自動車整備に使うスキャンツールって? 整備技能を競う全国大会優勝者に聞く

Excite Bit コネタ

2018/10/9 18:30



従来、車の故障整備については整備士の経験と知識に頼られてきたが、近年の車の高度化に伴い、スキャンツールと呼ばれる診断機が使われるようになってきているという。「日本一の整備士」2人にスキャンツールの最新事情を聞いた。

自動車整備のスキャンツールって?


スキャンツールについて教えてくれたのは、第21回全日本自動車整備技能競技大会で全国優勝を勝ち取った有限会社塩田モータース商会の塩田雄基さんと須永圭則さんだ。スキャンツールとはどのようなものかを聞くと、「スキャンツールは、効率的に自動車の故障を見つけることができるツールです。使いこなせれば、飛躍的に整備が効率化します」という。

スキャンツールは、自動車の装置が正常に作動しているかどうかを自動車に接続して診断する「外部故障診断装置」のこと。この装置を用いて故障を発見し、必要な整備を行うことができる。使用するとさまざまな情報が「見える」ようになるが、主に次のメリットがあるそうだ。

1.故障部分の診断時間の短縮
2.的確な部品の交換

「昔は音を聞き、挙動を確認して初めて分かった故障が、スキャンツールを使えばスキャンして出てくる診断データに基づいて点検を進めていけるようになりました。ただし『現象の確認』『事象の確認』は必ず行います。
お客様がおっしゃっている現象が再現されるのかを確認し、再現すればスキャンツールはとても有効です。スキャンツールが無かったときは、職人の経験と知識にゆだねられていました。そのためある意味、無駄打ちの点検も多くありましたが、スキャンツールならピンポイントで見つけることができる場合もありますので、その無駄がなくなりました」

どこが故障しているか詳細な特定が可能に
またさらに詳細なDTCを持つコンピューターシステム搭載の車種も出ているという。DTCとは「ダイアグノーシス・トラブル・コード」のことで自己診断結果の不具合系統をアルファベットと数字でコード化したものだ。ISOやSAEがそれに当たる。

「最近では車に搭載されているコンピューターシステムでも故障が分かるようになっています。ハイブリット車やレクサスガソリン車などは、SAEコードの先に『詳細コード』が付いてきます。例えば、番地で言えば枝番のようなもの、いままでは『東京都足立区』という大まかなエリア検索をしていたところ、詳細コードにより『東京都足立区○○丁〇番地』までエリアを特定できるようになっています。つまり、トラブルがどこで起きているのか探し当てることができるのです。その方式が、新しい車に随時搭載されてきています」

このスキャンツールは、整備業界では普及しているのだろうか?

「例えばスキャンツールにランプが点いている場合、その意味や根拠を確認することができる整備士は増えました。とはいえ、さらに一歩進んだスキャンツールの使い方ができているかというとまだまだという場合もあるかもしれません。それだけ細部まで確認できるツールであるということでもあります」

競技大会で全国優勝した秘訣は?
ところで、整備技術や接客技術を競い合う大会で「日本一の整備士」となった2人に聞いてみたいことがあった。この戦いに勝つ秘訣はどこにある?

「秘訣は『コミュニケーション』と『練習』です。接客はコミュニケーション力が問われます。練習については、整備はまず高い技術が必要だということです。栃木県は21回の大会のうち4回優勝しています。勉強会を実施する栃木県自動車整備振興会の協力のもと、過去に栃木県から全国優勝したより3組のチームの方より熱心な指導をいただきました。また、栃木の地元ディーラー様より、競技大会で使用する車種と同じ車種2台を練習車としてご提供いただきました。栃木県は日産、ホンダの自動車製造工場があり『自動車王国』。そもそも自動車がないと生活できない地域です。これらの高度な練習のできる土壌が整っているというのが大きいと思っています」

しかし、近年は整備士を希望する学生が減少し、若手が少ないことが課題となっているという。須永さんは40歳、塩田さんは31歳だが、40代であっても若手と言われる世界なのだそうだ。車両の台数は昔も今も変わらないのに、整備士を希望する人が増えないことを危惧していた。

自動車の故障などを確認できるスキャンツールの普及により便利になりつつあるが、それを使いこなす人材が求められているようだ。

【取材協力】
有限会社 塩田モータース商会

(石原亜香利)

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