アラサーになったら道明寺より花沢類じゃない?




少女マンガ研究家の和久井香菜子さんが、マンガの登場人物にフォーカスし、恋愛を読み解いていくこの連載。

イケメンキャラや恋愛模様に萌えつつ、ちょっぴり自分の人生を一緒に見つめていきましょう。

第2回目のテーマは花より男子』の道明寺司と花沢類です。

第1回目:『花より男子』をデータ化し、恋愛分析してみた。

あなたは道明寺派or花沢類派?




日本中を熱狂に巻き込んだ少女マンガ『花より男子』。前回は主人公牧野つくしの主人公たる資質について書きました。
しかし、少女マンガと言えば男性キャラを抜きに語れませんよね。そしてこの作品で人気を二分したキャラと言えば、道明寺司と花沢類です。

道明寺は英徳学園の憧れイケメン集団F4のリーダー的存在で傍若無人な乱暴者。
一方、花沢類はクールでマイペース。陰と陽のように対照的な2人の間で、主人公牧野つくしもまんまとフラフラします。

アラサー女子のみなさんも、「道明寺派」と「花沢類派」に分かれたのではないでしょうか。特にドラマ化された時、女友達と盛り上がったはず。ちなみに和久井は断然花沢類派です。

とにかく一途な道明寺




道明寺といえば、いくら美人が現れようが、まったく浮気しないのがすごい。つくしのことがもう運命的にドンピシャだったようで、記憶を失って、つくしになりすます偽物が現れても「なんか違う」なんて直感して騙されないんだから、これはもう「つくしラブ」が遺伝子に組み込まれてるとしか思えません。

そう、道明寺、とにかく一途ですよね。ここです、女子たちが心を奪われる理由は。何があってもただ自分だけを見ていてくれる男、それが道明寺です。

バカで、わがままで、自己中な道明寺ですが、意外と器用です。つくしと花沢類の関係に嫉妬した道明寺がするめっちゃ殺気立ってつくしを押し倒して、めちゃくちゃ乱暴しようとするシーンがあります。そんなカッカ来てるときでさえ、

「腕の力とはうらはらに すごく優しいキスだった」

(つくしが道明寺に無理やり押し倒されてキスされたことを思い出すシーンの一言・3巻より)

……らしい。

それって、冷静に考えると全力疾走しながら上半身で舞を踊るくらい難しそう……。そのうえ「やめて」とつくしが懇願すると、男は急に止まれないはずなのに、あっさりストップ。道明寺のエンジンの掛かり方って、ものすごく突発的で、半クラッチなしでエンストする感じです。

でもその道明寺の直情的なところが彼の大きな魅力ですよね。
自分の気に入らない生徒に、学校中でいじめを仕向けて「嫌い」をあからさまに表現する。一方、「好き」って愛情表現も堂々と言ってくれます。

「やいてるよ めちゃくちゃやいてる 相手の男ブッ殺してやりたいくらい おまえが好きだ」

(つくしに外人とカラダの関係があったかどうか確認したシーンの一言・6巻より)

……ですって。なんて正直者なの?こんなふうに誰かに熱く想われたくないですか?私は想われたいです。

一途なのはいいけれど……、ちょっと待って!?




と言いつつ、和久井が道明寺に惹かれない理由があります。
それは、彼が怒りをあらわにするからなんですよね。
和久井は過去にこういう怒りっぽい男性と関わったことがあり、ちょっとネガティブになった時期がありました。なので道明寺の暴力や暴言には恐怖感が湧いてしまうんです。

そして、怒ってカッとなって怒鳴ったり、暴力を振るったり。殴ったあとに優しくするのはDV男の典型パターンです。男に殴られたあとにつくしがやり返せるのは、マンガだからですよ!普通はできません。

以前、旅先で知り合った女性に半生を聞かせてもらったことがあります。彼女は元夫がDV男だったと言ってました。「殴ったあとはめちゃくちゃ優しいんです。『お前を愛しているからやるんだ』って言われると、信じちゃって」だそうで。
彼女たちが住んでいたマンションの壁は血しぶきと暴力でへこんだ跡がついていたとか。道明寺を見ていると、つい彼女を思い出します。

すぐ怒る男と一緒にいると、だんだんと萎縮するようになるんですよ。「これは言っていいことかな」「これは怒っちゃうかな」と冷や冷やして、一緒にいても安らげない。自分らしくいられなくなっちゃいます。

確かに道明寺のストレートな愛情表現と暴力的な性格は、恋愛のドキドキ感というか、ジェットコースターに乗ったような気分になれる相手だと思います。

しかし、恋愛にドキドキを求めるか、心の安定を求めているかで選ぶ相手って変わってくるんじゃないかしら。

パートナーにうってつけのは花沢類!?  




パートナーに選ぶなら、一緒にいて気が楽な人が一番なはず。それが花沢類だと思われます。つくしは花沢類と非常階段で会うと、

「なにもかわす言葉はないけど おだやかで 好き…… この時間が」

(つくしが非常階段で花沢類に会った時、心の中で感じた一言・3巻より)

……と思ってる。

うん、これって将来のパートナーとして最高の条件ですよね。

花沢類は、静さんへの思いが届かなかったせいで、年上女性たちと遊んでた時期もあります。

『源氏物語』の光源氏も、義母である藤壺の宮に恋い焦がれ、実らぬ恋に苦しんで遊び散らかしちゃってました。光源氏と言えば数多の女性と浮名を流したことで有名ですが、どんなにチャラチャラしてたって、心の傷ゆえならいいんです。これは1000年も昔から変わらないんですね。



それに普段、無表情の人がふと花びらがこぼれるように笑うのって、キュンとしませんか?こういう不器用なタイプが一緒にいると、つい笑わせたくて頑張っちゃったりなんかして。

ところで花沢類って、なんでいつもフルネームで呼んじゃうんですかね。もし自分がいつも人から「和久井香菜子!」とかフルネームで呼ばれたら、めっちゃ違和感ですが。 

恋愛には傾向と順序がある




で、ちょっと思ったんですよ。恋愛って、出会いや別れ、そして失敗を重ねるうちに、好みの傾向が変わっていく。
たぶん、最初は道明寺みたいな強引な男性に引っ張ってもらうのがいいかもしれません。

あんなふうに押しに押されたら、自分に自信が出てくるはず。だけど、あまりに振り回されて気を遣ってたら、だんだん疲れてきちゃう。



そうしてクタクタになったころ、花沢類みたいな「一緒にいて楽な人」と出会ったら……。物足りないか、めっちゃ幸せかどっちかでしょう。 やっぱり花沢類の価値は、苦労してこそよりわかるんですよ。

というわけで道明寺タイプと付き合って「もう男性はしばらくいいかな」なんて思っている人がいたら、花沢類タイプをオススメします。

WRITER和久井香菜子

  • 大学の社会学系卒論で「少女漫画の女性像」を執筆、以来少女マンガ解説を生業にする。少女マンガの萌えを解説した『少女マンガで読み解く乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営。Twitter:@kanawaku124

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