変わるのかはわからないですけど、前回のベンヴォーリオは二人とも僕と同世代で、同い年と一つ上だったんですよ。だから今回、年下のベンヴォーリオってどういう感覚になるんだろうと思ったんです。ベンヴォーリオはロミオにとってお兄ちゃん的な存在なので。それで前回は思いきり甘えられたんですけど。もしかしたら木村くんとやる時は、ちょっと強めのロミオになるのかもしれない。でも木村くん、既に大人っぽいから、そのまんまでロミオとしては甘えられるのかもしれない。一緒にやった時、どうなるかの化学変化にワクワクします。三浦さんは僕より二歳上なので、ロミオとベンヴォーリオの関係性としては変わらないかもしれないですね。歌声がめちゃめちゃかっこよくて、でもふだんはすごく朗らかで優しくてかわいらしい方だから、そこのギャップがベンヴォーリオを演じた時にどっちの三浦さんが出てくるんだろうなというのがすごく楽しみです。

ーー稽古、本番に向けて一番の楽しみは。

『ロミジュリ』のカンパニーに再び会えるということですね。新たに参加される方も含め、もう一度、カンパニー全員のことを大切に思い、愛している感覚になれることがうれしいので。一人ひとりとコミュニケーションをしっかりとって、また絆を深めていきたいです。
大野拓朗
大野拓朗

ーーこのカンパニーならではの仲の良さみたいなものもありそうですね。

そうですね。僕の感覚としては、常に上を目指している若手メンバーが集まっている分、とても刺激的で。とはいえ、いい子が多くて、変にライバル意識を出してくる人もいなくて、みんながみんなお互いを尊敬し合っている。ダンサーさんたちもめちゃめちゃノリが良くて、今回もいい人たちばかりなんですよ。

ーー一緒にひとつの作品を作るにはベストの関係性がある。

はい。加えて、ベテランの方々がすごく優しく見守ってくださるんです。しっかりと土台を作ってくれて、アドバイスもくれますし。気づくとフォローしてくれてたりもして、前回は大人チームに何度も泣かされました。「拓朗、がんばってるねー」って声をかけてくださるので。

ーー泣いちゃうんですね。

前回は自分にとって五年ぶりで、二度目のミュージカル挑戦。そしてロミオという待望の役だったこともあって、いろいろなプレッシャーがありましたから。自分なりに練習してきたとはいえ、稽古中は周りにまったく追いついていけませんでした。ホント、稽古中はしんどかったんです。早朝からドラマのロケをやって、昼過ぎに稽古に入って夜10時くらいまでやって、そのあともう少し自主練習をしてから帰って、みたいな。その帰り際も、自分で歌ったものを車で聴いて反省して、家に着くのが1時、2時。それで翌日また朝から稽古して、みたいな日々でした。ごはんを食べる時間もなくて、貧血で何度も倒れそうになるし。本当に死に物狂いでやっていました。

ーーそこで先輩方に優しい声をかけられたら、泣いてしまいますね。

そうでしょう(笑)。本当にありがたかったです。その先輩方のいない、若手だけの『ロミオ&ジュリエット』なんて一切、考えられないですから! みなさんがいてこその、作品の重み、深みが大事なので。

ーーそれがあるからリアリティも生まれるし、ドラマの現実味が感じられるし。

そのおかげで単なる青春ラブストーリーには、ならないんだと思います。なのでぜひとも、一生の宝物と言えるような思い出を作りに観に来ていただきたいです。僕自身が2011年に初めてこの舞台を観た時、実際に心からそう思ったので。その感動を、今度は自分自身の手で、より多くの方に届けられたら本当に幸せだなと思います。
大野拓朗
大野拓朗

取材・文=田中里津子 撮影=山本 れお

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