秘密を共有することで、二人は“共犯者”になる――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第4話

日刊サイゾー

2018/11/2 23:00


(前回までのレビューはこちらから)

人間、生きていれば誰しも秘密を抱えているものだ。家族といえども、いや、家族の間であるからこそ、秘密にしておきたいこともあるだろう。

ただ、物事には適正な量というものがある。どんなことでも正直に話せばいいというものでもないし、秘密が多すぎるのもよくない。そのバランスが崩れた時、それこそが“家族の絆にヒビが入る瞬間”と言っていいかもしれない。

ドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)第4話。今回も、出演者それぞれが、たくさんの秘密を抱える展開となった。

娘である美咲(石川恋)の婚約者、日野(ジャニーズWEST・藤井流星)に、自分のつらい気持ちを話し、優しくされた真璃子(中山美穂)。彼に対し、トキメキのようなものを感じてしまう。「今日話したことは娘に黙っていて欲しい」という真璃子に、日野は「秘密は守る」と約束するのだった。

次の日曜、美咲は、改めて日野を家に招待することになった。完治(佐々木蔵之介)の出向についても、美咲から日野に話したとのこと。完治は、どんな男が来るのかと落ち着かない。挨拶に来た日野に対し、完治は、職場や収入などあれやこれやと質問し、美咲を怒らせてしまう。

ドラマでも言われていたが、まさに、銀行員の職業病だろう。私も営業をしていた時、取引先の信用調査などをしたことがあったが、基本的に性悪説に立って審査しなければならないことが大変であった。娘のためを思ってとの行動でも、ついついいつものクセが出て、厳しくなってしまうということはあるだろう。

完治は、出向先の荻野倉庫でも、その悪いクセが出てしまう。社員が重要な書類を出しっぱなしにしている様子を見て、カギを掛けるようにと忠告したのだ。しかし、課長の川本(中川家・礼二)からは、「社内に泥棒がいるとでも言うのか」と反論される。思うようにいかないことを栞(黒木瞳)に話すが、「会社は正論だけでは動いていない」と言われてしまう。

帰り道、栞は完治に「食事をして話をして帰るだけで、つまらないと思っていないか」と問う。完治は、「お互いの立場もある、いろんな付き合い方がある。我慢する」と答える。

そんな頃、真璃子は、美咲の首筋についたキスマークを見てしまう。日野がつけたものなのか。そんなことを思って眠りについた真璃子は、自分が日野とキスをする夢を見て飛び起きる。

一方、完治と栞は、二人で山へデートに行くことになる。ロープウェイ乗り場で待ち合わせた二人だったが、その時、介護している栞の母・悦子(岩本多代)が骨折したとの連絡が入る。登山を断念し、悦子の元へ向かう二人。認知症の悦子は、完治を夫と思い込み、はしゃぐのだった。

真璃子は、帰ってきた完治の登山靴に土がついていないことで、どこか別なところにいたのではないかと疑念を抱く。ここでまた、疑念と秘密が生まれる。隠しているのは完治の方、しかし、真璃子は「夫の行動に疑念を持っている」という気持ちを隠しているのだ。この、秘密の連鎖が、このドラマのひとつの魅力だ。ある意味、ドラマを見ている視聴者も、その秘密を共有している。画面を通して、キャストの共犯者となったような気持ちになるのだ。

真璃子は、ひょんなことから美咲の代わりに日野と映画を見ることになる。日野と並んで座り、真璃子は夢想する。自分はまだ若くて美しくて、隣りにいるのは自分の恋人で――。ここで視聴者は、若い頃の中山美穂の姿を思い浮かべたのではないだろうか。長く活動している女優というのは、このようなところで強みが出てくる。

映画が終わって話すうち、日野は美咲への疑念を口にする。「彼女は他に好きな人がいるんじゃないか」と。

一方、悦子から夫との夫婦生活について聞かされた栞は、自分の、女としての人生を振り返る。そして完治に、正直な思いを話す。母は自分より女として恵まれていた。自分に自信がない、だからスイスの夜も関係を拒否した。こうやって自分の人生は終わっていくのだろうか――。そんな栞の手を、完治はそっと握るのだった。

二人はそのままホテルに向かう。ある意味、幸せの絶頂にいた完治。しかしそこで思わぬものを目撃する。部屋に行くエレベーターの中でキスをしていたのは、美咲と、年配の男性(高田純次)だったのだ。この瞬間、完治と美咲は、期せずして秘密を共有したことになる。二人は共犯者なのだ。

大きく動き出した家族の関係、そして、メインキャストは皆秘密を抱えている。ここで気になるのは日野の存在だ。いつもクールで優しい存在だが、どこか影を感じなくもない。日野は一体どのような秘密を抱えているのだろうか?

今回は、性に関わるシーンがいくつか見られた。完治が栞に「その先の関係を望んでいないか?」と問われ、「我慢する」と答えるところ。栞の母・悦子が亡き夫との経験を話すところ、美咲の首筋にあるキスマーク、そして、栞が完治に「自信がなくて怖かった」と言うシーン。いずれも、性的な関係を匂わせながら、決して直接的な表現を使っていない。

今のテレビは、過激なシーンをあまり流さなくなった。暴力的なシーンや、差別的なシーン、そして性的な描写も。丁寧に、下品にならないように性を語る。そこが、作り手の腕の見せ所である。

性の問題は、一番の秘密だと言える。今後、誰がどんな形で秘密を持ち、共犯者となっていくのか。期待して待ちたい。

(文=プレヤード)

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