「西郷どん」37話。視聴率ヒトケタ台に…無念の江戸城無血開城 

エキレビ!

2018/10/14 09:45

大河ドラマ「西郷どん」(原作:林真理子 脚本:中園ミホ/毎週日曜 NHK 総合テレビ午後8時 BSプレミアム 午後6時) 
第37回「江戸城無血開城」10月7日(日)放送 演出:野田雄介


西郷どん 完全版 第弐集 DVD

「西郷、最後の頼みじゃ」
9月30日(日)放送予定だった37話は台風24号の情報のため休止になった。
BSプレミアムでは放送されたが、10月7日、BS でも改めて37話が放送された。
江戸城無血開城という大きな転換点が描かれた回で、それまでいいとこなしだった慶喜(松田翔太)の見せ場もあったので、一週延びたのはちょっと惜しい気もしつつ、カットされたわけではないので、粛々と見た。
だが無念にも視聴率は関東地区では9.9%。
関西では14.0%と悪くない。(ビデオリサーチ調べ)。

江戸城総攻撃の日を3月15日に決めた吉之助(鈴木亮平)は、篤姫こと天璋院(北川景子)と再会した。
天璋院に慶喜の命乞いをされるかと思った吉之助だったが、そうでなく「慶喜殿の首ひとつでこの戦を終わらせてくれ」という意外なものだった。すべては徳川家を守るためだ。

「思えば我らの人生の天変は慶喜どのではじまったのじゃ」
と振り返る天璋院。
島津斉彬(渡辺謙)の命により徳川と深いパイプを持つために奔走した篤姫と吉之助。時代に翻弄された者たちと言えるだろう。
回想シーンの吉之助と篤姫は若い。とりわけ吉之助はずいぶん変わった。演技プランをしっかり立てて着々と実行してきたことを感じる。

「西郷、最後の頼みじゃ」と天璋院。これはダジャレ?
だが吉之助はうるうるした涙で、完膚なきまでに徳川家を打ち砕くと宣言する。
「徳川の名にかけて、私は命をかけて闘うのみです」と天璋院も毅然と言う。
そこで幾島が血を吐く。
「これがほんまに最後のご奉公でございます」と笑った歯に血がついている。お歯黒ならぬお歯赤。
南野陽子、何かと印象に残るように芸が細かい。俳優魂を感じる。


かよわき民と小鳥ぴよぴよ
江戸城総攻撃の前日、吉之助のところに山岡鉄太郎(藤本隆宏)が来て、勝海舟(遠藤憲一)と会ってほしいと呼びに来る。
桜がきれいな背景で、キセルをもって待っている勝。キメキメだ。
「この江戸を戦で火の海にするのをやめてもらいたいんだ」と吉之助に頼む勝。
慶喜は隠居して水戸で謹慎、江戸城を明け渡す、武器も返上するから、寛大な配慮をしてほしいと交渉する。

「いつの世も勝者敗者はあっけなく入れ替わるものだ」
「おまえさんのほどの者が勝者のたしなみをご存知ないわけはないだろう」
ひたすらかっこいい勝に説得されて、「かよわき民」を守ることを思い出す吉之助。
そこへぴよぴよと鳥の声。かよわき民の暗喩か。見れば天井に鳥の巣が。
鈴木亮平も遠藤憲一も目がうるうる。
こうして考え直すことにする吉之助。
鼻をつまんで鼻水を抑える勝の仕草に、渡辺謙の名演・斉彬の鼻かみ場面を思い出した。こういうさりげない俳優たちの競演みたいな感じは良きかな良きかな。南野陽子といい、こういうのこそ演技バトルと言うのだと思う。それに比べて若い男子たちがおとなし過ぎやしないか。

「おかげで今年も桜が見られる 西郷どんありがとよ」と桜を見上げる勝。
なぜか妙に商業演劇ふう演出。
勝は、上野に銅像を立てると笑う。

ようやく慶喜の見せ場
夜、白装束になって覚悟を決めた慶喜のもとへ吉之助がやって来る。
向かい合うふたり。ここは、翻訳劇のふたり芝居ふう。
おれを殺しに来たんだろと言う慶喜に吉之助は脇差を置く。
ここから、吉之助と慶喜の本音トーク。
「なぜ逃げたのか」と問う吉之助に、慶喜は心情を語りだす。
フランスと組んで勝ったら薩摩をよこせと言われたていた。
フランスと英国が闘い、日本が乗っ取られる。
それがいやだったから逃げたと言う慶喜に、
吉之助は「ひー様が貴方様なんですね」「徳川の血を引いたことがあたな様の不幸だった」と理解を示す。
えー、そんなこと、最初からわかっていたのでは・・・と思ってしまう脚本ってどうなんだろうか。
なんだか途中から唐突に、吉之助と慶喜が裏切りのライアーゲーム化したことに無理があった気がする。

ともあれ、「徳川最後の将軍としてのご覚悟、この牛男しかと見せていただきました。ひー様 よくぞ逃げて日本をお守りくださいました」と解決。
またここでも「逃げるは恥だが役に立つ」的生き方の提案がされた感じがあった。
岩倉(鶴瓶師匠)、大久保(瑛太)、長州に報告。慶喜の首を跳ねないといられない桂小五郎(玉山鉄二)がごねるが、なんだかんだで江戸も徳川も救われた。
慶応4年4月11日、江戸城明け渡し、晴れ晴れとした顔で去っていく慶喜。

天璋院は吉之助に徳川家が260年かけて天下をまとめてきた記録を手渡す。
舞台のエンディング、どんどんみんなが花道を通って退場していくような、ひとりひとりにたっぷり時間をとっているような印象を受ける回だった。

こうして、一件落着。吉之助もようやく肩の荷が降りて、天璋院に託された二宮尊徳の本を読んで寝ている。
これで37話は終わりかと思うと、まだ8時35分だ。
ここから新たな騒乱がはじまる。
彰義隊との闘いだ。会津をはじめ、東北諸藩が蜂起した。

その回で一章を終わらせて次回から新展開にするのではなく、その回の途中でガラリと舞台を変える
やり方の大成功例は、7月期のドラマ「義母と娘のブルース」(TBS)だろう。義娘が小学生篇と高校生篇の二部構成だったが、回の途中で高校生篇に入って視聴者を驚かせた。話が一旦落ち着いちゃって次回から見るモチベーションが落ちるよりも、回の途中で切り替えて、この続きを見たいと思わせる作戦は理にかなっていると思う。

新キャラ、桂に遣わされた稀代の戦略家、長州藩主・大村益次郎(林家正蔵)登場。
広いおでこを2時間かけて特殊メイクする気合の入れようだ。ここにも俳優魂が。

果ての見えぬ戦に吉之助は没入していく。
「死んじゃいけねえよ西郷どん。龍馬(小栗旬)が夢見た新しい国をつくってくれ」と勝が喝。
「きばらにゃあ 死んだ龍馬が泣くぞ」とナレーション(西田敏行)まで。
それほど龍馬のことを描いてなかったのに、なぜこんなに強調するのか・・・。
(イラストと文/木俣冬)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ