「ヴィンテージマンション」の見つけ方


「ヴィンテージマンション」って知っていますか?

「ヴィンテージマンション」とは単に古いだけでなく、築年数が経過しても高い資産価値を維持し、人を魅了する輝きを放ち続けているマンションを指します。その輝きはどこから来るのか探ってみましょう。

○「ヴィンテージマンションとは?

何と言っても重要な要素は環境に合わせた良質の設計です。時代を切り開く斬新な設計コンセプト、設計コンセプトを感じさせる外観や使いやすい間取り、こだわりの仕様や設備など、細部にわたって念入りに考え抜かれたデザインがポイントです。建物のデザインだけでなく、植栽などのデザインも重要です。コンセプトやデザインされた住まいだけでなく、それらを愛する人々によって築かれていく良質なコミュニティや管理の良さが加わり、魅力を発揮するのだと思います。

また建物内外の維持管理には費用もかかりますし、建物周辺の緑などの量は敷地が広いと有利ですので、規模のメリットが発揮できる大規模マンションが多いのも特徴です。

良いものには住民の愛着がわき、長く住み続けたいと思います。それが維持管理や良質のコミュニティにもつながっていくのでしょう。
○ヴィンテージの定義

「ヴィンテージ」の定義は、なかなか明確にしにくいように思います。また必ずしもまんべんなく定義を満たしていればヴィンテージになるものでもないように感じます。むしろ感覚的に「古きよきものを感じ、どうしても住みたい」と思えば、「ヴィンテージ」に近いと思います。それでもあえてまとめると次のような項目が挙げられます。それらの項目を満たすその結果として、古くても高い資産価値を維持し、人々を魅了しているマンションが「ヴィンテージ」と呼ばれています。

1. 立地に希少性がある(都心の駅近、自然あふれる公園の隣など)
2. 大規模である
3. 斬新なコンセプトのもとに作られていて、住民がそれを理解している
4. 斬新なプランと外観、ハイレベルの仕様と設備
5. 質の高い管理体制
6. 良好なコミュニティが形成されていて、住民が長く居住している
○「ヴィンテージ」といわれているマンション

「ヴィンテージ」と言われているいくつかのマンションを例に、その特徴や魅力の源を探ってみましょう。

同潤会青山アパートメント(現 表参道ヒルズ)……よく知られていて、表通りは店舗などになっていたので、身近に接した方もいらっしゃるでしょう。1926年建設で2003年に解体されました。6,000m2を超える敷地に10棟のアパートが建ち、総戸数138戸でした。当初は特定の職業の人しか入居できなかった高級アパートでしたが、同潤会のアパートメントとしては、中之郷アパートメントとともに最も初期のもので、比較的簡素なつくりです。しかし、木々が成長し、外壁もツタであふれるようになり、古くても人を引き付けるランドマークの役割を長く果たしてきました。

同潤会江戸川アパートメント(現 アトラス江戸川アパートメント)……1934年の建設で、2003年に取り壊されました。何と言っても、そうそうたる文化人が多く居住していたことで有名な伝説のマンションです。131戸の単身者用ワンルームを含めて全260戸あり、中庭を囲んで社交室、食堂、床屋、共同浴場、水洗便所、ラジエータによる暖房、ダストシュート、エレベータといった当時最先端の設備を備えていました。

コープオリンピア……東京オリンピック開催の翌年1965年に竣工した『コープオリンピア』は、原宿駅から至近距離にあり、高級マンションの先駆者的な位置づけにあります。当時の団地イメージの集合住宅と一線を画する斬新な間取りと外観や共用部分は今でも古さを感じさせません。何よりも間取りのコンセプトが斬新で、建築の学生だった私は間取りを入手し、新しい暮らしの提案を勉強しました。

ただし、当初の建築の法規制と比較して厳しくなった現在、建て替えると今より規模を縮小せざるを得ず、建て替えが難航しているようです。ヴィンテージマンションを考える場合は、建築規制が変化していないかの確認も大切です。

深沢ハウス……2004年6月の竣工で、比較的新しいマンションですが、将来のヴィンテージの可能性を持つマンションです。都立大学から徒歩15分と立地は他のヴィンテージマンションと異なりますが、1万3,000m2もの敷地内緑地に加えて、広大な駒沢オリンピック公園に隣接している抜群の環境です。自由が丘や駒沢公園駅も徒歩圏内です。全13棟772住戸の大規模マンションで、全棟免震構造です。シアタールーム、ゲストルーム、サロン、コミュニティコアなどの共用施設が充実し、24時間ガードマンが巡回し、コンシェルジュサービスも充実しています。
○隠れたヴィンテージを探そう

よく知られているヴィンテージマンションはとても高価格で、一般庶民には手に届きにくいものです。中には現在の耐震基準を満たしていないものもあります。いくらヴィンテージといえども、耐震性能が低いマンションで子育てするのは心配でしょう。また築年数が相当古いと、遠からず建て替えになる可能性を考えておかなければならないでしょう。若い購入者の年齢とライフプラン上マッチングしないケースもあります。

若い方は隠れた将来のヴィンテージ候補のマンションを見つけ出す目を養えば、資産価値が維持でき、長く住み続けられるでしょう。なによりも子供にとっては故郷であり続けられます。

最初にヴィンテージかどうかは別として、単純に資産価値の高い物件を見つけましょう。資産価値の高いマンションとは次のような条件があります。「立地条件が魅力的であること」「一定の規模があること」「水準以上の仕様と価格であること」などです。「敷地に余裕があり緑が多い」点も資産価値に影響するでしょう。

その上で、斬新で魅力咳な設計コンセプトに強く惹かれるものがあり、「ずーっと住みたい」「子供の故郷にしたい」などと感じられれば、少なくとも自分にとってヴィンテージになりうるでしょう。一定の資産価値を満たした先は感性に響くものがあるかどうかは大切です。多くの人の心に響けば、先々ヴィンテージになる可能性があるかもしれません。

「高級仕様」「立地条件」「外観の良さ」「豊かな共用部分」「個性的な間取り」「管理体制」「庭園や環境」などいろいろ挙げられはしますが、どれをとってもそれだけではヴィンテージというには十分ではない気がします。

ヴィンテージと言われているマンションの長く輝きを保つものの本質は何なのかを考えると結局は確かな色褪せないコンセプトではないかと思います。そして、そのコンセプトに伴う新しいライフスタイルの提案、それを実現する斬新な間取りの住戸と共用部分、仕様、外観、庭園などに対して、その価値に共感し住み始めた「人」ではないかと思います。当然共感して集まってきた価値を共有している住民は、愛着もって長く住み続け、付加価値がさらに増していくのではないかと思います。

たとえ立地もよく、高級仕様のマンションでも、投資目的の購入が多かったり、住民が頻繁に入れ替わったりするようではヴィンテージにはなり得ないでしょう。

○■著者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

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