コンテンツ予算1兆円越えの「Netflix」弱点は原作が連動して売れたりはしないこと

日刊サイゾー

2018/11/6 02:00


 破竹の勢いで事業を拡大するNetflix(ネットフリックス)。2018年度には、コンテンツ予算に80億ドル(約9,000億円)を準備しているとして、昨年秋に話題になっていたが、その額はさらに上積みされて130億ドル(約1.4兆円)に達しようとしている。このうち、8割を超える部分は、同社の映画やドラマシリーズへと投じられているのである。

同社がカリフォルニア州で、DVDのオンラインレンタルサービスとして誕生したのは1997年のこと。それから20年あまりで、ハリウッドのどんな会社をもしのぐ巨大企業が誕生したのである。

「同社は、債券の発行で資金を増加させています。つまり、借金も増加している状況です。ただ、世界のクリエイターや制作会社も目を離しません。投資の分だけ、優良コンテンツも集まるので、債務は十分に返済できると考えているのでしょう」(業界誌関係者)

確かにNetflixの勢いは、日本の映像業界の動きも変えている。さまざまな企画を立て、スポンサー企業を募ったり、製作委員会の座組を考える中で「Netflixに話をしてみましょう」という意見は必ず出る。

もちろん、そのほとんどがうまくいくわけはないのだけれども、Netflixは「なんだかわからないが、映像作品に出資をしてくれる企業」という存在感だけは増している。

さらに、独自コンテンツの増加は、映像作品の在り方も変えつつある。これまで、多くの映像作品は、なんらかの形で映画館で公開して「劇場公開作品」として箔を付けるのが当たり前だった。でも、最初からハイレベルな独自作品を配信するNetflixの方針は、そんな箔を付ける必要性すら、過去のものにしようとしている。

快進撃を続けるNetflixだが、決して盤石とはいえない部分もある。それは、メディアミックスの弱さである。

「ある小説が、映画化されるという情報を得て、いち早く劇場公開作としてプロモーションの準備を進めていたのですが……映画じゃなくて、Netflixでの配信でした。どんな優れた作品でも、Netflixで観て原作も読んでみようと考える視聴者は少ないんです」(出版社社員)

いくら配信で観た映像が面白くても、それはつかの間のこと。決して、ユーザーが原作なり関連商品を欲しくなる段階にまでは至らない。これが、動画配信の弱点なのか。
(文=是枝了以)

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