BTS(防弾少年団)の原爆Tシャツは反日か“軽いノリ”か?ファッション関係者の見方

日刊SPA!

2018/11/10 08:54



世界的人気を誇る韓国のヒップホップグループ「BTS(防弾少年団)」のメンバー、ジミンが2017年3月に“原爆Tシャツ”を着用していた問題で、テレビ朝日が11月9日放映「ミュージックステーション」への出演を中止した。

ネット上では「日本を侮辱している」「悲しい」「被ばく者に失礼」など大きく波紋が広がっている。件のTシャツを制作したブランド「ourhistory」のデザイナーが韓国メディアの取材に応じ、「反日感情や日本に対する報復などの意図があるわけではなかった」と謝罪したが、現在もネットでは炎上が続いている。

ストリートファッションにおいてはメッセージ性の強いデザインも少なくないが、なぜこんなTシャツが売られていたのだろう? 今回はスタイリストやファッションライターに見解を聞いてみた。

◆デザイナーが釈明した経緯は…

原水爆のキノコ雲自体はTシャツなどで珍しくないアイコンだ。だが、どれも反核メッセージをあしらうか、何も文字がないか。

一方、問題の韓国のTシャツは、「原爆のキノコ雲」と「日本統治からの解放を喜んで万歳する韓国人たち」の写真、そして「Liberation(光復)」「Patriotism(愛国心)」という文字が並んでいる。

デザイナーは「原子爆弾が投下され、日本の無条件降伏により韓国が開放されたという歴史的な事実の順序を表現するため」と釈明したが、日本人からすると「原爆万歳!に見える」ということで大炎上したわけだ(ジミンはファンにもらって着ていた、と言われている)。

また、Tシャツのデザイナーは「ブランドをスタートさせた当時、ストリートファッションが流行っていた」ことを経緯のひとつに挙げているが、どういうことなのか。ファッションライターのA氏が解説する。

「数年前から哲学的でどこか意味ありげな言葉やグラフィックを用いたようなコンセプチュアルなブランドがトレンドとなっています。しかし、実際は作っている側もなんとなくデザイン的にクールとか、なんとなくエッジが利いているとか、そういうレベルが多い印象です。今回もそういう感じだったのかもしれません」

◆原爆Tシャツは“軽いノリ”だったのか?

そもそもヒップホップやストリートファッションの根底には、アメリカで差別や貧困に苦しんでいた黒人たちが、抑圧された気持ちや権力に対して抗う気持ちなどをファッションを通してメッセージ発信していた背景がある。アメリカに限らず、世界のストリートで若者たちが行き場のない思いをファッションで強く表現していた……。とはいえ、それも過去の話になりつつあるという。

「いまはもう時代が変わってその概念は古いのかもしれません。ブラック(黒人)、イエロー(黄色人種)、ユダヤ、LGBTなどが、なにかとテーマにされる対象でしたが、現在はあくまで“ファッション的にネタにしている”というか……。キワどいテーマでメッセージを主張することがカッコいい、みたいな風潮もあるんです。

今回の原爆ネタも軽いノリだったのでしょう。ただ、一部の韓国ブランドは加減がわかっていないことも事実ですね。さすがに原爆はまずい。

また、BTSのジミンは、原爆Tシャツだけでなく、ナチスっぽい帽子をかぶっていたことも取り沙汰されていますが、誤解を恐れずに言えばコスプレ的な感覚でしょう」

◆若い人たちは深い“意味”など考えずに着ている

一方で、着る側の意識はどうなのか。原爆Tシャツを着たジミンの真意はわからないが、一般的に言えば、「いまの若い子たちはそこまで深い意味など考えずに着ています」と語るのはファッション業界で15年以上活動を続けているスタイリストのB氏。

「30代以上の世代でオシャレな人は、ブランドの成り立ちや背景なども踏まえて着こなしています。しかし、最近の若い子たちはSNSなどで雰囲気的にオシャレなスタイルやアイテムを探して選んでいる気がします。むしろ、そんなに意味など求めていない。日本も韓国も。

こないだ、人気モデルのAさんがスケートブランドのスラッシャーのバッグを使っていたので『スラッシャー好きなんですか?』って聞いたら『え、スラッシャーってなんですか?』と返ってきたので驚きました(笑)。ロックTシャツなども流行っていますが、そのバンド自体を知らないなんて子も多いですよ」

現在は良くも悪くもこだわりが少なく、テイストの異なるブランドをミックスしたり、メンズとレディースを組み合わせたり、なんでもアリのようだ。着こなしに意味がありそうで、実は意味などない……。

「最近はノンポリシーこそクール、みたいなサトリ系の若者が多いのかもしれませんね」

実際に反日の意図があったのか、ジミンの真意はわからない。だが、批判の声が多く噴出し、Mステ出演が取り止めになってしまったように、たとえファッションだとしても今回は越えてはいけない一線を越えてしまったのかもしれない。<取材・文/日刊SPA!取材班>

あなたにおすすめ