なぜ娘は遠足に行けなくなったのか? 小学生ママが怒りに震える「縦割りいじめ」の実態



保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

小学校特有といえるルールに、“縦割り教育”がある。最近は少子化の影響で、異なる年齢の子ども同士が交流することが減っている中、異年齢の子ども同士が接する縦割り教育では、上級生が下級生の面倒をみることで成長を遂げるといったメリットがある。全ての学校で縦割り教育が適応されているわけではないが、集団登校という形で残っている地域も存在するのだ。

登校に関しては、安全上の理由から集団登校を実施している学校も多い。しかし、学年をまたいだ集団登校は、いじめの温床にもなっているという。田中さん(仮名)は、都内の小学校で教育補助員として勤務している。

「教育補助員がこんなにも大変な仕事だとは思わなかったです。私が担当しているクラスには、授業中に立ち上がったり、じっとできない児童がいるために、その子の面倒を主にみています。保護者の中には、子どもが特別支援学級に入ると、将来的に不利になると思う親もいるらしくて、普通学級に通わせているみたいなんです。そのためなのか、クラスには先生が言ったことを理解できず、同じ動作をずっと繰り返している子がいて、私はその補助をしています」

集団登校の際には親も先生もいないため、子ども同士のトラブルが起きがちだという。田中さんが見たケースでは、男児だけの集団登校のグループで仲間外れが起きていたそうだ。

「小6が2人、あとは小4、小3、小2が1人ずつという、5人の小規模グループだったんですが、一番下の小2男児は少し動作が遅く、言葉の発達も遅かったんです。ほかの子たちと一緒に横断歩道を渡りきることができない小2男児を、小6男児が『遅いぞ』とからかいだしたことがきっかけで、ほかのみんなもそれに続くようになってしまった。そのちょっとしたからかいは、徐々にエスカレートしていき、集団でダッシュしてその子だけ置いてきぼりにしたり、砂場の砂をランドセルに入れたりという“いじめ行為”が発覚。小6男児のママにその事実を伝えると『うちの子がそんなことするわけない』と認めないんです。仕方がないので、しばらくの間は、私が集団登校の列の最後に付き添って登校していました。小2男児のママは、その後お子さんを、通級指導が受けられる教室にも通わせるようになりましたね」

縦割りの集団登校時のトラブルでは、物を壊されるというトラブルも後を絶たない。小2になる女児のママ・ゆかりさん(仮名)の娘は、同じマンションの子たちで集団登校をしている。トラブルが起こっても、日常的に会う機会が多い相手には、何も言えなくなってしまうと語る。

「同じマンションに住んでいる小4の男の子が少し乱暴なんです。娘が雨の日に、新しい傘を持っていたのですが、小4の男の子が『ちょっと見せて』と言って、傘を振り回しだしたそうなんです。小雨だったのですが、なかなか傘を返してもらえなかったらしく、しかもどこかにぶつけたせいで、傘の先端が少し欠けてしまった。使えないわけではないのですが、きれいだった傘が壊れたことで、帰宅後に娘は泣いていました。向こうの親は、自分の子どもを『面倒見がいい』と思っているみたいで、言い出しづらくて。学校に相談したのですが、『個人間の問題なので、直接話し合ってください』と言われました」

集団登校から抜けるとなると、親が子どもと一緒に登校しなければならないため、共働きのゆかりさんは、「娘にはこのまま集団登校で通ってもらうしかない」と諦めている。低学年の児童をめぐるトラブルは、年齢が上がれば、ある程度は回避されるようになるため、学校側に相談しても、ケガのような大事に至らなければ、経過観察も多いという。また、子どもへのいじめが気になる保護者の場合、個人的に集団登校に付き添い、様子を見守ることでいじめを回避するケースもあるそうだが、忙しく働いているワーママには難しいだろう。

縦割り教育の中では、遠足やドッジボールや鬼ごっこというようなレクリエーションを一緒に行うこともある。小3になる香織さん(仮名)の娘は、縦割り活動がある日は、保健室登校になっている。

「うちの学校は、高学年は1学年2クラスあるのですが、娘の学年からは1学年1クラスしかないんです。縦割り活動では、全ての班に全学年の生徒が入るのですが、娘がいる班には小3の女の子が娘1人しかいないために、ほかの学年の子から仲間外れのような状況になっています。ドッジボールなどの時は、ずっと外野にさせられたり、遠足でもほかの子たちが仲良く食べている中で、娘だけ1人で食べているようなのです」と語る。

縦割り教育では、高学年の担任の先生が中心となることが多いため、低学年の香織さんの娘までフォローができていないという。

「もともと友達でもない他学年の子と、無理をしてまで過ごす意味がわからないです。娘はレクリエーションがあると行きたがらないため、保健室で過ごしています。集団登校や掃除は、短時間なので我慢ができるようなのですが……。レクリエーションは縦割りではなく、仲の良い友達がいる同じクラスの子とではだめなのか、担任に相談しました。うまく馴染めていないのがうちの子だけなので、保健室登園という形で、しばらく対応することになったものの、排除されたみたいで納得できないです……」

小学校は、幼稚園や保育園とは規模が違い、教員数にも限度があるため、全ての生徒たちへのフォローが難しい。また、学年による児童の成長具合も違うために、異学年間のトラブルは、その都度、対応しなければならないだろう。上級生にとっては、班長などの役割を経験することで、責任感などに目覚めることができる縦割り教育だが、子どもたちが暴走しないためにも、周りの先生や大人の存在が必要不可欠だと言えそうだ。
(池守りぜね)

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