眠れない現代人の「睡眠障害」対処法 第5回 睡眠にまつわる諸説のウソ・ホント


睡眠は、人間ならば誰もがとらなければならないものです。その分、有象無象のさまざまな説が飛び交っています。みなさんもさまざまな睡眠の仕方や睡眠の効果を聞いたことがあると思いますが、それらの知識は本当に正しいのでしょうか。本稿では、その中からいくつかをピックアップして回答していきます。

○眠るときの正しい姿勢は仰向け? うつ伏せ? 横向き?

睡眠時の姿勢は、「仰向け」「うつ伏せ」「横向き(左右)」の3つに大きく分類できます。そして、寝るときは仰向けが良いという説もあれば、うつ伏せや横向きが正しい姿勢だという説もあります。一体どれが本当なのでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群を患っている方であれば、仰向けは喉が詰まりやすいので避けるべきです。しかし、それ以外の方は特に姿勢を気にする必要はないでしょう。姿勢を気にしすぎて眠りに入りにくくなるよりは、自分の眠りやすい姿勢で眠るのが一番です。

睡眠中は、どちらにせよ何度も寝返りを打つものです。決まった姿勢で眠ろうと思っても無理ですし、それによってストレスを発生させてしまっては元も子もないのです。
○お肌のためには22時に寝るのがいい?

ひと昔前、「22時から2時がお肌のゴールデンタイム」という説が話題になりました。これは成長ホルモンの分泌による新陳代謝に由来した説ですが、この表現は正しいとは言えません。

新陳代謝を促進するために成長ホルモンが重要であることは確かですが、成長ホルモンは特に、寝た直後の1~2時間に多く分泌されます。これは、睡眠がもっとも深くなっているタイミングと同じです。何時から何時の間に眠らなければ出にくいというわけではなく、眠ってからどれだけ時間が経過したかのほうが重要なのです。

睡眠に入る時間帯にとらわれて眠りが浅くなってしまっては、かえって成長ホルモンの分泌を妨げてしまいます。タイミングよりも、睡眠の質をしっかり確保することを心がけましょう。
○睡眠サイクルを知れば睡眠時間はコントロール可能?

睡眠には、眠っていても眼球が動き続ける浅い眠りの「レム睡眠」と、眼球が動かない深い眠りの「ノンレム睡眠」があります。睡眠中はこの2種類の眠りが一定のサイクルで繰り返されています。ただし、眠ってから時間が経過すればするほどノンレム睡眠も浅くなるため、長時間眠れば眠るほど疲れが取れる、とは言い切れません。

また、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルには個人差があり、概ね90~120分程度が1サイクルとなっています。しかもこのサイクルの長さは体調によっても変わります。サイクルに合わせて睡眠をとれば短時間睡眠でも疲れが取れる、なんていう話もありますが、そもそもそのように睡眠をコントロールするのは基本的に不可能なのです。しっかりと疲れを取り、決まった時間に起床したいのであれば、ノンレム睡眠が浅くなる早朝の時間帯までしっかりと睡眠時間(量)を確保しなければいけません。

私たちの脳と身体は、十分な眠りがあって初めてその機能を発揮するようにできています。眠りの質と量はしっかり確保しましょう。それが睡眠障害への対処の基本となります。

○監修者

井上雄一 (いのうえゆういち)

医療法人社団絹和会 睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長
1956年生まれ。1982年 東京医科大学卒業・鳥取大学大学院入学。1987年 医学博士・鳥取大学医学部神経精神医学助手。1994年 同大講師。1999年 順天堂大学医学部精神医学講師。2003年 代々木睡眠クリニック院長、公益財団法人神経研究所研究員(現職)。2007年 東京医科大学 精神医学講座教授(現職)。2008年 東京医科大学睡眠学講座教授(現職)。2011年より医療法人社団絹和会 理事長(現職)。

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