大阪府警、市民を「首絞め」連行し死亡させる…目撃者への隠ぺい工作&恫喝の音声公開


 大阪市のJR京橋駅近くの繁華街で酔っぱらった男性(33)=豊中市在住=を大阪府警の複数の警官が取り押さえ、パトカーに押し込んだが、男性は車内で意識を失い、病院に運ばれ約1時間後に死亡が確認された。

大阪府警によると10月20日午後10時半ごろ、タクシー運転手から「乗客が絡んでくる」との連絡があり、駆け付けた。男性は警官の説得を受け入れず、周囲の人にも凄んだり怒鳴ったりしていたため、取り押さえて都島署へ連行することにしたという。

しかし目撃者によれば、10人近い警官が取り囲んで腕などを押さえ、一人が首に腕を回して絞め上げたかたちでパトカーに引きずり込んでいたという。男性はパトカー内で意識を失ったため、病院に運んだが午後11時44分に死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は必要以上の血液がたまった肺が水腫状態となって酸素が肺に入らなくなり呼吸困難に陥る「肺うっ血死」だった。専門家は「うつぶせにして背中から体重をかけるなど強い力で圧迫すると起きることがある」と指摘する。パトカーで連行する際は通常、後部座席の真ん中に座らせて、両脇から警官2人が座って、両腕を制するかたちをとる。しかし、男性が暴れるため座席にうつぶせにして2人で上から押さえ込んでいたとみられる。

●執拗な隠ぺい依頼の電話 ちらつかせる「個人情報」

この現場をたまたま目撃し、一部始終を撮影していた男性Aさんがいた。Aさんから持ち込まれた写真週刊誌「フライデー」(講談社)が10月26日に発売した号で『大阪府警「死の連行」』と題してスクープ報道し、警察によるAさんへの口止め工作も暴露した。さらに大阪の朝日放送(ABC)が追った取材を元に、発売日の朝にはテレビ朝日の『モーニングショー』が現場の映像や、警察によるAさんへの口止め工作の電話音声を放送した。

現場で警官が強く首を絞める様子に「あかん、あかん」と叫んでいた目撃者もいた。Aさんは「びっくりするくらいの絞め方だった。首絞められた人は全然動かなかった」と証言している。Aさんはその場で警官から「携帯電話を出せ。何を撮影していたんや」と言われて名刺と免許証を提出させられた。警官は携帯で撮った動画をカメラで撮影した。「携帯電話を預かる」というので「それは困る」と拒否すると免許証と一緒に返した。

だが、次の日から何度も都島署員から電話がかかってきた。「昨日の動画の件ですが」と丁寧な言い方だったが、「携帯の動画を取り出させてほしい」という要求だった。実は、警察はこの日に、男性が死亡したことは報道発表していた。Aさんはそれを知らず「あの方、大丈夫やったんですか?」と尋ねたが、「報道された通り」としか答えない。

Aさんは動画の提供には応じたが、さらに後日も執拗に電話がかかってくる。都島署員は協力への礼を言ったあと、「事案が事案ですので、お持ちの動画はYouTubeとか、外に出さないようにお願いしますね」「(報道が)当時の扱いより大きくなってきましたので」という。さらにやり取りのなかで 「うちというよりもAさんのためということですので。個人情報とかもたくさん入っていますので」と強調したのだ。Aさんはこの言い方に恐怖を感じたという。

都島署員は慇懃無礼な言い方を繰り返しているが、聞けば聞くほどいやらしい物言いだ。誰の個人情報なのか。携帯電話の自分の通話歴をすべて把握されたAさん。犯罪などを犯していなくとも、警察権力がどこに付け込んでくるかわからない。「うち(大阪府警)というよりAさんのため」というのは「動画を外へ出さないほうがお前の身のためやぞ」と凄んでいるのと変わらない。

死亡した男性は泥酔していたとはいえ、刃物を振り回したりしていたわけではなく、どう考えても過剰制圧である。大阪府警は「遺族感情もあるので」と早々に異例の捜査本部を設置したが、傷害致死の疑いも濃厚だ。死亡した男性の遺族に提訴されるようなことを避けたかったのだろう。大阪府警は「捜査中」とコメントせず、目撃者に電話をかけた事実も認めようとしない

野次馬根性とはいえ、そもそも撮影は違法行為でもなく、Aさんに警察が免許証を提示させたり、電話番号を聞き出したり携帯電話の動画を撮影するような権利はなく、Aさんも応じる必要はなかった。都島署員によるしつこい「隠ぺい依頼」の電話からも、府警側には男性の死亡で「やりすぎた、まずいぞ」との意識があったことは見え見えだ。

過剰制圧や隠ぺい工作が雑誌やテレビで大きく報じられてしまった大阪府警。杜撰な管理による富田林署の容疑者逃走劇に続く不祥事だが、今回は逃走劇とは違い、尊い生命が失われている。徹底した真相追及が必要だ。
(文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

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