BTSの『Mステ』締め出しの裏!「原爆Tシャツ」はただの口実で実体はネトウヨの韓国ヘイト

リテラ

2018/11/10 06:57


 本日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演予定だったBTS(防弾少年団)の出演が、急きょ中止となった。

テレビ朝日は放送日前日8日の夜、番組ホームページ上でこのように告知。BTSの出演中止を発表した。

〈11月2日に予告しましたBTSの11月9日放送回での
ご出演を今回は見送らせて頂くことになりました。
以前にメンバーが着用されていたTシャツのデザインが波紋を呼んでいると
一部で報道されており、番組としてその着用の意図をお尋ねするなど、
所属レコード会社と協議を進めてまいりましたが、
当社として総合的に判断した結果、残念ながら今回はご出演を見送ることとなりました。
ご出演を楽しみにされていた視聴者の皆様に深くお詫び申し上げます〉

ここで言及されている〈メンバーが着用されていたTシャツのデザインが波紋を呼んでいる〉というのは、メンバーのジミンが原爆のきのこ雲の写真がプリントされたTシャツを着ていたのがネットを中心に問題視されていることを指す。

つまり、テレビ朝日は、今回のBTS出演中止の原因を「メンバーが着ているTシャツのデザイン」であるとして、番組から締め出したのだ。

これはどう考えてもおかしい。ジミンが問題となっているTシャツを着ていたのは2017年のワールドツアーでのこと。しかも、ステージ上などではなく、オフショットで着ていたというだけである。

最近の話ではないし、ARMY(BTSのファンの総称)の間ではすでに一度話題となり、もう過去の話となっているものだ。

また、ネトウヨ層の間では「原爆Tシャツ」と扇情的な呼び方をされているが、実際は「原爆」を主題としたものではなく、「光復節」(日本の植民地支配から解放された8月15日のこと)に関するものである。

件のTシャツには、〈PATRIOTISM OURHISTORY LIBERATION KOREA〉という文字がメインでデザインされており、長崎のきのこ雲の写真1枚と、解放を喜んでバンザイする人々の写真1枚が、それぞれ小さくプリントされている。

TシャツのデザイナーであるLJカンパニーのイ・グァンジェ代表は「日本をばかにするような気持ちはなかった。原爆が投下され、日本が無条件降伏したために、韓国は解放されたという歴史の順序を表現するものだった」としており、反日感情を煽るような意図はなかったと説明している(2018年11月9日付ニュースサイト「WoW!Korea」より)が、たしかにこのデザインからいっても、Tシャツの主題が朝鮮半島の解放であることは明らかだ。

戦時中、日本に植民地支配によって被害を受けた韓国人の視点に立って、原爆を「戦争を終わらせた」存在としてとらえたということなのだろう。

もちろん、だとしても、無慈悲な兵器で多くの人々が殺された悲劇を顧みず原爆を肯定するかのようなデザインは到底賛同できるものではない。

ただ、先に述べた通り、ジミンがTシャツを着ていたのは昔の話であり、さらに、問題を指摘されてからは着ているところは確認されていない。

ではなぜ、いまになってこの話が蒸し返されて炎上しているのか。

それは、ネトウヨによってBTSが「反韓」「嫌韓」を煽るための道具にされてしまっているからだ。

●在特会元会長の桜井誠が『Mステ』への電話攻撃をネトウたちに扇動

たとえば、韓国人や中国人へのジェノサイドまでをも主張するレイシスト団体「在特会」元会長の桜井誠氏は、11月5日に更新したブログで『ミュージックステーション』のスポンサー企業に“電凸”する旨を告知。また、〈桜井は個人的にこれらの企業に11月9日(金)のテレビ朝日の番組について、「貴社は番組に出演する韓国人グループが原爆Tシャツを着て、日本への原爆投下を祝っていることを知っているのか?」「日韓基本条約破棄判決が出たばかりの現在、国民世論が日韓断交で湧き上がっている中で、こうした韓国人を出演させることを是とするのか?」「貴社は反日企業なのか?」など問い糺したいと思っています。恐らく、こうした問い合わせは、桜井だけではなく日本中の心ある皆さんが行っていることと思います。日本人であれば、誰でも自分の国が好き、そこには左右の思想は関係ないはずです〉と書いて、同様の抗議行動を煽っていた。

桜井氏はさも原爆Tシャツに怒りを示しているかのように書いているが、桜井氏自身が、原爆被爆者の心を踏みにじってきたことを考えると、何を言っているのやらという感じである。

在特会はこれまで、原爆ドーム解体を主張したり、8月6日に核武装推進を訴えたデモ行進を行うなどしてきた。本当に原爆や核の問題を考えているというのであれば、問い糺されるべきは、ただ単に原爆の写真がプリントされていたTシャツを着ていただけのジミンではなく、桜井氏自身ではないか。

ようするに、「原爆Tシャツ」はBTSを攻撃するための口実として掘り出してきたにすぎず、BTSバッシングの本質は韓国ヘイトにほかならない。そしてBTS自体もまた、韓国を叩くための道具として利用されているに過ぎない。

少しでも現在のポップミュージックに通じている人であれば、東アジア出身のグループとしてBTSがどれほどの偉業を達成しているか知っているだろう。

BTSは『LOVE YOURSELF 轉‘Tear’』(今年5月発売)と『LOVE YOURSELF 結‘Answer’』(今年8月発売)を、連続でアメリカのビルボード総合アルバムチャート1位に送り込んだことで、世界中の誰もが認めるグローバルなボーイバンドとなった。

東アジアのグループが総合チャートでこのような成績を残すのはもちろん初めてのこと。さらに、BTSの偉業がすさまじいのは、これらのアルバムがすべて韓国語で歌われているということだ。英語以外の言葉で歌われたアルバムが総合アルバムチャートの首位を獲得したのは、イル・ディーヴォ『アンコール』以来12年ぶりである。

また、今年のBTSの活躍はそれだけに留まらない。9月24日(現地時間)には、若者の就学、技能訓練、雇用の確保を目指すためのパートナーシップ「Generation Unlimited」の発足イベントに出席。ニューヨークの国連本部でスピーチを行った。

BTSが目の敵にされている背景には、日本人ミュージシャンがこれまで誰もなし得なかったレベルの成功を収めていることへの嫉妬もあるだろう。

●徴用工問題で嫌韓ムードが高まるなかネトウヨの差別的抗議に屈したテレ朝

加えて、桜井氏らレイシストは徴用工問題で日韓関係が悪化し嫌韓ムードが高じるなか、さらに嫌韓感情を扇動することを狙ったのは明らかだ。まんまと狙い通り、焚きつけられたネトウヨの差別感情の発露に屈してしまったテレビ朝日と『Mステ』は浅はかとしか言いようがない。

また、今回の『Mステ』出演中止を受けて、「これで紅白はなくなったな」などとする声もあるが、いつまで宗主国根性なのかともはや笑うしない。BTSはほぼ100%『紅白歌合戦』には出演しないと思うが、それは先に述べてきた通り、現在のBTSのポップカルチャーにおける立ち位置を考えれば、日本の一テレビ番組が出演させるとかさせないとかいうレベルにないことは明らかだ。

ところで、話は少し変わるが、今回の出来事は「政治問題によってミュージシャンが音楽番組から排除される」という、まさしく「音楽」に「政治」がもち込まれた事件である。昨今の日本では、安倍政権批判をしたミュージシャンに対して、決まって「音楽に政治をもち込むな」という号令が巻き起こるが、なぜ今回はそういった声が起こらないのだろうか。不思議なものである。

それはともかく、BTSを話題の中心に置きながら、排外主義を煽り立てる人が激増しているいまだからこそ、確認しておきたいことがある。

それは、K-POPは人々の分断を煽る道具ではないということだ。

BTSはもちろん、BLACKPINKも、EXOも、TWICEも、NCT 127も、Red Velvetも、iKONも、IZ*ONEも、SEVENTEENも、LOONAも、その音楽によってファン同士の連帯を促してはいても、分断させようとする活動などしていない。

ここ最近のK-POPのグループは韓国人だけでなく多国籍で構成されているグループも多い。上記のなかでも、TWICE、IZ*ONE、NCT 127には日本人のメンバーも所属している。さまざまなルーツを背景にひとつのグループに集まったメンバー同士が、お互いに言葉や文化を学び合いながら団結を深めていく様子を見るのも、ファンにとっての楽しみのひとつとなっている。

●K-POPは分断を煽る道具ではない!音楽を通して交流する日韓の若者たち

ポップミュージックなどの文化を通して交流することは、国際親善のきっかけのひとつとして大きく機能するものだ。

日本におけるK-POPの第一人者と言われることも多い、韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨氏は「ユリイカ」(青土社)2018年11月号のインタビューのなかで、インターネットを中心にしばしば敵対意識が表面化する日韓関係について、「隔たりをどう埋めていくかというと、そこはもうひたすら地道な草の根交流を続けていくしかないと思うんです。やはり実際に韓国に行ったり何かしら関係をもったりすることで初めて見えてくるものがあるんですよね」と語っている。

現在の日本ではネットニュースを中心に韓国への悪い印象を強調するような記事が多く出ている状況だが、文化などを通して相手を理解していれば、変な誤解をすることもなく、各々のニュースについて自分なりの視座で捉えることができるようになる。

「いまK-POPを聴いている小中学生が急激に増えています。その子たちは大人たちが作り上げた壁に毒されることなく、すごく純粋な気持ちで韓国を見ることができている。エンターテインメントというわかりやすい切り口から他国に接するのはすごく大事なことで、そうして相手を理解したうえであれば、先ほど言ったようなネットニュースにふれたときにも「ここではこう言われているけれど、こういう部分もあるのではないか」といったように自分で考え、自分自身の答えを導き出すことが出来ると思うんです。そこに僕は未来を感じるんですね」

実際、K-POPのアイドルを好きになったことをきっかけに韓国語を勉強し始め、ツイッターやインスタグラムを通じて韓国のファンと交流をもったりする若者は非常に多い。

「原爆少年団は日本に来るな」「韓国とは国交断絶」などとわめき散らしているネトウヨと、ハングルとSNSを巧みに操りながら国際意識を育んでいる若者、どちらに「未来」があるかは言うまでもないだろう。
(編集部)

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