【映画コラム】今週公開の話題作を2本紹介『ビブリア古書堂の事件手帖』『ヴェノム』

テレビファン

2018/11/3 17:41


 今週公開された映画の中から、話題作を2本紹介しよう。まずは、三上延の原作小説を、三島有紀子が監督して映画化した『ビブリア古書堂の事件手帖』から。

就職浪人の五浦大輔(野村周平)は、祖母(渡辺美佐子)の遺品で、夏目漱石のサインが入った『それから』を、鎌倉のビブリア古書堂に持ち込む。店主の篠川栞子(黒木華)は筋金入りの古書マニアだったが、ひょんなことから大輔はこの店でアルバイトをすることになる。

現在と50年前の二つの恋を交差させて描きながら、『それから』に記されたサインと、太宰治の『晩年』の初版本を巡る謎を解いていく、という趣向だが、ミステリーとしては弱く、人物描写も軽いところが残念だ。

とは言え、大道具としての古書店、小道具としての古書、万年筆、原稿用紙、あるいは本をめくる音などで、本好きのつぼを刺激しながら、同時に、本以外のことには無頓着な“古書マニアの業”も描き込んでいるところは面白い。

ところで、今年の黒木は、映画では、本作のほかに、声優を務めた『未来のミライ』、時代劇の『散り椿』、樹木希林と共演した『日日是好日』、『億男』、ホラーの『来る』(12月7日公開)と、出演作はバラエティーに富み、ドラマも「西郷どん」、「獣になれない私たち」に出演するなど、大活躍を見せた。中でも本作の演技は、これまで、どちらかと言えば時代劇や古風な役が多かっただけに、新鮮なものとして映った。シリーズ化もありか。

続いては、マーベルシリーズの新作『ヴェノム』。

舞台はサンフランシスコ。正義感の強いジャーナリストのエディ(トム・ハーディ)は、人体実験のうわさがあるライフ財団への取材に失敗。仕事も恋人(ミシェル・ウィリアムズ)も失い、半ばやけになって財団の研究施設に潜入する。

ところがそこで、被験者となった知り合いのホームレスと接触したため、エディの体に“何か”が寄生する。やがて宇宙からやってきた“何か=ヴェノム(毒)”とエディは一つになり、共生し始める。

凶悪なルックスとキャラクターを持った悪役的なダークヒーローが登場。マーベルシリーズの常だが、後につながるさまざまな種をまく“誕生編”がやはり一番面白いのではないか。特に本作では、ハーディが善悪のはざまで揺れるエディ役を好演している。

監督は『ゾンビランド』(09)、『ピザボーイ 史上最凶のご注文』(11)と、コメディー映画を手掛けたルーベン・フライシャー。そのせいか、本作も全体的にはグロテスクなのに笑えるところが多々あるし、エディとヴェノムによる“バディ(相棒)ムービー”として見ても面白い。(田中雄二)

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