不倫教授・高田純次の名言が出たっ。『黄昏流星群』の一家は全員不倫中

女子SPA!

2018/11/22 15:47



<亀山早苗の不倫時評――ドラマ『黄昏流星群』の巻 vol.6>

人生の折り返し地点で悩みを抱えた、男女の恋愛を描いたドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系、木曜夜10時~)。もはや一家全員が不倫中という恐るべき展開に。

◆不倫の関係は刹那だからこそ燃えるのか

完治(佐々木蔵之介)は、自分の気持ちを押し殺すことができず、とうとう栞(黒木瞳)の家に行ってしまう。完治を「今なら間に合う」と押し返そうとした栞も、自らの恋心に負ける。同期と飲んでいて終電を逃したと電話で言い訳しながら、完治は「嘘をついている」自分の顔を鏡で見る。そして栞もまた、嵐のような欲望が過ぎ去った部屋で、完治の服を畳みながら自分の顔を鏡で見ている。

嘘をついていることに心がとらわれる男、恋の不安に揺れる女。男は「ここにないもの」に思いを馳せ、女は「目の前にいる人」に気持ちが集中する。不倫をうまく表現している描き方だ。

そして夫の浮気が確定したと感じる真璃子(中山美穂)もまた、家で鏡を見ている。彼女自身は娘の婚約者に突然キスをされ揺れているのだ。人生折り返し地点の男と女は、自分の顔をどう思っているのだろうか。

◆高田純次が淡々と語った不倫名言

一方、完治は娘の美咲(石川恋)の先行きを心配して、娘がつきあっている大学時代の教授・戸浪(高田純次)を訪ねる。この戸浪先生、なかなかいい味を出している。娘は若くて無知で無分別だから、先生のほうで大人の分別をと頼む完治に向かい、妻に見放されたけど籍は抜いていない戸浪先生は淡々と言うのだ。

「私は彼女を弄(もてあそ)んだりはしていません。ただ、彼女と時を過ごしているだけです」

「彼女の将来を云々などとはこれっぽっちも考えていない。彼女の将来には朝日が燦々と降り注いでいる。私は今にも暮れそうな夕陽の中を歩いている。まったく違う軌道を歩いている。でもたまたまふたりの軌道が重なった。何万分の1の確率で星がすれ違うように。一瞬ですよ、ほんとに一瞬。私にはかけがえのない時間でした。人生にはこんなこともあるんですね」

そのとき、完治の頭の中に栞とのスイスでの出会い、出向先での再会などが思い浮かぶ。信じられないような偶然が重なって、恋は種から芽を吹き出していくのだ。もう一度、出会わなかったらその場だけの思い出ですんでいたのに。

一緒にいる時間が楽しい。だから会わずにいられない。それが恋の基本なのだろう。戸浪先生は、それが一瞬であることもわかっている。

その後、母の真璃子が娘の旅行鞄に入っていたポーチに風邪薬を入れてあげようとしてコンドームを見つけてしまう、というなんだか情けない話が入っていて、戸浪先生のイメージがた落ちとなったりもするのだが、そこは見て見ぬフリをしておくしかなさそうだ。

◆「家族」と「恋人」

完治は出向先の荻野倉庫で、社員の川本(礼二)とこぜりあいとなり階段から落ちてケガをしてしまう。あわてて駆けつける栞だが、病院の受付で、家族以外には病室もケガの状態も教えられないと言われる。

携帯電話の普及で不倫は浸透したが、個人情報保護法によって窮屈な面も生じているが現状だ。家族というのはひとつの社会なので、その社会外の人間には詳細を知らせない。これは個人情報保護法というよりは家族保護法なのではないかと思うこともある。

ここで一般女性の事例を紹介しよう。チサトさん(44歳)には、10年来つきあっている5歳年上の既婚男性がいる。以前は上司と部下の関係だったが、チサトさんが転職したため毎日顔を合わせることができなくなった。そうなると不倫の命綱は携帯電話である。

「1年ほど前、彼と急に連絡がとれなくなったんです。1週間も連絡がないのは初めてのことで、ものすごく焦りました。前の会社に共通の知り合いはもちろんいるけど、探りを入れるのもヘンでしょう。どうしたらいいんだろうと不安と焦りで落ち着かなくて。

2週間ほどたったとき、たまたま前の会社の人とばったり会って。さりげなく彼のことを聞いたら、『通勤途中に駅で倒れて、緊急搬送された』って。入院している病院の名前も出たので、せめてどんな様子か聞こうと病院に電話したら、教えてもらえなかった。親戚だと言ったんですが、ご家族を通してくださいと言われて」

このまま一生会えないのではないかとどん底に落ちたような気分でいたある日、彼からメッセージが入った。急病で連絡できなかったこと、チサトさんの様子を気遣うような文面に体中の力が抜けたという。

「携帯を握りしめたまま泣きました。だけどふと我に返ると、これがザ・不倫なんだと思った。彼が死んでも私が死んでも、いち早く知ることはできないんだ、と。彼はすっかり元気になって、関係も続いていますが、あれからはいつどうなるかわからないと実感しています」

そういったことも覚悟の上で、不倫という恋は成立しているのではないだろうか。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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