パナマ文章で話題になった「マネーロンダリング」。汚いお金をきれいにするって、どういうこと?


Evil Weekへようこそ。米Lifehackerでは年に一度この期間に、ふだんはとても紹介できない、悪のライフハックを紹介しています。

おそらく、テレビドラマやニュースなどで、マネーロンダリング(資金洗浄)という言葉を耳にしたことがあると思います。アルカポネは文字通り、コインランドリーを使って資金を洗浄しました(資金洗浄という言葉はここから生まれた)。

このように、マネーロンダリングといえば、ドラマの世界や、伝説的な犯罪者にだけ関係しているように思えます。

しかし実際には、ギャングやホワイトカラー犯罪者だけが、資金洗浄を行うわけではありません。それよりずっと一般的に行なわれているのです。

マネーロンダリングの手口は?


理論的には、誰でも資金洗浄を行うことができるし、実際、多くの人が行っています。国連薬物犯罪事務所によると、毎年8000億ドルから2兆2000億ドル(世界のGDPの2~5%)が資金洗浄されているそうです。

麻薬カルテルやテロリストシンジケートがその総額の1%を占める一方で、数多くの中産階級の投資家や実業家がマネーロンダリングに手を染めています。

簡単に言えば、資金洗浄とは、非合法的に獲得したお金を合法的に稼いだように見せかけるプロセスです。言い換えれば、違法な資金源Aから入手したお金を、合法の資金源Bから入手したことにするということです。汚れたお金を手に入れ、きれいなお金に変換します。

資金洗浄(マネーロンダリング)する方法


資金洗浄のプロセスは大きく3つの段階にわかれますが、一般的な3段階計画法よりはずっと複雑です(ポイントはお金の流れを追跡できなくすることです。そのためにさまざまな工夫がこらされます)。

1. プレイスメント:

汚れたお金を「まっとうな」財務システムに入れ込む段階です。

通常、大量の現金を移動させることになるため(クレジットカードでコカインを売りませんよね?)、最も危険な段階でもあります。

やり方は無数にあります。非合法な資金でローンを返済したり、ギャンブルに使うこともあります。大きなお金が動く合法的なビジネス(洗車会社やストリップクラブなど)を利用して、汚れたお金ときれいなお金を統合するケースもあります。

あるいは、汚れたお金を外貨と交換することも可能です。非合法なお金を小規模の金融商品と交換して報告義務を逃れたり、不動産を購入することもあります。

2. レイヤリング:

次の段階では、本当の資金源がどこかをわかりずらくするために、お金を移動させていきます。洗練された詐欺師たちにとって、これは、海外の金融商品、企業、投資などに資金を移転することを意味します。

通常、こうした移転は、さまざまな商品に対して、複数回にわたって行われます。資金洗浄者の多くは、資金をオフショア口座に移動し、それをペーパーカンパニーに移転して、さらに別のペーパーカンパニーに移し、といったことを繰り返し、解読困難な複雑なネットワークを構築します。

3. インテグレーション:この段階では、合法的な資金源から資金を回収します。この段階も、芸術作品の購入、不動産の売却など、さまざまな手口があります。

米国には、「specified unlawful activities(特定違法行為)」と呼ばれる、資金洗浄とみなされる何百もの法律違反があります。ここには、麻薬犯罪や、デイケア/メディケイド詐欺なども含まれます。また、資金源を隠す意図のある活動に従事した者もこの犯罪に問われることになるでしょう。

これが実際に何を指すのかを理解するために、いくつかのケーススタディを見てみることにします。

事例:ポール・マナフォート(Paul Manafort)事件


最近では最も有名な事例かもしれません。トランプ大統領の選挙対策本部長だったポール・マナフォートは、税金逃れや銀行詐欺に加えて、資金洗浄でも起訴されています。How Stuff Worksが、マナフォートの資金洗浄のやり方を次のように概説しています。

伝えられるところでは、マナフォートは、元ウクライナ大統領のヴィクトル・ヤヌコビッチ氏から、数百万ドルを受け取ったということである。

マナフォートは、こうした収益を国税庁に申告して税金を払うかわりに、資金をオフショア口座に移し、そのお金を使って米国内の高額な不動産を購入した疑いがもたれている。

検察によると、同氏は不動産を手に入れると、米国の銀行から数百ドルのローンを引き出すための担保として使用したということだ。

資金は収入ではなくローンという形になり、マナフォートはその収入に関して税金を支払う義務を逃れることができた。

マナフォートの事件は不動産だけに留まりませんでした。

マナフォートは6年間にわたり、オフショア銀行口座システムを使い、「合計で640万ドルを不動産に、1200万ドル以上を服や車、家の改築などの個人消費の物品やサービスに移転した」とNew York Timesが伝えています。

そのなかには、100万ドル以上のアンティーク毛布の購入代金とメンテナンス料金、1万5000ドルのいまや悪名高いダチョウ革コートが含まれています。

Politicoが言っているとおり、マナフォートの悪行がばれたのは、同氏が「まぬけか不運」だっただけにすぎません。99.9%の資金洗浄者は、何のお咎めもなくのうのうと暮らしています。

不動産への投資は常套手段である


シンクタンク「Global Financial Integrity」のマネージングディレクターで金融犯罪の専門家でもあるTom Cardamone氏によると、高額な不動産への投資は、資金洗浄の常套手段なのだそうです。

「資金洗浄の古典的な手口は、ニューヨークやマイアミなどの地価の高い地域で不動産を購入することだ」と同氏は話します。

不動産を購入するのに使ったお金をは汚れており、きれいにしなければならない。つまり、合法的な財務システムに入れ込む必要がある。資金洗浄者は、現金で不動産を購入し、保有しながら、好きなときに売ることができる。売却で得た資金はきれいなお金となる。すなわち、資金が洗浄される。

たとえ売却で損失が出たとしても、数百万ドルのきれいなお金を手に入れられるだけでも十分に価値があります。実際、匿名の買い手は、取引を円滑に進めるために、希望価格を上回る金額を提示することがよくあります。

2015年にNew York Timesが、匿名のLLC(有限責任会社)によって、米国内の高額不動産の価格が釣り上げられている実態をレポートするまで、LLCによる不動産購入を連邦政府に報告する義務はありませんでした(こうしたLLCはたいてい、外国の富裕層が所有している)。

米国財務省は2016年に、不動産会社に対し、現金による取引の相手の名前を開示することを要求する、と発表しました。それはつまり、わずか数年前まで、ペーパーカンパニーを通して購入されたアッパーウエストのコープや、マイアミビーチのマンションの所有者が誰であるかを追跡できなかったことを意味します。

パナマ文書/パラダイス文書


パナマ文書とそれに続くパラダイス文書は、政治家や公務員を含む世界の富裕層のかなりの数が、税金逃れや、資金洗浄に関わっている実態を垣間見せてくれました。

これらのペーパーでも詳細に報告されていますが、富裕層がよく使う資金洗浄の手口のひとつは、マナーポート氏と同じ、ペーパーカンパニーを通じて高額な不動産を購入するというものです。

少し説明をすると、ペーパーカンパニーとは、事業活動をするためではなく、取引を処理するためだけにつくられる法人です。こうした企業は、プロダクトの製造や販売、サービスの提供などは一切行いません。

通常、規制がゆるいバミューダやパナマのような場所にLLC(有限責任会社)として設立されます。こうしたタックスヘイブンには税金がありません。そのかわり、LLCの開設手数料を徴収します(通常は毎年徴収)。企業オーナーに税金を節約させることで、国は多大な収益をあげています。

Cardamone氏によると、匿名LLCは、ほかのどの国よりも米国内で多く設立されているそうです。

ニュージャージー州、ニューヨーク州、デラウェア州、ほぼすべての州で設立できる。ほとんどの州では、ライセンスに、実質の所有者の名前を記載しなくてもよいとされている。

つまり、代理人を立て、代理人の名前でLLCを設立できるということだ。こうしたデラウェア州のゆるいビジネス規制は、匿名LLCだけでなく、あらゆる種類の企業にとって魅力的なものとなっている。

LLCが資金洗浄に使われるのは、企業の所有者と資金の出処を隠すことができるからです。理論的には、あなたもLLCを設立し、そこに資金を流し込み、広範囲に分散することができます。企業の匿名所有者になれば、企業名義で世界中で銀行口座を開設できます。

資金洗浄では、ペーパーカンパニーをネットワーク化し、取引経路を複雑にすることで、特定の個人へ容易にはたどりつけないようにしています。

ネットワークはやり方次第でいくらでも複雑にできる。たとえば、デラウェア州のLLCが、香港の銀行口座を持っているケイマン諸島のLLCを所有しているといった具合だ。

こうした不透明性のおかげで、法執行機関が、ネットワークの多層構造を解読し、誰がどの企業を所有しているかを把握するのは非常に困難だ。

LLCを設立することは完全に合法的な行為です(違法なのは資金洗浄、税金逃れの部分)。

たとえIRSやその他の連邦政府機関が疑いを持ち、LLCの所有者が雇った弁護士までたどり着いたとしても、弁護士は「弁護士・依頼者間の秘匿特権」により、所有者が誰であるかを秘匿することができます。

麻薬と銃


資金洗浄で税金逃れをしようとするのは富裕層だけではありません。

それよりもはるかに深刻なケースがあります。

「オピオイド、メタンフェタミン、コカインといった破滅的なドラッグを蔓延させる犯罪者だ」と、元財務省特別代理人のJohn Cassara氏がPoliticoに語っています。

ギャングの暴力、行政サービスに対する詐欺、腐敗、インターネット詐欺、個人情報の盗難など、多くの犯罪が人びとの日常生活に影響を与えている。そして、私たちの国家安全保障を脅かすテロリズムの一部は、資金洗浄によって支えられている。

こうした犯罪者たちは、資金を洗浄するために、世界の富裕層とほとんど同じ仕組みを使っています。「法的には、匿名のペーパーカンパニーを、誰がどんな目的でも使うことができる」とCardamone氏。

もしあなたが完全に合法的なビジネスパーソンであれば、匿名のペーパーカンパニーを使うことができる。あなたが麻薬密売人であっても、同じく匿名のペーパーカンパニーを利用できる。犯罪者たちはこの法制度を利用して、違法行為を続けている。

ペーパーカンパニーだけではありません。合法的なビジネスも同じように利用できます。

Netflixの「オザークへようこそ」のファーストシーズンは、麻薬ビジネスに、合法的なビジネスがどのように利用されるのかを、わかりやすく(いささか現実離れしているにせよ)描写しています。

ファーストシーズンで、ジェイソン・ベイトマンが演じるマーティ・バード(会計士からカルテルマネーの資金洗浄者に転身した)は、モーテルを買い、リノベーションを行います。

16000平方フィートのカーペットを1平方フィートあたり0.69ドルで購入した後、バードは、モーテルの帳簿に、32000平方フィートのカーペットを1平方フィートあたり8.75ドルで購入したと記載しました。

差額は27万ドルにのぼります。少しばかり会計の知識があれば、帳簿を簡単にごまかすことができます。マーティはその後、モーテルからストリップクラブに拠点を移します。ストリップクラブは、あらゆる種類の不法ビジネスが横行する、現金取引の最前線です。

ちなみに、そのストリップクラブは、パナマのペーパーカンパニーが所有していました。マーティの名前は書類上には一切記載されません。ペーパーカンパニーは、大規模な資金洗浄スキームを支える、完全に合法なコンポーネントなのです。

より身近な資金洗浄


もっとも、「匿名LLCを設立して資金洗浄を試みることは、ほとんど誰にでもできてしまう」とCardamone氏は言っています(推奨しているわけではありません)。

資金を洗浄するのに、必ずしもペーパーカンパニーの複雑なネットワークを組み上げる必要はありません。投資スキームから、IRSが2015年に報告した次の事例にいたるまで、資金洗浄のやり方は無数にあります。

2015年3月19日、[エリカ・レイ]ブラウンは、銀行詐欺行為に関連するマネーロンダリングの罪を認めた。裁判記録によると、ブラウンは、データ保管施設プロジェクトを立ち上げると虚偽の説明を行ない、銀行から400万ドルの融資を受けた。しかし、融資金の財務分析により、ブラウンが融資されたお金を、ラグナビーチにある邸宅の家賃128,135ドル、ロレックス時計2台の代金5,825ドルを含む、個人的な用途に使用していたことが判明する。 2013年8月、銀行は不動産の差し押さえを執行した。

これは、資金洗浄が成功した事例ではありませんが、とてもわかりやすいサンプルです。「誰でも同じことができる」とCardamone氏。

卓越した法律知識を持ち合わせている必要はありません。

ポール・マナフォートやエリカ・レイ・ブラウンよりも少しだけ賢く立ち回ればいいだけです。

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Image: Lifehacker US

Source: The NewYork Times(1, 2), Politico Magazine(1, 2, 3), Global Financial Integrity, IRS

Alicia Adamczyk - Lifehacker US[原文

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