BTSの「原爆Tシャツ」「ナチス」問題でデマ拡散 沈黙は破られるのか

wezzy

2018/11/14 01:15


 韓国のヒップホップグループ・BTS(防弾少年団)をめぐる国際的な問題がいっそう過熱している。発端は、BTSメンバーのジミンが着用していたTシャツのデザインだ。そのTシャツは韓国の「光復節」(終戦記念日)を祝うものだが、第二次世界大戦で日本が原爆を落とされて降伏したことが、すなわち韓国の日本支配からの独立につながったということなのだろう、原爆のキノコ雲と万歳する韓国の人々の図柄がプリントされている。

このTシャツのデザイナーは「日本をばかにする意図ではない」と説明しているが、日本では原爆のキノコ雲をデザインした洋服そのものへの疑問の声も大きい。それが「BTSは反日だ」「そんなに日本が嫌いなら日本で芸能活動をしないでほしい」といった声として広がっている。

筆者もそのTシャツのデザインには違和感を覚えた。戦時中に日本が韓国に対して非道な行為に及んでいたとしても、原爆投下という悲劇的な結末には、両国ともに悼む心を持つべきだろう。

一方で、BTSに対して脊髄反射的に「反日だ」と攻撃をする感覚はまったく理解し難い。現状、「嫌韓」もそして「反日」も、どちらも被害者感情が強すぎて、思考停止しているのではないか。お互いが「自分たちこそ被害者だ」と主張し相手を罵り、「向こうが悪いのだから、自分は悪くない」と言い張っているように見える。

韓国では、BTSがテレビ朝日の音楽番組『ミュージックステーション』への出演取り止めになったことを、徴用工判決に不服な日本側の制裁だと伝えるメディアもあったそうだが、その見方もまた短絡的ではないか。どちらも「自分たちは悪くない」と訴えるばかりでは当然、平行線だろう。相手側の言い分を冷静に理解しようと努める姿勢は望めないのだろうか。「貶められた」と感じたからといって、相手を攻撃する権利が生まれるわけではない。

BTSを過剰に擁護する盲目的なファンもいる
 「原爆Tシャツ」の件を機に、BTSがナチスをモチーフにしたパフォーマンスやファッションを披露していた過去も国際的に問題視されている。BTS側の歴史認識が、国際的な共通認識と照らし合わせたときに歪、あるいは軽いものであった可能性は否めない。

BTS側は彼らをプロデュース・マネジメントするスタッフも含め、ことの重大さをどれだけ理解しているだろうか。公式なアナウンスはなく、何日も沈黙を守っている。

だからだろうか、一部のファンは過激化している。BTSの日本での活動が“阻害”され、自分たちがBTSの提供するエンタメを享受できなくなった“被害者”だとして、SNSで暴言を撒き散らすBTSファンが少なくない数、目につく。

中には、「原爆くらいいいじゃん」「もう終わったこと」等との言動も見られ、悲しさと恐怖がわく。原爆によって大量の市民が虐殺された。言論は自由だが、戦争で何が起こったかくらい、小学校で学んだはずだ。

また、「ジミンに悪気はない」「彼らのことをちゃんと知ってほしい」と擁護する声も大きい。

たしかにBTSの活動を知りもせずに、「反日グループ」と認定して叩きたいだけの輩も大勢SNSを跋扈しており、訴えたくなる気持ちもわかる。BTSは、「自分自身を愛そう」と個々人の人権を尊重するメッセージを送り続けてきたグループで、彼らのメッセージに勇気を与えられた若者は多い。しかし彼らが優れたアーティストであることと、今回のこととは別問題であり、彼らには一連の問題について説明責任がある。

「BTSが原爆看板をユニセフに持ち込んでいた」とするデマ記事や、黒い雨と日の丸で原爆を表現したPVがある、東日本大震災を揶揄していた――などといった真偽不明な情報も日本のネット上で拡散しているが、こうした内容は嘘であっても訂正されず、広がり続けたうえで蓄積していくことになるだろう。こうした情報の拡散は愚かとしか言えないが、人はネットでは自分の信じたいものしか見ない。これ以上の誤解を生まないためにも、BTS側の公式な見解が待たれる。

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