調子こいたベンチャー出身24歳が、大企業で通用しなかった理由

日刊SPA!

2018/10/13 08:54



大企業からベンチャー企業に転職したら、使いものにならなかったーーというのはよく聞く話である。決まりごとの多い大企業出身者が、スピード感のあるベンチャーで通用しないことは確かにある。

しかし、実はその逆の事例もあるのだ。ベンチャーから大企業に転職して失敗した男性、吉山さん(24歳・仮名)に話を聞いた。

◆ベンチャーでは「俺、仕事ができる!」と絶対の自信が

「大学在学中から、都内のとあるベンチャー企業にインターンとして参加しました。WEBサイトのライターからスタートして、営業企画、広告営業など、いろいろな業務を任せてもらっていました」

吉山さんは当時、自分がやる仕事に絶対の自信を持っていたという。

「僕の父は中小企業のサラリーマンで、毎日クタクタになって帰ってきて、休みの日は一日中寝ている生活でした。そんな父の姿を見て、自分は絶対にこんなダサいサラリーマンにはなりたくないと。仕事に生きがいを見出して、楽しい人生を送りたいなと思って、インターンを経てそのまま自己裁量の大きいベンチャー企業に入社しました。

仕事は大変でしたけど、責任のある仕事を任され、会社の利益アップにもたくさん貢献してきました。部下もたくさんいて、23歳で役職がついたことで、自分は仕事ができる! と完全に調子に乗りました」

◆起業のために「大企業出身」の肩書きがほしくて

そんな吉山さんは、入社1年が経ったころ転職を考えるようになる。

「組織の歯車的なイメージの強い大企業なんて絶対に嫌だと最初は思っていましたが、福利厚生もしっかりとしていて、ボーナスもかなりの額がもらえることはやはり魅力でした。当時いたベンチャーは、福利厚生など無いに等しい状況でしたから。

あと、僕は将来、自分で起業するという目標を持っていたのですが、今波に乗っているベンチャーの社長たちは大企業出身者が多いんです。やっぱり、元〇〇出身という肩書は、起業したときに大きな名刺代わりになりますしね」

こうして転職活動をスタートした吉山さん。前職の広告営業の経験から営業を志望し、晴れて某建築系大企業に内定した。大学時代の吉山さんの専攻は建築だった。そこで学んだ知識を活かし、将来は建築とITを融合させたサービスで起業をすることを考えていたこともあり、その企業に決めたという。念願叶い営業部へと配属された吉山さん、しかし、意外なところで思わぬ壁にぶち当たったという。

「直属の上司が特別厳しかったというのもあるのですが、これまで僕が抱いていた仕事というイメージを根本からくつがえされました。ベンチャー時代は自分のデスクにある椅子に、ほとんど寝転がるようにもたれかかりながら仕事をしていたんです。実際にそういう人も多かったですし。

ですが、転職先でそうやって仕事をしていたら、ものすごく怒られたんです。“お前は態度が悪い”と。あと、前職では当たり前だった音楽を聴きながら仕事をすることも認められなくて。“仕事を舐めてるのか”のようなことを言われた記憶があります」

◆「営業先の偉いおじさん」に「そ~っすよね~!」

もちろん業界にもよるが、確かに大企業は社風の堅い会社も多いだろう。ベンチャー時代に染みついた常識は、転職先では非常識と捉えられてしまったようだ。だが、吉山さんがぶち当たった壁は他にもあった。

「情けない話なのですが、ビジネスにふさわしい言葉が全然わからなかったんですよね(笑)。営業の経験はありましたが、web系の企業だったこともあってか、取引先の企業もゆるいところが多く、どこかラフな感じで行っていたんです。

転職先ではスーツをビシッと着て、お堅い企業へ行ったりもしていたのですが、まあひどかったですね。先方のそこそこ偉いおじさんに、“そ~っすよね~!”って言ってしまったときのあの空気は忘れられません(笑)。そういうことが何度かあり、一度とある企業からプチクレームみたいなものが来たことで、先ほど言った厳しい上司に怒られ、仕事のできない若い奴というレッテルを貼られました」

◆結局、前いたベンチャーに出戻り

ベンチャー企業ではその他の企業に比べ、研修体制などはしっかりしていないという話はよく聞く。吉山さんは新卒入社組ではなく、インターンから直接入社したこともあり、基本的な社会人のイロハが分かっていなかったという。こうした挫折もあり、結局すぐにその大企業を退職した吉山さん。その後は以前いたベンチャー企業に出戻りしたそうだ。

「やっぱり、適材適所という言葉はズバリだと痛感しています。ベンチャー企業に戻りましたが、そこでは実績をあげられているので(笑)。ただ、一度大企業に転職してみたのは本当に良い経験でした。自分の至らないこともたくさん知れましたし、絶対にベンチャー企業からは出ない! と心に誓えましたし(笑)」

彼を生かせなかった大企業の側にも問題はあったのだろう。ただ、「仕事ができる」という定義はとても難しい。特殊な技能を求められる専門職でもない限り、何をもって仕事ができると判断されるものなのだろうか。

今回吉山さんの話を聞いた限り、仕事ができる会社員とは「その会社のルールに適応し、なおかつ実績をあげられること」が第一条件だと感じた。

ある会社でまったく使い物にならなかった社員が、別の会社では凄まじい活躍をすることだってあるだろう。まさに適材適所という言葉のとおりだ。会社選びの際は、自分の能力を最大限に活かすことのできる企業を選ぶ努力をすることが大切であると感じた記者であった。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ