貴乃花はなぜ誤解を生むのか――「真実をわかってもらえない」

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 日本相撲協会は29日、大相撲九州場所の新番付を発表した。これにより正式に、年寄貴乃花光司(元横綱)の退職がアナウンスされた。

昨年10月26日、貴乃花部屋の貴ノ岩が元横綱の日馬富士から酒席で暴行を受けて、全治2週間程度の怪我を負った事件に端を発するこの騒動。貴乃花親方が鳥取県警へ被害届を提出したことが、相撲協会の怒りを買った。

この事件について詳細な調査と検証を求めた貴乃花と、それを望まず内々に処理したい相撲協会の言い分は真っ向から食い違い、例のごとく「貴乃花が暴走している」という論調の報道も多く出た。

支援者による「貴乃花応援会」公式サイトトップページには、次のように綴られている。

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貴乃花親方 相撲協会を引退
相撲協会から内閣府への告発状が事実無根であることを認めるよう強要され苦渋の決断!
相撲界に携わる人々、将来、相撲界に携わる人々の安全や自由を守る為、相撲界に蔓延る暴力、パワハラを無くしていく為に立ち上がり行動してきましたが、まさにその既存権力の不当な圧力の前に引退を余儀なくされました。しかしながら、貴乃花の相撲界への想いとその活動はこれからも続いて参ります。皆様の引き続きのご声援をお願い致します。

貴乃花親方への中傷報道にご注意ください
虚偽、推測で貴乃花親方を中傷する報道がございますので、ご注意ください。貴乃花応援会サイトでは貴乃花親方が不当に名誉を傷つけられることの無いよう、正確な情報提供を行って参ります。

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ともあれこうして相撲協会を離れた貴乃花は、バラエティ出演にも積極的だ。29日放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演し、同世代の芸人たちと四股を踏む。イタリアかぶれで何を考えているかよくわからない、気難しく暴走気味の男――そんなふうに貴乃花のイメージを捉えていた視聴者は、面食らうのではないだろうか。

身内に振り回されてきた貴乃花
 過去には「整体師に洗脳されている」と騒動になったこともある貴乃花。退職をめぐっても、穏便な解決に目を向けない貴乃花に周囲が愛想を尽かしているとか、特に妻・景子さんが離婚に動き出しているとか、あらぬ噂が立ち上った。すべては貴乃花の頑固さ、他者の迷惑を顧みない自己中心的な態度に問題があるかのような報道も目立った。実際、相撲協会側から見ればその通りだったのかもしれない。

しかし著書『生きざま』(ポプラ社)で、貴乃花は周囲の誤解や、勝手な思惑などに振り回されてきたことを嘆いている。

そもそも師匠である父や兄との不仲報道は、心当たりのないことだったという。また「洗脳騒動」についても、兄と同じ整体師に通っていただけなのに、いつの間にか自分が洗脳されていることに仕立て上げられていたと驚く。兄や母との価値観の相違に触れ、貴乃花なりに騒動の原因を分析して納得しようと試みているが、やはり騒動の発端は常に身内だった。

55歳の若さで逝った父・初代貴ノ花の死に際しても、病床で身内が言い争っていた。「主治医がいるときも看護師がいるときも、彼らの口撃は止むことがなかった」「(頼まれて家の権利書を預かっていた)家内が泥棒扱いされだした」等、ひどい惨状だったことがうかがえる。一家離散も止むを得まい。

自らを「改革者でも原理主義者でもない」「波風はなるべく立てたくない性格」だという貴乃花。しかし貴乃花が波風を立てずに仁義を通そうとすると、別の角度から横槍が入る。そんなことの繰り返しだっただろう。誤解を恐れずにいえば、狡猾さが足りなかったのかもしれない。

貴乃花も景子さんも「口が上手くない」。景子さんが悪役に仕立て上げられて叩かれる報道も随分あったが、貴乃花は「そこで反論したところで、真実をわかってはもらえない」と諦念を示している。

しかし誰にもわかってもらえないなどと諦めきっているわけではない。「真実は、その人間の生きざまに表れるのだ」「私と家内がどんな人間で、どんな思いで生きているのか。今のまま、正直に生きていけば、自ずとわかってもらえる日がくるのではないか」と綴っている。

協会のしがらみを解放され、それでも相撲とともに生き、ちびっ子相撲など子どもたちに相撲文化を広める活動をこれからもしていくという貴乃花。まだ46歳。その「生きざま」が広く認められる日もいつか来るだろう。

(清水美早紀)

当記事はwezzyの提供記事です。

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