舞台『豊饒の海』本公演スタート!「もし三島由紀夫が生きていたら……」の質問に東出昌大、宮沢氷魚らが動揺

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2018/11/8 11:00



舞台『豊饒の海』が​2018年11月7日(水)より東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて開幕した。三島由紀夫最後の長編小説を原作とした本作は、11月3日(土)から5日(月)まで行われたプレビュー公演を経て、本公演となった。7日、同劇場にて初日前会見と芝居の一部を披露する公開フォトコールが行われた。

『豊饒の海』の同名原作小説は、「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」という四部構成になった大作。三島はこの小説を書き上げたその日に、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した。物語の軸となるのは「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」という言葉を残し、20歳で命を落とした美青年・松枝清顕と、彼を追い求め、人生の中で何度もその生まれ変わりに翻弄される親友・本多繁邦。三島自身の生き様や貫いた美学が力強く描かれている「夢と転生の物語」を、舞台上でどのように描いたのか。脚本を長田育恵、演出をロンドンはオールドヴィック・シアターのアソシエイト・ディレクターである若手演出家マックス・ウェブスターが手掛けた。

会見には東出昌大、宮沢氷魚、上杉柊平、大鶴佐助、首藤康之、笈田ヨシとウェブスターが出席した。

マックス・ウェブスター
マックス・ウェブスター

ウェブスターは「この素晴らしい役者と共に三島由紀夫さんの4部作を舞台化できる事を嬉しく思っています。是非この作品を興味深く楽しんでいただきたい」と挨拶。本作の演出を手掛けるにあたり日本の役者とスタッフと共にたくさん学び、三島の言語の美しさを知り、三島が提示したものは今の時代でも大切な事だと確信した」と語った。

東出昌大
東出昌大

主人公・松枝清顕役の東出は三島作品の大ファンという立場から本作について「プレビュー公演を経ていい感触を得ています。三島作品を全く汚すことなく、舞台上で表現できることができると思います。その想いは確信に変わりました。最後まで舞台に立ち続けたいです」と意気込みを見せる。

宮沢氷魚
宮沢氷魚

清顕の生まれ変わりとして「奔馬」の飯沼勲役で登場する宮沢は「僕は舞台出演が2回目ということで、始まる前までは緊張していました。また『豊饒の海』を舞台化すると聞いてどの作品を使うのかと思い、『4作全部舞台化する』と聞いて『こんな無謀な挑戦をするのか!?』と思いました」と口にすると、他のキャストたちが一斉に笑い出した。

上杉柊平
上杉柊平

同じく清顕の生まれ変わりとして「天人五衰」の安永透役を演じる上杉は「僕だけ部屋着みたいな恰好ですが一応衣裳です」と笑いを誘う。続けて「この作品が僕にとっても観に来るお客様にとっても、これまでの人生とこれからの人生の中で何かひっかかるものを持って帰れると自信を持って言えます」と胸を張った。

大鶴佐助
大鶴佐助

首藤康之
首藤康之

清顕の親友・本多繁邦を、本作では青年期、中年期、老齢期に分けて3人の俳優で演じる。青年期を演じる大鶴は「初日を迎え興奮と恐怖を感じていますが、脚本の言葉を頼もしい共演者と一緒に楽しみたい。特に東出くんと一緒に大正時代を駆け抜けたいです」、また、中年期の繁邦を演じる首藤は「一つひとつの美しい言葉を丁寧に喜びをもって発していきたい」と語った。

笈田ヨシ
笈田ヨシ

そして、三島本人と生前から親交があった笈田は繁邦の老齢期を演じる。「三島先生に最後に会ったのはお亡くなりになる5ヶ月前。その時に先生からご決意などを聞いて、それ以来、早48年の月日が流れました。11月という祥月命日の月にこの芝居をやらせていただく事は、なんとも言えず感無量でございます。三島先生はこの公演をニコニコしながらどこかで観ていると思います」と溢れる想いを言葉にした。

笈田の様子に笑いつつも動揺する東出、宮沢、上杉とそれを見て大ウケのウェブスターさん
笈田の様子に笑いつつも動揺する東出、宮沢、上杉とそれを見て大ウケのウェブスターさん

なお「もし三島先生が生きていたら、このキャスティングについてどう思う?」という質問が飛ぶと、やおら立ち上がり三島になったていで若者たちをがっと見渡す笈田。そんな笈田に笑いながらもやや動揺する東出たち。ところが「東出さんに対しては『カッコいいじゃねーか!』っていうと思います」と笑顔で語る笈田。その言葉に東出はホッとした表情を見せていた。






フォトコールでは、3つの場面が披露された。時系列ではなく「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4作が同時並行で展開する、ある意味挑戦的な演出だ。ウェブスターがこだわった能舞台のような板張りのステージ中央では滝を彷彿とさせる水が天井から流れ落ち、その下に東出や宮沢、上杉が次々と入れ替わり立ち替わり現れる。それは何度も生まれ変わる清顕をイメージさせるものだった。





絵画のような美しい世界で、東出が演じる清顕は美しいまま早世し、また生まれ変わっていく。その一方で、大鶴、首藤、笈田が演じる繁邦や、彼らを取り巻く人々は着実に歳をとっていく。若くて美しい年齢で時間を止めるのと、様々な経験をしながら老いさらばえていくのと、どちらの人生が幸せなのか、考えさせられるものがあった。

取材・文・撮影=こむらさき

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