白石和彌監督、師匠・若松孝二監督を描いた意欲作公開で「若松プロの映画は“カメラを止める”という選択肢はハナからない!」

AbemaTIMES

2018/10/13 13:38


 13日、東京・テアトル新宿にて映画『止められるか、俺たちを』の初日舞台挨拶が行われ、同作のメガホンをとった白石和彌監督が、俳優の井浦新、山本浩司、岡部尚、大西信満、タモト清嵐、伊島空、外山将平、藤原季節、上川周作、中澤梓佐、柴田鷹雄、高岡蒼佑、脚本家の井上淳一と登壇。同作にかける熱い思いを語った。

 2012年の若松孝二監督逝去から6年がたった今、白石監督が本作で描いたのは、1969年の若松プロダクションを舞台に命懸けで映画を作っていた若者たちの青春群像劇。権力に媚びない反骨精神の塊である若松監督が代表を務めた映画プロダクションである若松プロは、性と暴力を正面から取り上げ、過激な作風で「国辱映画」と揶揄されながらも、当時の若者たちを熱狂させるセンセーショナルな作品を次々と発表。同作では若松孝二役を井浦新が、そして主人公・吉積めぐみ役を門脇麦が熱演。白石監督も1995年から若松プロで助監督を務めていたという経歴の持ち主で、今回の映画化も自ら発案した。

井浦が若松監督を演じるのをはじめ、山本が映画監督の足立正生を、藤原季節が脚本家で荒井晴彦を、高岡蒼佑が映画監督の大島渚を担当するなど、実在する映画界のレジェンドばかり登場する同作。俳優陣には相当なプレッシャーがあったと予想されるが、白石監督は「この企画をやる段階から、若松プロオールスターズでやろうと思っていたんですが、同時に新しい俳優を入れたいと思って、このメンバーになりました。一つだけ約束できるのは、もし若松監督がいたら新メンバー含めて全員大好きになったメンバーになったと思います」と、俳優陣の健闘ぶりを絶賛。「若松さんは自分が映画になるなんて一ミリも思っていないでしょうから、多分今頃『馬鹿野郎!』ってまんざらでもない顔で怒っていると思います」と語り笑顔を見せた。

最後に白石監督は「この映画は若松プロの再始動ということで、映画界全体から見たら小さい映画かもしれませけど、僕たちにとって本当に魂を込めた映画です。ぜひ映画を観て応援していただければと思います。若松プロの映画は『カメラを止める』という選択肢はハナからない!ということで。ぜひよろしくお願いします」とこの夏の大ヒット作『カメラを止めるな!』にかけて観客に応援を呼びかけ。これに続いて、井浦も意気揚々と「若松プロダクション、白石組、今日ここにいるみんなを皆さん、覚えていてください!50、60年代から続いてきた若松プロダクションの最前線に僕たちがいます。これから僕らはそれぞれがそれぞれの仕事をしながらどんどん飛んでいきます!」と締めの挨拶。「皆さん、若松プロダクションが生み出す映画、まだ見たいですか!?」と観客に呼びかけ、客席から拍手が沸き起こると、「ですよね!」とさらに煽り、「監督!見たいそうですよ!」と白石監督に若松プロでの次回作をリクエスト。白石監督は「もちろんでございます!!」と応え、客席は拍手喝采の嵐となった。
ストーリー
 吉積めぐみ、21歳。1969年春、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われて、“若松プロダクション”の扉をたたいた。当時、若者を熱狂させる映画を作りだしていた“若松プロダクション“。そこはピンク映画の旗手・若松孝二を中心とした新進気鋭の若者たちの巣窟であった。小難しい理屈を並べ立てる映画監督の足立正生、冗談ばかり言いつつも全てをこなす助監督のガイラ、飄々とした助監督で脚本家の沖島勲、カメラマン志望の高間賢治、インテリ評論家気取りの助監督・荒井晴彦など、映画に魅せられた何者かの卵たちが次々と集まってきた。撮影がある時もない時も事務所に集い、タバコを吸い、酒を飲み、ネタを探し、レコードを万引きし、街で女優をスカウトする。撮影がはじまれば、助監督はなんでもやる。

「映画を観るのと撮るのは、180度違う…」めぐみは、若松孝二という存在、なによりも映画作りに魅了されていく。

しかし万引きの天才で、めぐみに助監督の全てを教えてくれたオバケも「エネルギーの貯金を使い果たした」と、若松プロを去っていった。めぐみ自身も何を表現したいのか、何者になりたいのか、何も見つけられない自分への焦りと、全てから取り残されてしまうような言いようのない不安に駆られていく。

「やがては、監督……若松孝二にヤイバを突き付けないと…」

写真:野原誠治

テキスト:堤茜子

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