<試写室>「おかしな刑事SP」信頼と品質の“ホッとするサスペンス”

ザテレビジョン

2018/10/21 06:00

よく刑事ドラマを見ていると「いいか! 徹底的に●●を調べろ! 解散!」や「必ず、ホシを挙げる!」など、上司の発した言葉を受けて気持ちよく「はい!」と返事をする、バリバリタテ社会な描写がある。この感じがとても気持ちいい。

最近では、重要な相談事ですらもチャットや、某コミュニケーションアプリなどで堂々としてくる若者が多く、逆にこちらから面と向かってお願いしたり、指示したりしても「え~、それ必要ですかぁ~?」とか、ふにゃふにゃとした返事を返されてしまうこともしばしば。

それっておかしくない?と思いつつも、ちょっと注意しようものならハラスメントだ!と騒ぎ立てる。実におかしな世の中になったものだ。

さて、おかしなといえば……って強引におあつらえ向きの展開に持ってきたが、刑事の中にもおかしな人がいるようで。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は10月21日(日)に放送される「おかしな刑事スペシャル」(夜9:00-11:05、テレビ朝日系)を取り上げる。

本作は、伊東四朗がたたき上げの刑事・鴨志田新一を、羽田美智子が娘でエリート警視の岡崎真実という、凸凹父娘コンビを演じる「おかしな刑事」シリーズ最新作。

第18弾となる今回は、女性記者が包丁で刺殺される事件をきっかけに、凸凹父娘コンビが殺人事件に隠された切ない真相と背後に潜む巨悪を暴く。

■ 「おかしな刑事スペシャル」あらすじ

鴨志田新一(伊東)は、警視庁東王子署の警部補。別れた妻との間にもうけた娘・岡崎真実(羽田)は警察庁刑事局のエリート警視だが、鴨志田と真実が実の親子だということは、2人の職場の人間は誰も知らない。

東王子署管内の公園で、新聞社の文化部記者・長谷部薫(岩橋道子)が刺殺された。第一発見者は実演販売員の元夫・相川裕治(深沢邦之)で、現場からは財布や携帯電話、パソコンなど所持品が全て入った薫のバッグが、こつ然と消えていた。

目撃者によると、悲鳴を聞いて駆けつけたところ、相川は仰向けに倒れた被害者に馬乗りになっていたという。その上、凶器の包丁は相川が実演販売している商品であり、相川の指紋しか検出されなかったことから、捜査員たちは相川を疑う。鴨志田は凶器の指紋が不自然に付着していることに気付いたが、相川は逮捕、起訴されてしまう。

調べを進める中で、事件の2週間前に、薫が住んでいたマンションに空き巣が入った事実が浮上。犯人は薫の所持品が目当てだったのではないかと、鴨志田は考え始める。そのころ、相川は国選弁護人の武井昭一(正名僕蔵)を解任。

代わりに着任したのが大物弁護士・久保丈太郎(大和田伸也)だった。しかも、これまで一貫して犯行を否認していた相川は、裁判に入ったとたん罪を認める。これには鴨志田も武井も疑念を抱くが、真実もまたこの事件に興味を持っていた…。

■ 独断と偏見のレビュー

「今どきの若者は…」と言うほど年を取った覚えはないし、そんな不毛なことは言わないが、やはり2時間サスペンスに抵抗のある若者は多いと思う。

「崖の上で犯人を逮捕するんでしょ?」「夜10時またぎで温泉シーンがあるんでしょ?」「まとめると、お堅いんでしょう~?」などといった偏見ががちがちにあり、食わず嫌いじゃないが、見ず嫌いの人もいるだろう。

かくいう筆者もDVDを受け取ってから約2時間の映像を見るのに2日間くらい心の準備に擁した。それはまた違う意味もあるが…いざ見始めると非常に見やすく、すいすい見られた。

まず冒頭の伊東&羽田、そして田島令子の“ミニコント”のようなやりとり。堅いと思って見た人は裏切られてビックリしてしまうかもしれないが、「おかしな刑事」ワールドはどの枠で放送されてもいい意味で変わらなくて、安心する。

また、映像を見る前に公式サイトを見たとき、本シリーズには欠かせない存在の姉小路行人(石井正則)の名前がなかったので、笑いの要素が少ないのかなと思ったが、この3人だけで強烈なパンチ力があるので、ご安心を。

それに石井がいなくても正名がいる。“小市民感”バリバリで長いものに巻かれることに関しては誰も負けないように見えて、実は根っこには正義感がある。相変わらずいい味出しているし、ある場面ではイケメンっぷりも見せてくれる。

その他、小倉久寛や佐渡稔、飯田基祐、 伊東孝明、福本伸一といったカモさん&真実に振り回される面々ももちろんだが、大物弁護士・久保を演じる大和田伸也の存在感はさすがの一言。

なぜだろう、弁護士役だってのに悪代官様にしか見えない(?)あのオーラ(失礼!)は。あの眼光の鋭さで見詰められたら、何もしていなくても「ごめんなさい!」と言いたくなってしまうほど。

そしてクセの強い作家先生役で、“月9”や「ハゲタカ」(テレビ朝日系)で話題になったあの“エエ声”俳優がこっそり(?)出ているのも驚いた。事前情報になかったので、他人の空似かと思ったが、あの声は彼にしか出せない。

それはともかく、伊東も本シリーズが18作にもわたって続く理由について「ハードボイルドな刑事ドラマが多い中、タイトルどおり“おかしな”ところが、皆さん見ていてホッとするのかな」と分析しているように、やはりサスペンスなのにホッとする場面が随所に見られるのが魅力なのだろう。

そして自然体な空気感を持つ凸凹親子ペア、カモさんの自由奔放さに困り顔になりつつも何だかんだ信頼して付き合う周囲の刑事たち、そしてイヤミったらしい悪役におちゃめな人々、“おかしな”どころか、“いとをかし”なキャラクターが勢ぞろい。

個人的には茨城に対して若干バカにした言い方をされ、茨城出身の羽田演じる真実が「茨城の人が聞いたら怒るわね」と苦笑いする場面は特に笑わせてもらった。

ロケットに情熱を注ぐ大人たちの熱いやりとりも、ツッパリたちのコミカルな動きもいいが、2時間ドラマだからといって構えず、見ず嫌いもせず、気楽な気持ちで“ホッとするサスペンス”を見てみたら良いのでは?

と、言っても最近の若者は「はい!」と二つ返事で返してはくれないのだろうけど。(ザテレビジョン・文=人見知りシャイボーイ)

https://news.walkerplus.com/article/166133/

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