TBS宇垣美里アナはマスコミにとって「変な女」「気が強くて干された」

wezzy

2018/10/12 00:15


 10月7日の『サンデージャポン』(TBS系)で流れたVTRで、宇垣美里アナウンサーが結婚願望について質問された一幕が、スポーツ紙をはじめいくつかのネットニュース媒体で記事になっている。番組では、婚約指輪や結婚指輪とも違う手頃な価格の「プロポーズリング」について紹介、宇垣アナは寸劇を演じたうえでディレクターに結婚したいかを聞かれて、「ありますよ。結婚したいです」と回答した。

そのうえで、「今、お相手はいるんですか?」という質問を宇垣アナは「ん?」とはぐらかし、「いるんですか?」「ん?」「いるんですか?」「ん?」というやりとりが三度繰り返された。スタジオでは爆笑問題太田光が「完全にいるね、これは。ライムスターの宇多丸じゃねえか」とボケ、田中裕二が「ラジオで共演してるだけだろ!」とツッコミ。ただこれだけのことなのだが、なぜか毎週『サンジャポ』出演時の様子がニュースになる宇垣美里アナウンサーは人気者ということなのだろう。

この放送とネットニュースについて、宇垣美里アナウンサーと宇多丸が9日のラジオ番組『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)の冒頭でトークした。宇垣アナは「結婚や恋愛について訊ねること」を、どう捉えているかを語ったのである。

そういった類の質問が「すごく苦手」だという宇垣アナは、その理由を「その人のセクシャリティに関することだから」と説明。「だから私は(「ん?」と返すことによって)その質問あんまり好きじゃないよって伝えたかったんですけど」「ポリコレ的にどうなのって毎回思っちゃって」「私はずっと気にしていきたいと思うし、できれば人もそうしたほうが、傷つく人も減るんじゃないかな」と話した。

また、恋人が「いません」と言ったときに、「ウソつけ」あるいは「え~もったいない」といったリアクションがくることにも、「私の選択で今いないだけなのに、なんで~?」といつも疑問なのだという。全くもって正論のオンパレードだ。

宇多丸も宇垣アナのその考えに同調。職場などで世間話として「彼氏/彼女いるの?」「結婚は?」等の話題を振ることについて、「すごくセンシティブだから」やめたほうがいいとし、「相手がいない人」を「かわいそう」と見たり「え、なんで?」と突っ込んできくなどの行為が、人によっては傷つく領域であり、無遠慮にやりがちだとしても気をつけたほうがいいのだと説明した。

宇垣アナは「そういうところに過敏なのかもしれない、私が」とも言い、宇多丸は「宇垣さんが、ご自分が正しいと思うラインを譲る必要もない」と励ました。良いコンビだ。一方で、宇垣アナのように“ポリティカルコレクトネス”を自分の内側に取り込んでアップデートしている人が、変わり者扱いされるのが、彼女の働くテレビという業界である。

宇垣美里アナの価値観と「テレビ」「ネットニュース」「週刊誌」の壁
 これまでも宇垣アナの発言は逐一、いろいろな記事になって広まってきた。“ぶりっ子キャラ”“闇キャラ”等とキャラ付けされているが、彼女の発言におかしなところはほとんど見当たらない。たとえば「一人で食事をしたい」という感覚は多くの人が共感するものだと思うが、彼女がそう言うと“心の闇”だとされる。

極めつきは『サンジャポ』での、この発言だろう。

「やっぱり、その人それぞれに地獄があると思うんですよ。私には私の地獄があるし、あなたにはあなたの人生の地獄があるのだから。他の人には幸せなことしかないなんて、そういうふうに思わないでよって思いますね」

隣の芝生は青い、と昔から言うように、全くその通りなのだが、なぜか彼女の真意は伝わらず、ねじまげられて「変な女」としての宇垣像がつくりあげられているように思う。

おそらく、特にバラエティで女性アナウンサーという仕事をしていくにあたっては、「こういう発言が求められているのだろうな」と瞬時に察知して、予定調和な言葉を提供するのが当たり前だったのだろう。番組スタッフや出演者の中で“えらい人”の期待に沿う役割を演じる。アナウンサーに限らず、男性芸人もアイドルもそうかもしれない。

けれど宇垣アナの言葉は、そうした“えらい人”には理解できないのではないか。「結婚しないの?」という質問がなぜ良くないなのかも、「セクシャリティに関わることだから」の説明をしたとしてもわからないのではないだろうか。「だって宇垣ちゃんはそういう人(性的マイノリティ)じゃないでしょ?」とキョトンとするだろうし、はたまた「え、宇垣ちゃんソッチの人なの?」と色めきたつかもしれないし、挙げ句、「配慮ばっかりで窮屈な世の中だな~」と思うかもしれない。

あくまでもマジョリティ側の「普通」だけを見て、「笑い」を作ろうとすると、そうなる。宇垣アナのように広い視野で発言することを「変な人」扱いしてしまう。余談だが、古市憲寿さんも似たような扱いを受けているように思う。

正論で戦おうとしても「気の強い女」扱いされる
 また、自分の意見を言う宇垣アナは、「変な人」扱いだけでなく、「気の強い女(=気性の荒い女)」扱いもされている。それによって彼女が「干された」、つまり閑職に追いやられたと見る向きさえある。代表的なのは、ジャニーズタレントとの交際を報じられてから、出演していた朝の帯番組を降板することになった際、「どうして私が降板しなきゃならないんですか!」とディレクターに詰め寄り紙コップのコーヒーを投げつけた……というエピソードだ。これは週刊誌が報じたものだが、多くのネットニュースが引用している。

もし仮にこのエピソードが事実だとしても、私には彼女が「気性の荒い女」だとは思えない。自分のプライベートの恋愛事情を勝手に広められて、相手のファンにはバッシングされて、そのうえ仕事も減らされるなんて、理不尽極まりない。一体何の罰だというのだろう。「どうして私が降板しなきゃならないんですか!」と詰め寄るのは当たり前だと思う。それともジャニーズタレントと恋愛をしたうえスッパ抜かれた自分が悪い、会社に迷惑をかけて申し訳ない……なんて謝罪しなければならないのか。どう考えてもおかしい。

古くから続くテレビやスポーツ新聞、週刊誌などのマスコミは、疑問に思わないのだろうか。もちろん組織として大きいがゆえに、仕方のない側面もあるのかもしれない。決定権を持つ人物が「宇垣ちゃんは変わり者だなあ」と言うような人だったら、それは仕方ないのだろう。

けれど冷静に考えて見てほしい。宇垣アナが「変な」ことを言っていたことはあるんだろうか。

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