篠原涼子 45年無縁だったコーヒーに“ホッ”こだわりドリップにどっぷり癒やされ

 【夢中論】女優の篠原涼子(45)は、今年の夏からコーヒーを飲むようになった。これまでは一切、口にすることがなかったが、今は、家族とコーヒーの香りを楽しむ時もあれば、セリフを覚える時の相棒として飲むこともある。生活に欠かせないアイテムは、充実した時間を与えてくれる。

 バタバタとした朝。午前7時半ごろに子供を学校に送り出すと、大人の時間がやってくる。挽(ひ)きたての豆をフィルターに入れ、細くて長い注ぎ口のケトルから熱々のお湯を注ぐ。ジュワッと蒸らした豆に、ゆっくり、ゆっくり、お湯を足していく。ポットに出来上がるまで約10分。香りを楽しみながら待つ時間が、おいしさをより引き立てる。

 「主人と私でコーヒーを飲んでゆっくりする時間。そこから一日が始まるんです。私はブラックですね。挽いた豆にお湯を注ぐと泡がバーッと広がって、まるで生きてるかのようにプツプツと音がするんですよ。それが面白くて、見てても癒やされる感じがあって」

 45年の人生は、コーヒーと無縁だった。カフェインを摂取すると、眠れなくなったり、胃がもたれると思い、香りは好きだったが、口にすることはなかった。そのスタイルが一変したのは今年7月。13年ぶりに舞台に挑戦した「アンナ・クリスティ」の稽古中だった。

 演出家の栗山民也氏がコーヒー好きと聞いて、篠原や付き人が稽古場で毎日作って出していた。アドバイスしたのは夫の市村正親(69)だ。「俺の付き人が栗ちゃんにいつもコーヒーを入れてあげてたから、涼子もやってあげると喜ぶよ」。作っているうちに、飲んでみたくなった。

 「セリフをちゃんと覚えなきゃいけないし、頭をクリアにしたいと思って。飲んでみたら、あれ?おいしい、いいかも!って。それから週に何回か飲むようになりました。元気になるし、気分転換にもなりますね」

 これまでも夫にコーヒーを入れていたが、自分が飲むようになってこだわりが増した。豆はその場で焙煎(ばいせん)してくれる専門店で買う。

 「お店の隣に公園があって焙煎を待ってる間に子供とブランコに乗っていると、豆の香りが漂ってくるんです。豆を持って急いで帰って、すぐ挽いて作ったらフワーッと香りがしておいしいんです」

 小学生の長男(10)もミルクや豆乳をたっぷり入れたコーヒーを飲む。「大人の時間」にちょっぴり足を踏み入れた子供の成長もうれしいものだ。

 研究によると、コーヒーを一日3杯飲む人は心臓病、糖尿病、認知症、一部のがんのリスクが低減するとも言われている。

 セリフを覚える時は、コーヒーで頭をスッキリさせること以外に、環境を変えることを好む。天気が良い日は、代々木公園や新宿御苑といった緑豊かな公園に足を運ぶ。「芝生の上で大の字になって、空を見るのが凄く好きなんです」。またある時は、都心を散歩しながら覚える。「セリフをブツブツ言いながらひたすら歩く。気付いたらあれ、日比谷?銀座?って。何キロも歩いてて、帰りはタクシーなんてことも」

 16日公開の映画「人魚の眠る家」のセリフは、ホテルに缶詰めになって覚えた。愛娘が不慮の事故で意識不明になり、離婚を控えた夫婦が苦悩して生きていくさまを描いた作品だ。演じた薫子は娘を愛するが故にとっぴな行動を起こしていく。劇中には「早く準備しなさい!」などと子供をしかるシーンもあり、“普段”を感じさせる。

 「家ではもうちょっと怖いかもしれない。“もう、何やってんの!”という感じですね」。ヤンチャ盛りの10歳の長男と6歳の次男。「言うこと聞かないですし、大きい声で言わないとこっち向かないんですよ。もうね、一日3回は兄弟げんか。本当にいいかげんにしてって言ってますけど」。言葉とは対照的に、表情はとても穏やか。子供が愛らしくてたまらないのだろう。

 最近は母親の役が増えたが、主演ドラマ「anego」「アンフェア」などで演じた役柄の印象から、“デキる女”のイメージが根強い。ところが、本人の性格は正反対だ。

 「臆病で、怖がりで不安性なんです。私にこれができるのかな、私がやったところでみんな喜んでくれるのかなとか考えちゃう。凄い心配性で自信ないんです。こういう人間なんです、本当は」

 意外な告白に驚かされた。ただ、そう思うのは「誰かに喜んでほしい」という思いで、受け手を意識してずっと活動してきたからだ。篠原がコーヒーを入れるのも、元々は家族や周りの人たちを喜ばせたい気持ちがあるから。一杯のコーヒーを飲んでホッとするような喜びを、妻として、母として、女優として与え続けていく。

 ≪娘が意識不明…「どういう心境になるんだろう」≫「人魚の眠る家」で篠原が演じた薫子は、娘・瑞穂に対して深い愛を注ぐ母。意識不明になった瑞穂を守るために驚くような行動をとった結果、自分自身が家族から孤立していく。改めて子供と向き合う作品になり、「瑞穂は目を開けないんだけど、これが自分の子供だったら…と、どういう心境になるんだろうなって思ったりもしました」と話した。

 原作は東野圭吾氏の作家デビュー30周年記念作。主演オファーには消極的だったが、市村に背中を押されて出演を決断した。「小説を読んだ主人に“おまえがやらなきゃ誰がやるっていうぐらいピッタリだったよ”と言われて、そのまま台所から事務所に電話して“やります”と言ったんです」と明かした。

 ◆篠原 涼子(しのはら・りょうこ)1973年(昭48)8月13日生まれ、群馬県出身の45歳。90年に「東京パフォーマンスドール」に加入。94年のシングル「恋しさと せつなさと 心強さと」が200万枚を超える大ヒットとなり、NHK紅白歌合戦に初出場。主演ドラマに「ハケンの品格」「ラスト シンデレラ」など。1メートル62、血液型B。

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