古川雄大『マリー・アントワネット』マリーを守る者として、リフレッシュしながら頑張りたい

SPICE

2018/11/30 12:00

今年、人気ミュージカル『モーツァルト!』で初の主演ヴォルフガング・モーツァルト役を演じるなど、近年ミュージカル俳優として著しい台頭ぶりを見せる古川雄大。まさに「少女マンガから出てきたよう」という言葉が似合う端正なマスクと、深く響くメロウな歌声は、特に歴史物の舞台で強さを発揮している。ミュージカル『マリー・アントワネット』の、フランス王妃マリーと恋に落ち、生涯に渡り支え続けるフェルセン役は、そんな古川に実にピッタリな役と言えるだろう。東京公演の合間を縫って行われた、大阪での記者会見で「再演なのに新作のよう」と言われる本作の内容や、フェルセン役への思いなど語ってもらった。



『マリー・アントワネット』2018PV【舞台映像Ver.】

■フェルセンは、マリーの評判と現実とのギャップに惹かれたのでは


──公演が始まって1ヶ月以上が経ちましたが、今の心境はいかがでしょうか?

自分なりに初日を目指して作っていったものが、上演を重ねるにつれより練られている、という感覚があります。ただ、舞台稽古が始まってから、大きく変更した所もたくさんあり、それに対応するのが大変でした。

──どの辺りが変わったのですか?

多くがメインキャストの歌の部分です。詩や音程、ロングトーンの伸ばし方などですが、こんなに変更があったのは初めてだったのでビックリしました。きっと(音楽・編曲のシルヴェスター・)リーヴァイさんが、よりドラマティックに、より豪華にと考えてくださったのだと思います。そうやってキャストとスタッフの皆さんと、より良いものを作るべくさらに作品を深めて行けたらと思っています。
写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

──フェルセンというキャラクターに対しては、どういう思いを持っていますか?

とても可哀想な人というか、この作品の中では報われない人々の中の一人です。マリーへの愛情を抑え、自分の使命を果たしていくのですが、思い通りにいかず、最終的には愛する人が処刑されてしまうという。とても悲しい運命ですけど、彼の中の正義というか、彼女を救い出そうと最後まで策を講じ続ける姿勢は、とてもフェルセンらしいかなあと思います。

──本作は、初演と雰囲気が変わり新作のようだと評判ですね。

今回はマリーをより生々しく、人間味あふれるように描こうとしています。(演出の)ロバート(・ヨハンソン)さんが「マリーは周りの陰謀や、何かの行き違いや誤解によって処刑されることになってしまった、ということを伝えたい」と仰っていたんです。彼女自身は一人の人間として、母親として成長していくけれど、周りの環境が彼女をあまり理解できなかったというか、理解するすべがなかった。そのために、悲しい結末を迎えた……。
古川雄大 撮影=吉永美和子
古川雄大 撮影=吉永美和子

フェルセンとの関係は、僕はあまり良いことではないとは思うのですが、今までみんなが思い描いていた“マリー・アントワネット”へのイメージが、ちょっと変わっていく作品になるんじゃないかなと思っています。

──許されない関係とは知りながら、フェルセンがマリーを命を懸けても守りたいと心惹かれる理由は何だと思いますか?

最初に仮面舞踏会で出会った時は、単純に外見に惹かれた所が大きいと思うんです。でもマリーに接していくうちに、それまで耳にしていた評判と、現実のマリーは別人のように違っていて、そのギャップにも惹かれていったのではないでしょうか。人間としてとても可愛らしかったり、尊敬できる部分を持っていたのだと考えています。

■マルグリットがいることで、マリーの人物像がより明確に理解できる

写真提供:東宝演劇部
写真提供:東宝演劇部

──マリーは花總まりさんと笹本玲奈さんのWキャストですが、それぞれどういった違いを感じていますか?

花總さんは今まで何作かご一緒させていただいています。『1789』でもマリー・アントワネットを演じられていますが、今回はまた違った感じですね。最初は恋に生きる少女のようですが、一人の女性として成長し、最後にはまるで母親に諭されるような気持ちになるんです。一方で笹本さんは初めて共演させて頂くのですが、本当に輝いていらっしゃる方で、マリー・アントワネットの華のような部分にとても惹きつけられます。歌もとてもパワフルなので、歌で引っぱっていただいている部分もあります。

──マリーと対象的な生き方をする庶民の女性、マルグリット・アルノーもWキャストですが、それぞれの印象は。

マルグリットについては最初、ソニンさんはガッと強く来て、昆(夏美)さんは秘める感じで演じられるのかな……と勝手ながら思っていました。でも、それがまったく逆で、昆さんの方が強く気持ちを押し出されて、ソニンさんは内に秘めるという印象です。恐らくお二人がフェルセンに対して抱く気持ちによって、表現の仕方が異なるのだと思います。

──このマルグリットの存在によって、マリーの真の姿がよりくっきりと浮かび上がるのが、この作品の大きな特徴だと思います。

そうですね。マルグリットは唯一架空の人物ですし、この人にお客様は一番感情移入しやすいんじゃないかと思います。マルグリットは常にマリーを見ていて、最終的にはマリーへの思いや、彼女自身も大きく変わっていく。マルグリットがいることで、お客様はより舞台に入り込めるし、マリーの人物像を明確に理解できるのではないかと思います。
古川雄大 撮影=吉永美和子
古川雄大 撮影=吉永美和子

──博多公演と東京公演は田代万里生さんとのWキャストでしたが、名古屋と大阪は単独で演じることになりますね。

そうなんです。体力的にも精神的にも、乗り越えていきたいと思います。それは僕だけでなく、みんなが……特にマリー役のお二人は、本当に大変だと思います。彼女を守る者としては、仕事ではない時間は何かリフレッシュして、リセットしながら頑張りたいと思っています。

──フェルセンの役を私生活で引きずってしまうことはありますか?

プライベートではあまりないです。でもやっぱり、物語の中ではいろんな局面に遭遇し、とても辛い思いもするわけなので、精神的な重さはどうしても感じてしまいます。

──今年『モーツァルト!』のタイトルロールを演じたことで「役者として大きく変わった」という声も聞かれますが、ご自身もそう感じることはありますか?

……あまり感じないですね(笑)。ステージの真ん中で自分が発信するものが変化し、それが「大きく変わった」ように見えたんじゃないかなと思います。僕自身は、常に全力で役に向き合っているという部分は変わらないので、そんなに変わったとは思っていないです。


ヘアメイク=サトウアツキ

スタイリスト=吉野誠

取材・文・写真=吉永美和子

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