トランプが中間選挙会見で「晋三は自動車関税のことでハッピー」と皮肉! 安倍首相のスネ夫外交はますます悪化

リテラ

2018/11/8 23:38


 下院の過半数が民主党、上院が共和党という結果となったアメリカの中間選挙。上院選はそもそも改選組がほとんど民主党だったため共和党が過半数を超えたことは予想どおりだったが、下院選では台風の目となっていたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏が見事当選したことを筆頭に、「対トランプ」候補が躍進。ムスリムやネイティブ・アメリカンの女性たちがアメリカ初の連邦議員に選ばれたり、コロラド州知事選でも同性愛者であることを公表しているジャレッド・ポリス氏が当選を果たすなど、民主党候補が打ち出した多様性の重視や女性の権利、社会主義的政策がトランプ政治にNOを突きつける結果となった。

しかし、厳しい状況に追い込まれたトランプが支持者の求心力を高めるために、いままで以上に移民をはじめとする社会的弱者への差別政策を打ち出し、排斥感情を煽ることは必至。また、予算案などと違い、下院の承認なく上院の単純過半数で動かせる貿易協定や通商交渉の分野でより強気な姿勢を見せることは確実だ。

にもかかわらず、菅義偉官房長官は「選挙結果が日米関係に直接影響を及ぼすことはない」などと発言。ネット上でも“安倍さんは猛獣使いだから心配ない”“トランプは安倍さんが大好きだから”などという意見が見られた。

まったくおめでたいとしか言いようがないが、現実はそうはならないだろう。実際、日本時間のきょう未明におこなわれた記者会見で、トランプ大統領はさっそく安倍首相に対する嫌味を口にしたからだ。

トランプ大統領は、質問のためにマイクを握ったのが日本の記者だとわかると、即座にこう述べた。

「晋三によろしく。きっと晋三は自動車関税のことで、ハッピーだと思うよ(Say hello to Shinzo. Sure he's happy about tariffs on his cars.)」

今年9月におこなわれた日米首脳会談では、「TAG」なる2国間物品貿易協定の交渉開始で合意したことで自動車輸出の関税引き上げは“先送り”となった。この結果を受けて、安倍応援団は「またも安倍首相が大勝利」などと安倍首相の外交手腕を評価し、なかでも安倍首相に近い産経新聞の田北真樹子記者は、トランプ大統領が「シンゾーとの友情があるから自動車に関税をかけられなかった」と首脳会談で語ったのだと記事にしたほど。だが、今回の会見でトランプ大統領は「晋三はハッピーだと思うよ」と言いつつ、このように不満をぶちまけたのだ。

安倍晋三総理大臣はもっとも親しい友人のひとりだが、『日本はアメリカと公正な貿易をしていない』といつも伝えている。日本は低い関税でたくさんの車を送り込んできて、こちらの車は買わない」

トランプ大統領は「日本を非難するつもりはない、それを許してきたアメリカの担当者を責めているんだ」とも述べたが、「アメリカは日本に対して1000億ドル近い貿易赤字を抱えている」と牽制。中間選挙を終えた直後の最大のアピールの場で自動車関税問題を取り上げ、今後の姿勢を示唆したのだ。

トランプがこのような態度をとることは、当然、予想の範囲内の話だ。現に、日米首脳会談後、トランプ大統領は「我々は今日、FTA交渉開始で合意した。これは日本がこれまで様々な事情から拒否していたものだ。必ずや満足のいく結論に達すると思う」(ロイター9月27日付)と回答。さらにその後、対日交渉の裏話を披露した際には、「『交渉しようとしないならあなたの国からの車にものすごい関税をかける』と言った。そうしたら彼らは『すぐ交渉を始めたい』と言ってきた」と発言している。

●ツケ払い5兆円超!トランプの言い値で武器をローンで大量に買いまくる安倍首相

ようするに、「友情があるから自動車関税をかけなかった」のではなく、トランプは自動車関税よりも先にFTA交渉を取っただけ。しかも、安倍首相は「TAG」なる造語をつくって「FTAとはまったく異なる」と主張し、「TPP以上の譲歩はしない」と言い募っているが、現実には、今後の交渉でトランプが「自動車関税」を切り札に使いながら、TPP以上の引き上げを迫る可能性があるのだ。

いや、それどころかもっと恐ろしいのは、安倍首相がトランプの武器セールスのお得意様になっていることだ。

やはり日米首脳会談後にトランプ大統領は、国連総会の締めくくり記者会見で得意気にこう語った。

「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」

事実、安倍首相はこれまでも「すごい量の防衛装備品」をアメリカから買い上げてきたが、東京新聞などによると、2019年度はさらに地上配備型迎撃システムであるイージス・アショアを2基(2352億円)や、最新鋭のステルス戦闘機F35Aを6機(916億円)、早期警戒機E2Dを2機(544億円)などの購入を契約する予定で、防衛省が2019年度予算でアメリカからの兵器直接購入契約で要求している額は、なんと6917億円。これは2012年度と比べると5倍の額で、安倍政権になって急増しているのだ。

北朝鮮との対話の道が開かれたというのに、購入費だけでなく莫大な運用・維持費がかかるといわれるイージス・アショアを導入して何の意味があるのか、しっかり説明してほしいものだが、その上、驚くことに、こうしたアメリカから買い上げる兵器は「言い値」なのだという。

さらに問題なのは、購入した兵器のローンだ。2019年度に防衛省が要求している予算は5兆2986億円だが、アメリカから買い上げた兵器と国産装備品を合わせると、そのローン残高は2019年度で5兆3372億円にものぼる。つまり、過去最大を更新しつづけている年間の防衛予算よりも、ローン残高のほうが大きくなっているのだ。

国民の生活に直結する社会保障費を削り、その上、消費税を引き上げるという暴挙に出ようとする一方で、トランプの言いなりになって「言い値」で兵器を買いまくり、途方もないローンを抱えている──。そのローンを支払っていくのは、言うまでもなく国民である。

こうした現実を見れば、トランプ大統領が安倍首相を気に入っていても何ら不思議はない。映画『華氏119』が公開中のマイケル・ムーア監督は、2日に放送された『NEWS23』(TBS)のインタビューで「トランプは彼(安倍首相)が大好きなんだ。なぜなら、安倍はいつもトランプにニコニコして何か贈り物をしている。確認したいんだけど、彼もおかしくなってるのかい?」と話していたが、トランプにしてみれば、彼の差別発言や差別政策にすぐさま非難を寄せてくる欧米諸国のリーダーたちのような行動もとらず、ただいつもニコニコと貢いでくれる安倍首相は、最高のイエスマンであり、格好のカモだ。

そして、そこには何の見返りもない。血税で兵器を買い、貿易でも完全に主導権を握られ、見くびられるだけ──。中間選挙の結果を受けて、トランプ大統領がさらなる強硬姿勢となれば、今後こうした“金づる外交”は悪化の一途を辿ることは間違いない。
(編集部)

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