「40歳定年」を行ったゴールの果てに見えたものとは:後編(仕事・お金・趣味・価値観)


前回の記事、「40歳定年」を行ったゴールの果てに見えたものとはの後編です。

前編は「家族」「健康」「社会貢献」という人生の構成要素に関して、どんな変化や学びがあったのか述べましたが、今回は「仕事」「お金」「趣味」「価値観」について述べたいと思います。

1. 仕事


私は9カ月の「40歳定年」の間に、自分自身の「仕事観」について整理しました。

その結果、私自身が仕事選びで大切にしているポイントは「勤務時間帯と勤務場所」の自由度の高さだということに気づきました。

今は子どもが「3歳と0歳」で小さいので、家族最優先のスケジュールが組める、「いつでも、どこでも働ける」という条件を非常に魅力的に感じています。

「40歳定年」のときは無職の状態だったので、ある程度ゼロベースで「理想」的な仕事環境について考えることができたのかなと思います。仕事を辞めていなければ、「現実」的な発想に縛られていたかもしれません。

ということで、「40歳定年」を終えた今、どういう仕事を始めたかというと、自分自身のプロフィールにも書いている人生のキーワード「旅・教育・幸せ」に紐付いたプロジェクトをいくつか掛け持ちしています。

たとえば、「」であれば、「海外ツアー企画や同行」。「教育」であれば、「アフリカの教育事業の立ち上げ」や「フィジーの語学学校事業のアドバイザー」。「幸せ」であれば、「日本企業のCHO(Chief Happiness Officer : 最高幸福責任者)として、従業員幸福度を高める」。
CHO
CHOの名刺
Photo: 永崎裕麻

また、仕事のスタイルも「1つの会社のみに属し、そのオフィスで仕事をする」というスタイルではなく、「複数のプロジェクトを、いろいろな場所を転々としながら、自由な時間帯にする」スタイルとなりました。

収入は「40歳定年」を行う以前、1つの会社に所属していたときと比べて下がりましたが、自分自身が求めていた「自由度」「やりがい」は大きく高まりました。

2. お金


この9カ月間は仕事をせずに、フィジーと日本で自由に暮らしていたため、貯金をだいぶ食いつぶしました。どんぶり勘定ですが、200万円くらいを切り崩したかと思います。

貯金がどんどん消えていく状況でしたが、意外と焦りや不安はありませんでした。そもそも本当に厳しくなったら「40歳定年」を止めればいいだけの話(選択の問題)ですし、この9カ月間、非常に充実していたからだと思います。「かけがえのない時間」への対価としてはどうってことないという感じでしょうか。
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陽気なフィジーのスタッフたち
Photo: 永崎裕麻

3. 趣味


「趣味」とはそもそも何でしょうか?

大辞林(第三版)によれば、「専門としてではなく、楽しみにすること」。デジタル大辞泉によれば、「仕事・職業としてではなく、個人が楽しみとしてしている事柄」。つまり辞書によると、「趣味」は、専門や仕事、職業であってはならないようです。

私としては、その解釈はどうも腑に落ちず、以下のように整理するとしっくりくるようになりました。

趣味はざっくり4種類あり、【】内は各カテゴリーに該当する私の趣味です。
  1. お金が出ていく趣味 【テニス、ダイビング、買い物、読書など】
  2. お金が入ってくる趣味 【講演、執筆、コーチングなど】
  3. お金が出入りする趣味 【競馬、投資、メルカリなど】
  4. お金が出入りしない趣味 【オンライン将棋、断捨離、親とLINE電話】

「2」が「仕事」となるのではと思います。

人生は「趣味(好きなこと)」をやるためにあり、お金が入ってくる趣味が「仕事」と命名されている。そんな整理が私の中ではスッキリします。

よく「仕事と趣味の境目がなくなる」と言われますが、「40歳定年」の期間に「趣味のカテゴリーの1つが仕事」という感覚に至れたことは、学びだったように思います。
子育て本
お酒を飲みながら、育児本を読むのが新しい趣味になりました。
Photo: 永崎裕麻

4. 価値観


価値観とは「何を優先して生きるか」ということ。「40歳定年」を経て、優先する「対象」が変わったというよりも、「主語」が変わりました。

これまでは、「私の価値観」を強く意識していましたが、私を含めた「家族の価値観」へ意識がシフトしたように思えます。

この9カ月は、「家族というコミュニティーにとって、何を優先すべきで、何が幸せなのか」を再定義する期間でした。

家族内で豊かな時間を担保するために、その構成要員である私や妻がどう動けばいいのか、夫婦間での最適な役割分担は何か、家族にとって幸せな「働き方改革」とは何なのか、ひとつひとつを見直していきました。結果として、「家族の価値観」の形がおぼろげながら見えてきたようです。

家族ごとに「価値観・幸福観」は異なりますし、時とともに変化していくものなので、私たちなりの「価値観・幸福観」を見失わず、変化に対応していきたいと思います。

「40歳定年」をしなくても日常で近づく方法


「40歳定年」に限りませんが、人生100年時代、ライフキャリアに向き合う時間をまとめて確保する期間が数カ月あってもいいんじゃないかと思います。貯金は底を突きつつありますが、その価値は十二分にあったと満足しています。

とはいえ、「数カ月も仕事を離れるなんてとんでもない」と、まとまった時間が取れない方も多いのではないでしょうか。そんな方には「スケジュール帳のホワイトニング」をオススメします。

こんな経験はありませんか?

仕事帰りの夕方、たまたま寄った本屋で面白そうな本を発見。時間がある週末に読もうと買ってみます。しかし週末になると、読む気はすでに失せています。「他にやりたいことがあるけど、せっかくお金を払って買ったんだし、読まねば」と、なかば義務感で、心ここに在らずの状態で読書することに。

なぜこんなことが起きるのかというと、当たり前ですが、「やりたい!」というモチベーションは、その時々で、あがったりさがったりと変化するからです。

じゃあ、どうすればいいのでしょうか。

「モチベーションが高いタイミングで即実行に移せるよう時間を空けておく」こと。「この本を読みたい!」と思って買った直後に、読み始める。これがモチベーションを最大限有効に活用する方法です。

スケジュール帳に書き込まれる膨大な予定の数々。その密度を極限まで高めるタイム・マネジメントの横行により、「やりたいと思う瞬間」と「実行する瞬間」は頻繁にズレる結果に。だから実行するタイミングでは、すでにモチベーションが低下した状態ということも頻繁にあります。

このようなタイム・マネジメントだと、「義務感」を背負いながら実行する状態が続いていきます。ますますモチベーションが落ち、私たちはモチベーションを維持するためにはどうすればいいかと悩んだり、ときには自分を責めたりします。

モチベーションは「維持」するものではない


モチベーションは維持するのではなく、高くなったタイミングで実行できる環境を作っておくほうが自然の摂理にかなっているような気がします。つまり、「思い立ったが吉日」ですね。

昔はスケジュール帳を真っ黒にすることで、なにか充実感のようなものを感じていましたが、いまは「スケジュール帳のホワイトニング」が人生を謳歌する秘訣だと思っています。

その日起きてから「やりたい」と思ったことを、当日中にやれるよう、「予定はなるべくスカスカに。そういう日を少しでも多く取っておくと、「40歳定年」のようにまとまった期間を確保できなくても、新しい気づきがたくさん生まれます。

複雑化した日常をシンプルにリセットすることで、ライフスタイルをアップデートできるのではないでしょうか。

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永崎 裕麻(ながさき・ゆうま)Facebook
fiji_happiness 11.jpg「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住し、現在12年目。 100カ国を旅した経験を活かし、内閣府国際交流事業「世界青年の船」「東南アジア青年の船」に日本ナショナル・リーダーや教育ファシリテーターとして参画したり、某企業のCHO(Chief Happiness Officer/最高幸福責任者)を務めたり、アフリカやフィジーで教育事業をしたりと、多拠点生活をエンジョイ中。 大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。


Photo: 永崎裕麻

Image: Dejan Stanic Micko / Shutterstock.com

Reference: COLORS

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