青島広志が語る『世界まるごとクラシック2018』~これまでの10年とこれからの10年

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作曲家、指揮者、ピアニスト、音楽番組の司会、ときには被り物姿でステージに登場する。そんなマルチな才能を発揮する青島広志(あおしま ひろし)。音楽とユーモア溢れるトークで聞く人を楽しませてきた。青島が始めた毎年恒例のコンサート「世界まるごとクラシック」は、のべ10万人を超える動員数を誇る人気シリーズだ。今年は、10年目という節目を迎える。スクリーンや照明を駆使した演出のみならず、合間のトークも大きな魅力で、子どもから高齢者まで幅広い年齢層に愛されてきた。『世界まるごとクラシック2018~この先10年よろしくお願いします!』と題された今年の東京公演が、11月23日(祝)に東京国際フォーラム ホールAで開催される。「話しても、笑っても、咳をしても、お子さんが泣いても構いません。お客さんが主役」と語る青島。これまでの10年とこれからの10年、そして、今回のコンサートに込めた想いを青島に聞いた。


10年間という歩み


――「世界まるごとクラシック」は、今年で10年を迎えましたが、印象深かった出来事は何ですか。

初めの頃は、色々な方と共演させてもらいましたね。川井 郁子(ヴァイオリン)さんや奥村 愛さん(ヴァイオリン)。清塚 信也さん(ピアノ)や三浦 一馬さん(バンドネオン)。長富 彩さん(ピアノ)や小野 勉さん(テノール)も。それぞれが色を付けてくださいました。オーケストラには多様な色がありすぎるので、何か一つの色が強くでるということはない。ですから、ソリストの方が入ることで、色が出るのがとても良いんです。

最近では、ソリストをお招きしなくてもお客さんが来てくれるようになりました。オーケストラの魅力だったり、プログラミングの妙だったり、私がどんなことをしゃべるのかしらといった期待から来てくださっているのかなと思っています。

――お客さまからの声で嬉しかったことはありますか。

私は、コンサートの際、必ずロビーに出て挨拶します。その時に、肉親のように、直接、声をかけていただけるのが、とても嬉しかったですね。大正生まれという年配の方が声をかけてくれたこともありました。そういう方にも、益々、お越しいただけたらいいなと思います

――小さなお子さんも多いんですね。

小さい方も大歓迎です! 泣かれたって、どうってことない。泣いている子のところへ舞台から降りていきたいくらい。さすがにピアノを弾いている時は動けませんが、指揮棒を振っている時に、近くで泣いていたら、いきますよ(笑)。

毎年来てくれた小さな子どもさんが、10年の間で中学生になったという話を聞いたのも嬉しかったですね。

――青島さんのトークを楽しみにいらっしゃる方も多いと思います。

主体は、お客さま。お客さまに、どうやって楽しんでもらうかを大事にしています。

以前に春風亭小朝さんが変装して、来てくださったことがあります。彼とは、幼稚園と小学校が一緒だったんですが、公演の後にやってきて「青島君のしゃべり方は面白かったので、自分も高座であのようにやります」って言われました。今では、一緒に音楽会をやることもあるんですよ。

――10年間共に歩んできたのが、シアター オーケストラ トーキョーですね。オーケストラについては、どう感じていますか。

オーケストラのメンバーは、ゆるゆると代わってきました。お怪我なさって辞めた方もいます。世代交代して、メンバーが若返ってきましたので、そういう若い人の期待を裏切ることはできないなと思っています。


「あと10年間、お元気で」いてほしい


――今回のプログラムも、名曲を揃えた充実のラインナップですね。選曲に際して何を大切にされてきたのでしょうか。

国も違えば、時代や曲想、規模も違うバラエティに富んだプログラムにしました。また、いつも、お客様と一緒に楽しめる作品を盛り込んでいます。今回は、J.シュトラウス2世の「雷鳴と電光」。この作品は「ポルカ」ですから、踊るための曲。振りと手拍子、お客さんと一体となるにはいいと思いました。

――壮大で劇的なチャイコフスキー大序曲「1812年」も楽しみにしています。

大序曲「1812年」は、今回、演奏するものの中で一番大きな編成の曲です。最後に大砲を鳴らすのですが、本物は使えないから……。どうやって演奏しようかな、演出はどうしようかなと考えている最中です。楽しみにしていくださいね。もうひとつの大きな曲が、ワーグナーの「タンホイザー」より"大行進曲"です。

こういった作品を取り上げた一方で、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」より"間奏曲"のように、静かなで宗教的な曲も加えました。また、今年はドビュッシーの没後100年です。「小組曲」より“小舟にて”と“バレエ”を選びました。私の恩師である池内友次郎先生はフランスで学ばれた方ですから、ドビュッシーは、私にとって、先生の先生に当たるといっても過言ではないんです。

――名曲中の名曲として知られているベートーヴェンの交響曲第5番「運命」も演奏されますね。

お客様から「運命」を演奏してほしいという要望を、沢山いただいてきました。この作品は、ベートーヴェンが、一番、耳が聴こえない時期に作られた一曲です。苦悩を表現した第1楽章と共に、困難を克服し、勝利を表現している第4楽章をお届けします。


――チャイコフスキー「くるみ割り人形」より"花のワルツ"の聴きどころはどこでしょうか。

シアター オーケストラ トーキョーは、熊川哲也さんが芸術監督を務めるKバレエカンパニーの専属オーケストラですから、彼らにとって、この曲は十八番。「くるみ割り人形」の組曲中で最も人気の高い作品で、なんと言っても、ハープのソロが聴きどころですね。小さなお嬢さんたちが、すごく憧れるところだろうと思います。

――ルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」も優雅で上品な作品ですね。

「舞踏会の美女」は、今回のプログラムの中で唯一のアメリカ作品。セミクラシックなので、一番聴きやすい曲だと思います。アメリカやイギリスのように色々な場所から人が入ってくる国では、ポピュラー(音楽)が栄えていますね。

――今回のコンサートのサブタイトルは、「この先10年よろしくお願いします!」。ここには、どんな想いが込められているのですか。

年配の方に「皆さん、あと10年間、お元気でね」と言いたい。演奏したい曲は、まだまだ沢山ありますから。神様は多くの作曲家に霊感を与えました。毎年、アニバーサリーを迎える作曲家の作品を取り上げてきましたが、皆さんに、紹介する意味でも、今後もそれを続けていきたいです。

――最後に、コンサートを楽しみにしていらっしゃる読者の方々に向けて、メッセージをお願いします。

まず、絶対に気負わないでお越しいただきたいですね。隣の家に行くくらいの気持ちで。そして、会場では隣席の方とおしゃべりをしてほしいですね。どの出演者が、一番ハンサムかとかね(笑)。コンサートを、新しい出会いの場として使って欲しいと思っています。コンサートで一緒になった人は、趣味が同じ人ですから。元々、音楽はそういう場を提供するために演奏されてきたんです。演奏会で、貴族はご飯を食べたり、交流したりしていました。私も、その延長線上でコンサートをやっていきたい。

ミロのビーナスはルーブル美術館に行かないと見られませんが、コンサートだと、実に色々な国で作られた作品が一堂に会します。300年に亘るクラシック音楽の歴史を知り、人間がどういった美しいものを作ってきたのかを、是非、鑑賞してもらいたいです。


取材・文=大野はな恵  写真=山本れお

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