産休はいつから取得可能なのか、休める期間と併せて社労士が解説


●産休取得を会社に告げるタイミングはいつ?
妊娠・出産は働く女性にとって、大きなターニングポイントになります。「今まで通りに働くことって可能なの? 」と思う方も多いでしょう。「出産や育児にまつわる制度は聞いたことはあるけれど、詳細についてはわからない……」。そんな方にわかりやすく制度を知ってもらい、少しでも不安を解消していただけたらと思います。

今回は初産の方は意外と知らない「産前産後休暇(産休)の取り方」についてまとめました。

○安定期に入ったら早めに会社に報告を

産休は本人の申し出によって取得できます。ただし、実際に産休を取得する際の手続きは、産前については会社の規定に則って、産後については当然、法律に従って行うことになります。

産休の申請方法に特別な決まりはありませんが、会社ごとに決まった書式(「産休申出書」や「産休休暇願い」など)にて申請するケースが一般的です。中には「妊娠中である」ことの確認について、「母子手帳のコピーなどの提出を求める」といった会社もあります。詳細については人事部に確認しましょう。

会社への報告のタイミングについてですが、安定期に入ったら早めに報告をし、産休の申請を行っておくとよいでしょう。会社としても、社員が産休に入った後の人員配置の調整を検討しなければならないためです。妊娠した社員の体調などへの配慮が必要になるケースもあるため、早めの対応が望ましいです。

そのほか、会社には産休・育休に入ってからの流れを聞いておきましょう。産休・育休中は無給になる可能性が高く、社会保険などの給付が受けられることが多いため、確認しておくと安心できます。
○妊娠、出産などによる差別の禁止

課長「結婚、妊娠おめでとう! タナカさんも隅に置けないね。まさか付き合っている人がいたとは知らなかったな~。いや~めでたい!」

タナカさん「ありがとうございます。嬉しいけど、結婚と妊娠の報告が同時になるのもなんだか照れくさいですね~」

課長「まあまあ、めでたいからいいじゃないか。ところでタナカさんはいつ退職するんだい? 次の人を採用しなけりゃならんからな!」

タナカさん「……」

この手の会話は、まだまだどこかしらの会社でありそうですが、問題ありです。会社は妊娠・出産を退職理由として定めることは禁止されていますし、そのほかの妊娠・出産に関する事由を理由として解雇そのほかの不利益な取り扱いをしてはならないと定められています。

上記のように「妊娠=退職」が当たり前になっている会社は、あってはならないと覚えておきましょう。

●予定日と出産日のずれで産休期間が変わる!
会社は、妊娠中または出産後1年を経過しない女性社員に対して、健康管理上の措置を講ずることが義務付けられています。内容は会社ごとに異なりますので、ご自身が働いている会社の規定を確認してください。一部の例を下記にてご紹介します。

・保健指導、健康診査を受ける時間の確保

妊婦健診などでの通院に備え、一定の条件のもとに所定時間内の通院を認めます。

・休業の制限、休業などの措置

妊娠中に医師らの指導があった場合は、一定の作業の軽減や勤務時間の短縮、休業などの措置をとります。

・通勤緩和措置、勤務時間の短縮

妊娠中に医師らの指導があった場合は、通勤時の混雑を避けるため時差通勤や勤務時間の短縮を認めます。

・休憩時間の延長、休憩回数の増加

妊娠中に医師らの指導があった場合は、休憩時間の延長や休憩回数を増やします。
○出産がずれこむと産休が長くなる

産休は、おおむね出産日前6週間と出産日後8週間取得できます。ただし、出産日と予定日はずれることが多々あります。そのような場合、以下の考え方が適用されます。

産前の休業期間(原則6週間、多胎の場合は14週間)は「予定日」を基準とします。2018年9月6日出産予定日の場合、7月27日~9月6日が産前の休業期間です(出産日は産前休業に含めます)。

産後の休業期間(原則8週間で、本人の希望&医師のOKが出た業務であれば産後6週間経過後の就業が可能)は「実際の出産日」を基準に計算します。

上記の2018年9月6日を予定日と仮定した場合の複数の具体例をもとに、産休期間について詳しくみてみましょう。

ケース(1)9月6日出産の場合(実際の出産日=予定日)

産前休暇は7月27日~9月6日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月7日~11月1日です。産休の日数は98日になります。

ケース(2)9月10日出産の場合(実際の出産日が予定日より遅くなるパターン)

産前休暇は7月27日~9月10日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月11日~11月5日です。産休の日数は102日になります。

ケース(3)9月2日出産の場合(実際の出産日が予定日より早まるパターン)

産前休暇は7月27日~9月2日(出産日は産前休業に含めます)で、産後休暇は9月3日~10月28日です。産休の日数は94日になります。

計算方法の詳細を確認すると、実は出産予定日よりも実際の出産日が遅くなった方が、産休は長く取得することができます。

妊娠から出産までは、さまざまな配慮や保護を受けられます。事前にしっかりと流れを把握して、準備しておくとよいでしょう。

※写真と本文は関係ありません

○■ 筆者プロフィール: 落合直美

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所アウトソーシング事業部所属。

大学卒業後、証券会社に就職し、営業部に配属される。上司や同僚など、働く人の様々な悩みやトラブルを目の当たりにし、労働環境を整えることの大切さを痛感。その後、労働問題を扱う法律事務所に転職し、社会保険労務士を志す。

試験合格後、社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所に入所。数名から300名規模のクライアントの給与計算と社会保険手続きに従事した後、現職にてさらに多種多様な社会保険手続きの経験を積んでいる。プラスアルファの付加価値を提供できる「会社と労働者の熱血サポーター」となるべく、日々奮闘中。

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