円の行方、ドルの行方 第160回 相場を張る


相場を張るというと、ビッグ・イベントや重要指標の前に、上げか下げかに賭けるものと思っている方が多いのではないかと思います。しかし、これは丁半博打であまりにもリスクは高過ぎます。プロは、こんなリスクを負いません。

ビッグ・イベント等では、ポジションをスクエア(ノーポジション)にして、実際の結果を見てから、どうするかを瞬時に決め、ポジションを張ります。そうすれば、上げとも下げともわからないリスクを負うことなく、相場の流れに乗れます。つまり、はっきりしてから相場に乗っても遅くはありません。

その代わり、結果が出てからですから、数十ポイント相場が既に走ったところに入りますので、飛び込む勇気が必要です。

しかし、そこで飛び込むか飛び込まないかで明暗ははっきりします。どちらが正しいかは実際にやって見なければわかりませんので、これは勝負です。私自身は、決めたら飛び込む方が多いように思います。

ただし、あてずっぽうでどちらかを選ぶのではなく、今まで頭に刷り込んできた知識・経験をもとに、瞬時に判断することが要求されます。こうなると、スポーツ選手の日々の練習の積み重ねと同じような下地が必要であり、またトレーディングである以上実戦でしか経験できません。ですから、経験をできるだけ多く積むということが大事になるわけです。

もちろん、デモンストレーションというものがありますが、これは実際のトレーディングとは全く別物であり、実戦には役に立たないと個人的には思っています。なぜなら、時々刻々の相場の変動によって、自分のお金が増減する緊張感は、とてもデモンストレーションでは味わえないからです。

失敗を恐れないことです。失敗は、多くのことを教えてくれます。その失敗の経験を忘れずに、自分のものにすることが大事です。

実は、私も、数々の失敗をしてきました。一番、痛恨だったのは、去年の同じ時期に同じようなことをしてやられたということを、やられてから気づくことでした。そして、相場にも四季があり、毎年繰り返される、いろいろな出来事があることを理解しました。

参考記事

第120回 大変重要、財務会計相場(1)
第120回 大変重要、財務会計相場(2)

また、多くの失敗が、自分の悔しさや焦りによって起きていることも、よくわかりました。

この損、何とかして取り戻さなければならない。
ここで止めたら、バカを見るのではないか。

といったことで、自分を自分で追いつめることが、返って悪循環を起こします。

大事なことは、「相場は、これ一回限りではない」と思うことです。この一回に失敗したところで、チャンスは次から次にやってきます。自分に合ったチャンスに乗ればいいわけです。

ですから、気楽な気持ちになることが大事ですし、気持ちが煮詰まってしまったら、気分転換することが大事だと思います。私は、ウォーキングを毎日することにしています。ウォーキング中は、はっきりいって、何にも考えていません。頭を空っぽにすることが大事だと思っています。

さて、話を戻して、相場を張るということですが、一番相場を張るべきときとは、「普通のとき」だと思っています。

ビッグ・イベント、重要指標発表時ではなく、普通のマーケットに一番儲かるチャンスがあると思います。もちろん、ホームランは狙えないかもしれません。

しかし、普通なマーケットだけに、リーズナブルな値動きで、それなりにテクニカルがワークし、ファンダメンタルズが材料になるマーケットには、論理性があります。

そういうマーケットで、先ほどから申し上げてきたような注意点を生かし、しかも欲をかかず、腹八分で利益を積み上げれば、結構な利益になります。

投機と言えども投資であれば、一打満塁逆転ホームランを狙うのではなく、イチローのような着実な野球(トレード)をすることだと、私は思います。

○水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら。

あなたにおすすめ