ロナウジーニョが口座に750円って…借金地獄を経験した名アスリート列伝

日刊SPA!

2018/11/10 15:53



かつてのサッカー界のスーパースター、ロナウジーニョ(38)が借金に苦しんでいるという衝撃的なニュースが飛び込んできた。11月5日のスペイン紙『マルカ』によると、借金の返済を滞納していたため、裁判所がパスポートの没収と口座を差し押さえたところ、残高はたった6ユーロ(日本円で約750円)しかなかったという。

一時はあのデビッド・ベッカム(43)を抜き、世界一稼ぐサッカー選手だったロナウジーニョ。にわかには信じがたい話だが、大枚の飛び交うスポーツ界では、彼のように身を持ち崩すケースが少なくないのだ。

複数のメディアで報道された事実をもとに、いくつか振り返ってみよう。

◆①ボクシング マイク・タイソン(52)

2003年に2300万ドルもの負債を抱え込み、自己破産を申し立てた。現役時代には4億ドルとも言われるファイトマネーを稼ぎ出したにもかかわらず、全ては瞬く間に消え去った。宝石や高級車に湯水のようにつぎ込んだだけでなく、元妻への慰謝料900万ドルに加え、1340万ドルにものぼる税金も滞納していたという。

麻薬中毒や奇行などもあり人生のどん底を味わったタイソンだが、すっかり立ち直り娘のテニス練習を見守る良きパパとなった。

ひとつのきっかけが、モスクワで起きた鉄道テロ事故の被害者に面会したことだったという。顔に大やけどを負った女性の姿に人目をはばからず涙したタイソンは、このとき初めて、本物の強さを理解したと語っている(NHK-BSプレミアム『アナザーストーリー』2017年9月19日放送)。

◆②相撲 輪島大士(享年70)

2018年10月8日に亡くなった、第54代横綱の輪島大士。懸賞金を使い果たして翌年の税金が払えなくなったり、年寄株を借金の担保にしたために廃業するなど、様々な伝説を残してきた。

その後もプロレスへの転向、アメリカンフットボールの監督業、しまいには「とんねるず」との共演でバラエティタレントとしてブレイクまでしてみせた。

豪快な人生がクローズアップされがちだが、2009年に初めて相撲中継の解説を務めた際の、慎ましやかなたたずまいが忘れられない。

◆③MLB カート・シリング(51)

ランディ・ジョンソン(55)とのダブルエースで、アリゾナ・ダイヤモンドバックスを初のワールドシリーズ制覇に導いた2000年代を代表する名ピッチャー。19年の現役生活で稼いだ年俸の総額は1億1400万ドル。

しかし、熱狂的なゲーマーだったことが、その後の人生を狂わせた。趣味が高じて、ゲーム会社「グリーンモンスターズゲーム」(のちに38スタジオに改名)を立ち上げたのだが、2012年にあえなく破産。自身も全財産を失ったという。

闘志むき出しで、時には舌禍(ぜっか)事件を招いたキャラクターとは裏腹に、美しい投球フォームが印象的だった。

◆④ゴルフ ジョン・デーリー(52)

1991年の全米プロゴルフ選手権、1995年の全英オープンの計2度、メジャー大会を制した“悪童”。その後、アルコール依存症を患い、4回の離婚を経験するなど波乱万丈の人生を送っている。

なかでもひどかったのが、ギャンブル癖。溶かした金額は合計で6億円にもなるという。そのため、自ら物販をして回る生活までしていたというから驚きだ。でも悲壮感はなく、ガールズバー「フーターズ」の軒先を借りてTシャツを売る姿も、どこかなじんでいる(英タブロイド紙「デイリー・メール」2015年4月11日より)。

いまでもツアー大会への出場を続けているデーリー。大きく垂れ下がった腹に、ド派手な色のコーディネートは、ダントツに個性的だ。

◆⑤野球 伊良部秀輝(享年42)

尽誠学園のエースとして甲子園を沸かせ、千葉ロッテマリーンズでは清原和博(51)と数々の名勝負を繰り広げてきた伊良部。その後、念願のニューヨーク・ヤンキースへの移籍を果たすも、思ったように活躍できず、地元ファンやメディアからブーイングを浴びる辛酸もなめた。日本球界復帰後、阪神タイガースでリーグ優勝を経験したものの、翌年に戦力外通告を受けるなど、浮き沈みの激しい選手生活だった。

そして、2011年7月。突然の自殺という悲劇的な最期を迎える。経営していたうどん店の不振や、結婚生活の破綻などが原因と言われてきた。気性の激しさゆえ、ファンや首脳陣ともトラブルを起こしたことも一度ではない。だが、伊良部の心根を想像するとき、理想のコーチ像について語った以下の言葉を思い出してしまうのだ。

「ブルペンの横でコーヒーでも飲みながら、和やかな雰囲気で選手と話して、みたいな感じがいいですね。」

(週刊SPA 2011年7月19日号「エッジな人々」より)

◆⑥サッカー ポール・ガスコイン(51)

アルコール中毒、うつ病、暴力沙汰に税金滞納。にもかかわらず、愛され続けてきたガスコイン。その理由は、イングランド史上、最高の天才と称されるプレースタイル。無骨なイングランドスタイルにあって、柔らかく繊細なボールさばきは異彩を放っていた。

国民性の違いもあるだろうが、日本だったら真っ先に排除され、いなかったことにされてしまっただろう。

こうして見てみると、金銭や私生活に問題のあるアスリートは、いわゆる“ゲームチェンジャー”と呼ばれるタイプが多い。有事においてこそ力を発揮する存在。その力が強すぎるせいで常識から外れてしまうのを感じるから、私達は彼らに惹かれるのだろう。<文/石黒隆之>

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