全面刷新された新世代ディーゼル。ティグアンTDI 4モーションに積まれたEA288型エンジンのこだわりとは?

clicccar

2018/10/12 17:33


SUVに乗ろうと思ったら、頼もしいパワートレインが欲しいですよね。そんな中、フォルクスワーゲン ティグアンに追加されたディーゼル4WD「TDI 4モーション」は、「ほしいSUVリスト」の上位に食い込む待望の1台ではないでしょうか。

とはいえフォルクスワーゲンのディーゼルときくと、数年前の「騒動」を思い出される方がいるかもしれません。しかしTDI 4モーションに積まれるEA288型エンジンは、その苦い経験をもとにゼロから作り直された新世代ディーゼル。旧世代の汚名を晴らすべく、「これでもか!」というほどの工夫が盛り込まれているので、その中身をご紹介しましょう。

●モジュール思想から生まれた新世代ユニット

EA288型は、フォルクスワーゲンのモジュラー戦略から生まれたエンジンです。旧世代エンジン(EA189型)との共通点はほとんどなく(排気量とボアピッチくらい)、あらゆる点が刷新されています。

本国には1.6リッターと2リッターがありますが、日本に導入されたのは2リッターのほう。鋳鉄ブロックにアルミ合金のシリンダーヘッドを組み合わせ、1968ccの排気量から150ps/34.7kgmというパワー&トルクを生み出します(先行搭載したパサートは190ps/40.8kgm)。燃料の噴射制御を担うのはボッシュ製コモンレール。緻密な噴射マネジメントを行うインテリジェントエンジンで、インジェクターの最大噴射圧は250気圧(2500bar)に達します。

●2系統のEGR

注目すべきは、EGRと呼ばれる排気再循環システムです。ディーゼルエンジンでは、燃焼温度が高くなると窒素酸化物が発生するため、排気ガス(酸素と活性窒素が少ない)の一部を吸気に還流させて、窒素酸化物発生を抑える工夫(排気再循環=EGR)がなされているのですが、EA288ではこのEGRを2系統備えています。ひとつはエキマニ直後から分岐させて吸気経路に繋がる高圧系、もうひとつは触媒通過後の排気ガスをターボのインテークへつないだ低圧系です。これにより窒素酸化物低減はもちろん、アクセルレスポンスを高めたり、排気ガス浄化システムの作動を速める効果も生み出しているのですね。

●AdBlueを用いたSCRシステム

もうひとつの窒素酸化物低減策が、尿素水溶液(AdBlue)を用いた選択触媒還元(SCR)システム。酸化触媒を通って炭化水素と一酸化炭素を除去された排気ガスに尿素水溶液を吹き付け、ガス中に含まれる窒素酸化物を窒素と水に還元する仕組みです。

尿素水溶液は定期的に補充する必要がありますが、ティグアンの場合おおむね1万キロに1回程度ですから、それほど神経質になる必要はありません。EA288型では、このSCRシステムをPM(粒子状物質)吸着装置であるDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)と一体化した点がトピックです。

●可動式ガイドベーン付ターボチャージャー

EA288に組み合わされたターボチャージャーは、排気タービンハウジング内にあるガイドベーンが動いて、排気ガスの通路面積を変化させるタイプです。低回転時は通路面積を狭めて排気流速を高め、過給効率を高めます。いっぽう高回転時は通路面積が広げて通気抵抗を抑制、圧力損失を減らす仕組みです。

●ロングドライブが楽しくなる燃費性能

ここまで紹介してきた排気ガス対策や高効率化が実って、ティグアンTDI 4モーションは欧州のユーロ6と日本のポスト新長期規制をクリア。ガソリン車と変わらない環境性能を達成しました。カタログ燃費は、JC08モードで17.2km/Lですが、筆者が試した東京-北海道のロングドライブでは18km/Lを記録し、無給油で1000km超のドライブが可能でした。

近ごろEVの話題ばかりにぎやかで「ディーゼルはもう終わり」と考える方がいるかもしれませんが、答えはノーです。

フォルクスワーゲン自身もEVに注力していますが、その目標数値は2025年に全販売量の25%とのこと。残る75%は内燃機関が担っていかねばなりません。ハイテクエンジンであるディーゼルの必要性はとうぶん続くのですね。

(文:角田伸幸/写真:平野学、フォルクスワーゲン)

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