「開門時間を早めて」「旗振り当番つらい」共働き家庭の小学生ママが、朝の登校に本音吐露


 保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 義務教育の始まりである“小学校”。特色のある私立や、伝統ある国立小学校への受験を希望しない場合は、学区内にある公立小学校に進学する。ほとんどの家庭は、内情を知らないまま、「決められたことだから」という理由で、6年間という長い年月を学区の小学校で過ごすのだ。

小学校では、保育園や幼稚園のようなバス送迎や、保護者による自転車送迎はなく、児童自ら徒歩で通学するケースがほとんどだが、「安全を確保するため」に、保護者たちにとっては理不尽ともいえるルールが存在しているようだ。

小学校の前で、開門を待つ児童たち


 都心部にある公立小学校に、小5の娘を通わせている京子さん(仮名)は、こう語る。

「うちの子は10歳を過ぎたくらいから、急に起きられなくなったんです。最初のうちは、『早く寝ないで夜更かしをしているからだ』と注意していたのですが、どうも毎朝、具合が悪そうで様子がおかしかった。念のために病院で検査を受けたら、軽度の起立性調節障害(立ちくらみ、立っていると気分が悪くなるなどの症状が出る自律神経失調症の一種)だと診断されました

その際、問題になったのが、通学時間に関してだという。

「うちの学校の登校ルールが、8時に門が開いて、8時20分で閉めてしまうんです。防犯上の問題がいろいろあるらしくて、遅刻などでこの時間以外に門を開けてもらう場合は、全てインターホンでの対応になってしまうんです。娘は起きられずに遅れることがあるのですが、わざわざインターホンで開けてもらうのが苦痛だと言っていました。先生に、8時20分を過ぎてもしばらくは門を開けてもらえないか相談したものの、『娘さんの事情はわかっています。でも、インターホンを押してください』と一点張りでした」

少人数規模の保育園や幼稚園とは違い、小学校では、個人の事情に沿った対応は限界があるということだろう。この門の開閉に関しては、ワーママにとっても問題だと、小3の娘を持つ有紀さん(仮名)は語る。

「職場の出勤時間が早く、本来は娘の登校時間よりも前に家を出なくてはいけないのですが、娘を家に1人にさせておくのが怖いため、一緒に家を出ています。娘は7時半頃から、門が開くのを待っているんです。ほかにも、開門待ちの児童がいるため、1人で家に居させるよりは安全だと思いますが、『冬の寒い時期は、前倒しで校内に入れてくれてもいいのに』と、学校側に意見したことがあります。ただ、そうなると、職員が早出しなければならず、また、前倒しで登校をする児童が増えるため難しいと言われました」と落胆する。

一方で、「ちょっとの遅れもダメ」という学校側に、有紀さんは融通の利かなさを感じているそうだ。「おなかが痛くてトイレに戻ったりして遅れると、開門されている20分間を過ぎてしまうことも。数分程度なら間に合うときもあるが、間に合わなければ、校門の横などに設置されたインターホンに、毎回名前とクラスを言わなければならないそうで、それも面倒なんです」という。

職員がカメラ付きのインターホンで相手を確認後に、オートロックの開錠操作が行われるといったふうに、全て人為的なシステムのため、門の開閉ひとつでも、手間がかかっている。保護者からは、「そもそも開門時間が短い」との声もあり、「全ての児童が登園するのに門の前で渋滞が起こっている」「うっかり忘れものも取りに戻れない」などというクレームも出ているそうだ。朝の貴重な時間を有効に使いたいママにとっては、悩ましい問題と言えるだろう。

「旗振り当番を拒否できないか」共働き3児の母の本音


 登校に関しては、まだ小さな児童たちを守る手段として、保護者たちが“旗振り係”と呼ばれる安全パトロールのボランティアを担うことがある。学校によって差異はあるものの、保護者たちは事故を未然に防ぐため、主に登校時に交通量の多い道に立って旗を振り、車などに子どもたちが登校中であることを知らせるのだ。

ボランティア活動とはいえ、共働き夫婦にとっては負担も大きく、当番の時には仕事の遅出や半休を使って対応しなければならないケースもある。子どもの小学校入学を機に、ベットタウンにマンションを購入した片山さん(仮名)は、「旗振り当番が、正直つらい」と漏らす。

「マンションを購入する時、『ここら辺は治安もいいですよ』という売り文句に惹かれたのですが……地域活動が活発で、旗振り当番も月1回ペースで回ってきます。うちは共働き家庭で、小3の子と未就学児の双子がいるので、朝はとても忙しく、旗振り当番を拒否できないかと小学校の保護者会で相談したものの、『仕事をしている人も、小さなお子さんがいる人も平等です』と、ベテランそうなママが仕切っていました。旗振りの日は、職場に『遅れます』と連絡をしなければならないし、双子も保育園に前倒しで預けに行ったり、ものすごくハードなんですよ」

片山さんは、「シルバーセンターからスタッフを派遣すればよい」と保護者会で提案したが、負担額が一家庭数千円程度発生するため、賛同を得られず却下されたという。

共働き世帯が増える中、児童の登下校はいまだ保護者ありきで成り立っている部分が大きい。公共の場での安全対策が問われている昨今、登下校にどこまで地域や保護者たちが関わっていくのかは、新たな課題なのかもしれない。
(池守りぜね)

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