ビビる大木、“主役”をあきらめてたどり着いた「すごくシビアで、ちょっと切ない」人生訓

日刊サイゾー

2018/11/5 17:00



11月2日放送『アナザースカイ』(日本テレビ系)に、ビビる大木がゲスト出演した。今回、彼が訪れたのはスコットランドだ。

現在は芸能界の裏方に転向した元・相方、大内登と大木が結成したお笑いコンビ「ビビる」は、7年の活動を経て2002年に解散した。

「仕事もあったし、そこそこ給料ももらってる段階で相方が『辞めたい』って言ったんで、ってことは、考えた末の決断かなと思って『わかった』って言いました」

その後、ピンになった大木が初めて一人で臨んだ海外ロケの地がスコットランドだったのだ。

見知らぬ人(大内)の家に行き、大木が「水くれよ」と言うだけのコントなど、コンビ時代の大木はとがっていた。「コンビでゴールデンの冠番組を持ちたい」という気概が、彼の表現する“笑い”に表れていた。

しかし、大木はピンになった。それ以降、「なんでもやる」という覚悟を持って活動するように。すると、ネタ番組以外の仕事が彼に舞い込んだ。2010年には『PON!』(同)の司会に就任。知名度が上昇する大木。しかし、同時に悩みが深まった。

「とがったセンスっていうか、そういったものがなくなっていった感じはやっぱりありますね。『牙がない』とか、いろいろ言われましたから。『なんで大木がテレビに出てんの?』『大木、別に何もしてねえじゃん』って結構言われたんですよ」

そういった世間からの声も、大木は受け止めた。ピンになってからは「番組が面白くなりさえすればそれでいい。牙があるかなんてどうでもいい」という心境になったそうだ。

■売れたのに、6畳一間での生活を貫いた


 コンビ解散後の心境について、大木は2月3日放送『俺の持論』(テレビ朝日)で、より詳しく語っている。

同番組で彼が主張したのは、「嫉妬と人気は同時にあるもの」という持論だ。人気が出た芸能人には当然、嫉妬もついてくる。「人気」と「嫉妬」は表裏一体。両者はバランスが大事だ。「嫉妬」の重さを「人気」が支え続けられなければ、芸能人は沈没する。すなわち、芸能界から消えることになる。

大木自身はどうなのか。バランスを保てているのか? 彼は「人気がないけど、嫉妬もないので沈まない!」と豪語した。いくらなんでも卑下しすぎな気もするが、大木は「ファンからもらったファンレターの数は10年間で0通」という明確なデータを率先して発表する。こうなると、ぐうの音も出ない。

「人気商売のはずのテレビの中で、僕は人気もない!」

かつては「ゴールデンの冠番組を持ちたい」と燃えていた大木だが、ピン転向後は「人気のない人間は勘違いしちゃいかん」と、考えを改めるようになったという。例えば、『PON!』時代は、電車で日テレに通った。

「満員電車も俺みたいな人間は乗らなきゃいかん、当然。通勤ラッシュです。出勤するんですよ!」

芸人の世界には「無理して家賃が高い家に住むと仕事が入ってくる」というジンクスがある。でも、大木はどこ吹く風。完全に真反対の生き方を選んでいる。

「僕、37歳くらいまでは6畳一間に住んでたんですよ。お給料は、ちゃんともらってますよ。でも、『ビビる大木くらいは、まだ6畳だろうな』っていう自分の判断があったわけです。だって、人気ないんだから! 人気ない奴が急に『家賃30万円です』って言ったところで『なんでお前がそうなの?』って、自分でも冷静にそう思ったの」

■「『自分が主役じゃない』って気がついた」


「当然、昔は俺だって『トップ立ちたい』とか『ゴールデンタイムで冠番組を持ちたい』とか、そういう野望とか希望があったわけですよ」

しかし、ピンになってから、大木は異なる位置を目指した。

「自分がそういう主役じゃないんだって気づいた。じゃあ、主役じゃない人間がテレビを盛り上げるのは、どうしたらいいんだ? 主役が出てるテレビがあったら、それを支えるようなポジションがあるわけだと」

「現場の雰囲気作りをよくするとか、ムードメーカー的な存在は必要なわけでね。そういう役の立ち方、貢献の仕方ってあるんじゃないかって考えて」

回り回って、「自分が主役じゃなくても、周りの人のためになる仕事をしよう」というモチベーションを持つようになった大木。

「だって世の中、主役って何パーセントでしょ? ヘタしたら、95パーセントくらいは主役じゃない人生があるわけですよね」

実は大木、2017年のテレビ出演は402本に達している。完全なる成功者だ。本人は謙遜するが、特に同業者から認められる実力者でもある。大木の成功は、実力者が自らバイプレーヤーに方向転換した結果だ。「成功者は自分に厳しい」という事実の証明にもなっている。

ビビる大木の考える人生訓は、シビアであり、真理であり、ちょっと切なくもある。

(文=寺西ジャジューカ)

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