馬渕英里何にインタビュー 柳家喬太郎による新作落語『ハンバーグができるまで』の舞台版に出演

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2018/11/8 12:00


柳家喬太郎の新作落語『ハンバーグができるまで』が2019年3月、舞台化される。劇団ペテカンの本田誠人が脚本・演出を務め、渋川清彦、馬渕英里何、柳家喬太郎らが出演する。今年デビュー25周年を迎えた馬渕英里何に、本作品への意気込みや原作の魅力などを聞いた。

笑えるのに、最後は切なくて泣ける。


−−実際に落語『ハンバーグができるまで』をご覧になったそうですが、感想を教えてください。

前に映像で拝見して、お話の内容は知っていたのですが、新宿末廣亭で見た、生の喬太郎師匠の芝居がとにかく上手くて唸りました。生で聞くことで、個々のキャラクターが粒立って見えて、すごく生き生きと感じられました。

作品自体、構成力が素晴らしく、とても​よくできています。とっても笑えるのに、最後の方は切なくなって、泣けてきました。笑えるだけが落語ではないのだなと思いました。これをお芝居にするということで、内容がもっと膨らんでいくと思うので、楽しみです。


−−お稽古はまだ先ですが、どんな舞台になると思いますか?

もともと落語を知らなくて、芝居をふらっと観にいらした方でも楽しめるお芝居になると思いますし、元ネタを知っている落語が好きな方でしたら、より一層深く作品を見られると思います。どんな方でもきっと楽しいと思います。一番楽しみにしているのは、喬太郎師匠がどんなキャラクターで出てくるのかしらということ。噺家としてではなく、いち俳優さんとして舞台に出られることが楽しみです。きっとすごいんだろうなぁ。

−−もともと原作の落語があっての舞台化。原作ファンも多くいらっしゃいますが、演じる上でプレッシャーのようなものを感じられますか?

始まる前はいろいろ考えますけど、作り始めると夢中になると思うので。落語は一人でやるものだけれど、芝居は色んな人たちが関わってくるから、きっといい化学反応が出て、全く違う作品になるんだろうなと思います。

−−今後、落語を馬渕さんお一人でやるという話になったら、どうですか?

ちょっとやってみたいです。男優さんで落語にチャレンジされる方、多いじゃないですか。お芝居にも活きるでしょうし、話術の勉強にもなるはず。女性だと難しい部分もあるかもしれませんが、やってみたいです。

−−落語とお芝居は何が違うと思いますか?

間の取り方ですかね。落語は、一歩テンポが早くないと掛け合いがとんとんと行かないけど、ちゃんと間を取らないと成り立たない。それを一人でコントロールしつつ、お客さんが付いてきているか把握もしないといけない。お客さんとの間の取り方が難しそうだなと思います。立ち止まることがないし、余計なことを考えていると、全部飛びそうだし(笑)。よっぽど場数を踏まないと、技にはなっていかないんだろうなぁと思います。

主人公の元妻サトミというミステリアスな役


−−今回、馬渕さんは主人公のマモルの元妻であるサトミを演じられます。役柄についてどう思いますか?

喬太郎師匠が落語の中で演じられているサトミは、ミステリアスで、あえて何の色も出していないんです。商店街の色々なキャラクターの中で、極端に色を抑えた感じで演じられているなぁと思ったので、逆に私は色づけしやすいと思っています。落語だと、サトミの見えない部分が沢山ある。これをお芝居にした時に何がどれだけ語られるか分からないのですが、あえて色んなものを内包していて、全てを受け入れていく存在になればいいのかなと思います。

−−確かに落語だけを見ていると、サトミは多くを語らない分、想像力膨らませられる役ですよね。

サトミの人となりやキャラクターが全く見えないので、どれぐらい脚本で描かれるかまだ分からないですが、そこが楽しみですし、謎のままでもいいのかなぁと思っています。
馬渕英里何
馬渕英里何

−−お稽古はまだ先ですが、役作りはどういうところから?

役作りというより、何かを作るというよりは作品全体を楽しみながら、サトミとしての居場所を探していくということになるのかなと思います。

芝居をする相手からもらうもので私が出すものも変わります。台本を読んで、自分の役が言いたいことや思っていることを中からすくい上げられた時に楽しくなるんです。あぁ、この人が思っていることはこういう事なんだと見つけた時に、この役を演じられるなという確信に変わることがあって。それを見つけることが役作りになるということかなと思います。

−−サトミの元夫となるマモル役の渋川さんについては、どのような印象ですか?

映像でもお会いしたことがなくて、初めてなので楽しみですね。どういうマモルになるのかなぁ。温かいカンパニーになったらいいですね。このお話自体がすごく温かいので、温かい雰囲気をみんなで作って、お客さんに伝わっていったらいいなと思いました。

実はハンバーグが嫌いなんです(笑)


−−商店街が舞台の作品ということで、宣伝用の写真も東京の下町にある、とある商店街で撮影されました。どんな撮影でしたか?

原作の落語に出てくるような人情味あふれる商店街でした。気さくに話しかけてくださったり、食べ物をおすそ分けくださったりして、こんな優しい方たちがいるのかと思いました。漬物屋さんや八百屋さんが「舞台を見に行くね、頑張ってね」と仰ってくださって。この撮影も、お芝居の何かの助けになる気がしています。

−−普段、商店街で買い物はされないですよね……?

最寄り駅に商店街がないのでなかなか買い物をしないのですが、商店街自体は大好きです。買い物が楽しい。安く野菜を売っている八百屋さんを見つけると、ついつい買ってしまいます。

−−ちなみに、この作品でキーとなってくる「ハンバーグ」はお好きですか?

実は……ハンバーグ嫌いなんです(笑)。ひき肉がダメで、ハンバーグは食べられないです……。ハンバーグが好きなのはマモル君だから、私は好きでも嫌いでもいいかなと思っています。

−−ではマモル君が嫌いな「にんじん」は?

ニンジンは大好き!(笑)。生でサラダとして食べたり、炒めてシリシリとして食べたりしています。

−−ハンバーグが好きでニンジンが嫌いなマモル君の設定と、馬渕さんご自身が逆で面白いですね(笑)

演劇をやれることが幸せ。


−−最近は舞台でお忙しいと思いますが、どんな思いで舞台に立っていらっしゃいますか?

幸せです。演劇をやれることが幸せです。稽古場で、カンパニーの皆さんと一緒に作品を作っていく。その環境だけで私は幸せです。お客さんの存在も大切です。お客さんに教えてもらうことも多いですし、お客さんがいてこそできるものだと思っています。

−−デビューされて今年で25周年。節目の年でしたが、これからやってみたいことなどありますか?

25年、早かったですね。

これからも演劇をやりたいです。役者をやっていて思うのは、昔できなかった役がこれからできるようになって、昔できていた役が今できなくなって。そういうことが繰り返されていくと思うんです。どんな役でも新しいチャレンジになっていくと思っています。年を重ねることを楽しめればと思います。

−−最後に、この舞台をどんな方に見て欲しいですか?

演劇ファンの方にも落語に興味を持ってもらいたいし、落語ファンの方がお芝居を見ると感じることも違うでしょうし、双方の方々に見て欲しいです。もちろん、演劇にも落語にも興味がなかった方がふらっと観に来て、芝居も落語も面白いなと思っていただけたら最高です。
馬渕英里何
馬渕英里何

取材・文=五月女菜穂

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