缶詰博士の珍缶・美味缶・納得缶 第32回 サバ缶をシンプルにおいしく食べるなら「サバ缶経堂風」


空前のサバ缶ブームが続いています。脳の働きを良くするDHA、血液や血管を健康に保つEPAが豊富に含まれているのだから、ビジネスパーソンにもありがたい存在ですね。中でも「水煮」は糖分が入っていないため、糖分を控えたい人にも人気だとか。

そんなサバ水煮をシンプルにおいしく食べる方法を、缶詰博士が教えてくれました。

○経堂はサバ缶の町

東京都世田谷区に経堂という町がある。東京農業大学が近くにある静かな住宅地なのだが、実はここは日本でも珍しい「サバ缶の町」だ。2007年から一部の飲食店がサバ缶を使ったオリジナルメニューを提供し始め、リーマンショック後の09年には10数店舗にまで増えたという、まことに不思議で面白い町なのであります。

このムーブメントを起こしたのは須田泰成という人で、僕の友人でもある。停滞する商店街を活気づけようと始めたことが、その後の東日本大震災を経て、いろんなドラマが生まれた。その様子は書籍にもなったので、ご興味のある方はぜひ読んでくだされ(廣済堂出版「蘇るサバ缶」/著者:須田泰成)。

○サバ缶の町の名物メニュー

その経堂で、最初に生まれたサバ缶メニューをぜひ紹介申し上げたい。サバ水煮をネギ、バターと一緒に熱々にしただけの簡素なものだけど、それが実に美味しいのだ。経堂サバ缶ムーブメントのきっかけにもなった、記念すべきメニューであります。

○缶汁が大事

まずは缶詰とほぼほぼ同じサイズの耐熱容器を用意し、そこにサバ水煮を汁ごとあける。汁をすべて使うのが缶所(勘所)です。

○青ネギか白ネギか?

その上に小口切りネギをたっぷりと、本当にたっぷりと乗せる。ネギは東日本だと白ネギだし、西日本だと青ネギですね。どっちがいいのかと申せば、正直どっちも美味しい。

ちなみに缶詰博士は最近、辛みの少ない青ネギ(特に九条ネギ)にハマっております。

○動物性脂肪に助っ人を頼む

ネギの上にバターを10グラムほど乗せる。これがけっこう大事なところ。サバ缶はそれだけでも美味しいが、そこに動物性脂肪が加わると、味にぐっと深みが増すんであります。

○栄養全部いただく

かくのごとし。缶汁が沸騰してネギに染みこみ、その上に乗せたバターを溶かしております。その結果、汁、サバの身、ネギ、バターが缶然一体(渾然一体)となって、この小鍋の中で「うふふアハハ」と笑っております。

ひと口いただけば、ああ口福。サバ水煮にはしっかり塩気が付いているので、味はそれだけで充分。そこに絡んだバターは魚介類が持っていないコクを加え、ただのサバ缶がしっかりした1品料理に昇華しております。

サバとバターが染み込んだネギも美味。だからネギはどっさり入れるのがオススメです。

これが「サバ缶経堂風」。お店によっては缶ごと炙って出すこともあって、なかなかワイルドな雰囲気。ちょっとキャンプっぽい気分も味わえます。

このレシピだと、基本的にはどんなサバ水煮缶でも驚くほど美味しく食べられます。おつまみにもなるし、おかずの1品としても悪くない。オススメですぞ!

缶詰情報
高木商店/さば水煮(190g)
参考価格 359円(税込み)
同社ネットショッピングなどで購入可

○黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。

公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。

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