「取り残されてる人のことを伝えなくて、何が報道だ」山路徹氏、安田純平さんをめぐる”自己責任論”を厳しく批判

AbemaTIMES

2018/11/4 16:50


 先月帰国したフリージャーナリストの安田純平さんをめぐって「自己責任」を唱え責任を追及しようとする人々と、安田さんを擁護する人々の間で激しい論争が巻き起こっている。

4日放送のAbemaTV『 Abema的ニュースショー 』に出演したジャーナリストの山路徹氏は「自己責任論を訴える人は視点がグローバルじゃない。我々が目にしている戦場の写真や映像は無人のカメラが撮っているわけではなく、生身の人間がリスクを負って撮ってきたもの。それを見て我々は平和の尊さを考え、国の進むべき道を判断する材料にしている。自衛隊が安保法制で海外に出ていこうとする中で、海外で何が起きているかさっぱりわからなくていいのか、ということ」と指摘。

  元衆議院議員の宮崎謙介氏が事前の準備も含め、自己責任の部分があったと思うと話すと、自身の会社と契約していたジャーナリストの長井健司氏がミャンマーで射殺された事件に触れ、「彼も"準備不足だ"と言われた。死なないための準備があるとしたら教えてください。知りたいです。はっきりした答えはただ一つ。行かないこと。行かなければ死なないし、叩かれることもない」と反論。「偉そうに言っているのではなく、僕らはそういう職業を選んじゃった。その職業的良心の中で頑張りたいと思う。それが戦場取材。当然そこにはリスクが伴うし、ちゃんと映像を撮ってきて報道できればみんなから拍手喝采を浴びるが、万が一命を落としたり、今回のように拘束されたりすると批判を受ける。同じ行動でも結果で評価が変わっている。ヒーローだと思ってほしいわけではなく、そういうメディアの環境が日本にもあってほしいし、そこのところをみなさんに理解してほしい」と訴えた。

 また、文筆家の古谷経衡氏も「迷惑を被っていないし、シリアに興味も持っていなかった人が突然"けしからん"と言っているパターンがほとんだと思う。謝れば許してやるというムラ的な発想。国に従わず、迷惑をかけたから謝れというのは前近代的。こんなことで自己責任論かどうかを問うこと自体、先進国では考えられない。そもそもどんな人だって、国や人様に迷惑をかけて生きている。40年以上前、カンボジアを取材中に亡くなった一ノ瀬泰造さんについての新聞記事を読んだが、彼が悪いとか、準備不足だという論調はなかったし、両論併記でもなかった。昔よりもひどくなっていると思った」と話していた。

さらに元セクシー女優で、元日本経済新聞の記者でもあった鈴木涼美氏は「大手メディアはフリージャーナリストに冷たい」と話す。「私も記者クラブの一員だったが、フリーが入ろうとすると、審査を厳しくていばっている雰囲気があった。大手メディアが行けないからフリーが活躍できる場でもあるのに、叩かれやすい立場だなと思う。もっとお互いが協力しあえばいいと思う」。

 すると山路氏は「やはり日本には権威主義的な考え方があって、やっていることではなくて"すぐにお前、どこの記者なんだ?"という所属から入る。今回、"シリアは避難勧告が出ていたのに"ということで安田さんを批判している人もいるが、福島第一原発事故のときに、大手メディアは政府の退避指示にしたがって、記者をみんな圏外に出した。もちろん組織としてコンプライアンスもあるし、記者たちの生命を守るのも仕事なので、その判断が間違っているとは言えない。だけど、圏内には多くの人が支援物資も入らない中、取り残されていた、そういう人たちを誰が伝えたかといえば、指示を無視して現場に入っていったフリーランスだった。もちろんジャーナリストは、なにか起きたときに助けてもらうことは期待していない。私も東海村の臨界事故を取材したが。そこに取り残されてる人がいれば伝えるのが報道の責務。それをやらなくして何が報道だ」と話した。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』より)

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