<試写室>「あなたには渡さない」妻VS愛人の“直接対決”に震えっ放し

ザテレビジョン

2018/11/10 06:00

「あなたには渡さない…!」

なかなかのパワーワードだが、そういえば一度言われたことがある。

同棲していたある女性が出ていくことになり、一緒に住んでいたミニチュアダックスフントをどっちが連れていくかを話していた時だ。そういえばあの時も鬼のような顔で言われたっけ。

女性って普段のほほんとしていても、“いざ”って時は本当に怖い顔するんだなって、当時まだピュアだった筆者は思ったものだが、このドラマを見てあらためて思い知った。女性を敵にまわしちゃいけないなってことを。

いや、むしろ、そうやって女性は~って言っている時点で敵にまわしそうだが…どうか人の揚げ足ばかり取らない平和な時代が訪れますように。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回はのっけから女性同士の激しいやりとりが展開する、11月10日(土)スタートの木村佳乃主演ドラマ「あなたには渡さない」(毎週土曜夜11:15-0:05、テレビ朝日系)を取り上げる。

1996年に刊行された連城三紀彦の小説「隠れ菊」(集英社文庫刊)が原作の同ドラマは、「決して負けたくない」との思いで戦う女性たちと、その渦中に巻き込まれ消耗していく男たちの激しくも美しい愛憎劇を描くラブ・サスペンスストーリー。

■ 第1話のあらすじは?

第1話では…有名料亭「花ずみ」の前に1台のタクシーが止まった。そこから出てきたのは上島通子(木村)。

彼女は20年前にこの料亭のおかみの一人息子で板長でもある旬平(萩原聖人)のもとに嫁いだが、経営には一切関わらずに専業主婦として生活していた。

その通子にとってこの場所を訪れたのは、結婚前にあいさつに来て以来だった。ある決意を固めた通子は、門の中に入っていく…。

その2日前。突然、旬平から「金沢から酒造会社の社長が来るから、今から東京駅に迎えに行ってくれ」と言われた通子は、目印に一本の菊を持って東京駅へ。

てっきり男性社長だと思って待っていた通子の前に現れたのは、着物姿の多衣(水野美紀)。多衣は通子を自身が泊まっているホテルのティーラウンジに誘うと、突然、亡くなった義母との思い出を語りだした。

「仕事の息抜きに何度か金沢に来てくださって」と自分の知らない義母の姿を楽しそうに話す多衣に、戸惑う通子。そんな通子に多衣が勝ち誇った顔で言う。「わたくし、ご主人をいただきにまいりました」。

■ 独断と偏見のレビュー

ちょうど1年前の「オトナ高校」から始まり、2018年になってからは「明日の君がもっと好き」「おっさんずラブ」、そして「ヒモメン」と一筋縄ではいかない恋を描いてきた「土曜ナイトドラマ」枠。

次は何がくるかとワクワクしていたファンも多いだろう。筆者もその1人だったが、情報を聞いたときは、ここにきて正統派(?)のドロドロ系をもってきたか、と少し意外な思いをしたが、同時に安心もした。まず外さないだろうと。

いざ第1話は? というと、冒頭で触れた通り女性の怖さが浮き彫りになった回だった。

「後ろを振り返らない人」が相手だからって、振り返るかどうか30分後ろから見ていたって、怖過ぎやしませんか。もうその時点で勝負アリな感じはしたのだが、絶対に出会っちゃいけないタイプの2人のいきなりの“直接対決”にゾクゾクしっ放し。

音符が透けて見えそうなほど明るい主婦・通子(木村)と、不敵な笑みで顔の後ろに虎のオーラが見える愛人・多衣(水野)。

出会いの瞬間から絶対にかみ合いそうにないやりとりを繰り広げたと思えば、ここまで聞き逃しそうな勢いでさらっと愛人であることをカミングアウトする愛人っているの?ってくらい、さざ波のような口調で多衣は自分が夫の愛人であることを告白した。

かと思えば、次の瞬間には声のトーンを落として(心なしか顔のあたりを暗くして)「大嫌い」って…。

よく「背筋が寒くなる」とか「背筋が凍る」という表現を使うが、それどころじゃなく、一瞬で全身冷凍されてしまうような破壊力。鮮度が良過ぎてマグロだったら豊洲行きだ。

さておき、少し前「ここにいるよぉ~!」ってクローゼットから出てきたとき以上にゾクゾクしたかも。

某任侠映画の見過ぎかもしれないが、やはり女性の和服は“強い”印象を受けてしまう。

多衣だけでなく、もちろん主人公の通子も強いし、怖い。こちらは何が怖いって、演じる木村の女優としての表現力が怖い。

普段から強い女性を演じさせたら絶対敵にまわしたくないタイプに、弱い女性を演じさせたら反対に振り切って守ってあげたくなるタイプに…。

今さら大女優に演技力がすごいなんてのは当たり前過ぎて言いにくいのだが、この作品では強い顔あり、弱い顔あり、楽しげな顔あり、つらそうな顔あり、瞬時に入れ替わり、彼女に対してどういう感情を抱けばいいのか戸惑うほど。

いや、不倫されているんだから問答無用で同情して守ってあげないと…って感情を抱くべきなんだろうけど、あの表情を見れば杞憂に終わりそうな勢いだ。

そして女性同士をバトルさせることになった張本人・旬平。

硬派で優秀な板長っぷりが文字通り板についていて、「(包丁さばきは)1からどころかゼロから。“トントントントントン”とリズムよく切るのが怖くて仕方なかったです」(萩原談)とは思えないほど。

そして、同時にとてもこの人が6年間も愛人と付き合っていたとは思えない常識人に見えたから怖い。

人は見た目じゃ分からないということなのか、それとも心底ただのゲス夫なのか、実際は違う真相があるのか、男女の話はデリケートなので受け取る人の感覚に委ねたい。

その他、この旬平と通子という美男美女夫婦の娘はやはり美少女なんだ…と思ったら国民的美少女こと井本彩花じゃないか。演じる2人の娘・優美も見るからに危うさを秘めている。

出演が決まった際に、井本は「その複雑さを表情や動きできちんと表現できるようになりたいです」とコメントしていたが、既に目の動きだけで何かすべてを見透かしていそうな感じが出ているし…、これまた末恐ろしい女優だ。

さらに、通子のアニキのような存在だという笠井芯太郎(田中哲司)は、通子に対して単なる親切心だけはない何かを秘めていそうな雰囲気がその動きからヒシヒシ伝わってくるし、板前姿がものすごく板についている矢場俊介役の青柳翔の好青年感、そして料亭“花ずみ”の仲居・堀田八重役の荻野目慶子はさすがのオーラ。

どう見ても、ただ者ではなさそうで、1話の登場人物は少ないながらもかなり個性豊か。

他局を見まわすと、この10月期もいろいろな形の恋愛ドラマがあるが、ここまで第1話からドキドキしっ放しの恋愛ドラマはこれが初めて。

タイトルからしてちょっと気軽な気持ちで手を出せない雰囲気もあるかもしれないが、見始めたらあっという間。独特の音楽も気分を盛り上げるには十分だし、久々に次が楽しみになる“ドロドロファンタジー”がここにあった。

ほんと、一度でいいからこんな美女たちに自分を巡って恋のバトルをしてもらいたいものだなぁ。

おっと、また女性を敵にまわしたところで幕を引こう。女性の敵の座は、あなたには渡さない。

いや、それは積極的に渡そうよ。(ザテレビジョン・文=人見知りシャイボーイ)

https://news.walkerplus.com/article/168739/

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