「まんぷく」7話。萬平(長谷川博己)が主人公に見える

エキレビ!

2018/10/9 08:30

第2週「…会いません、今は」 第7回10月8日(月)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎


連続テレビ小説 まんぷく Part1

7話のあらすじ
昭和16年12月。日本はアメリカ、イギリスを相手に戦争をはじめた。この戦争がどんなことになるかまだほとんどの日本人は知らない。
立花萬平(長谷川博己)にいきなり「結婚を前提につきあってください」と告白された今井福子(安藤サクラ)は「はい わかりました」とあっさり返事する。

猫の声が朝ドラらしい
朝ドラが古き良きものでいいか、新しい挑戦をしたほうがいいかはさておき、「まんぷく」が古き良き朝ドラらしいと思うのはSEである。
「まんぷく」では家の場面で猫の声がする。
昭和の日本家屋が舞台の朝ドラでは野良猫のSE がよく入るのだ。木造、引き戸など音漏れしやすい構造だから。そのため「立ち聞き」も頻発する。
舞台が現代になると、欧米化された密閉された住居になっていくため猫の声は聞こえなくなっていく。
今井家では猫の声がして、ほっこりする。

押して押して押しまくれや
「あ~どうしてあんなこと言ってしまったんだ」
大阪東洋ホテルでいきなり「つきあっていただけないでしょうか」と福子に告白したものの恥ずかしくなって「今のは忘れてください」と逃げ帰り、往来で後悔を叫ぶ萬平。
仕事が身に入らず、おでんの屋台でひとり反省していると、世良(桐谷健太)がやって来た。
「縁があるんやなあ」(6話では萬平が福子と縁があると言ってる)と言いながら、ぐいぐいと一緒に組まないかと萬平に迫る。


恋に関して「押して押して押しまくれや」(カメラも合わせてグイグイ押す)とアドバイスをもらった萬平は、再び、大阪東洋ホテルを訪ねて、社員専用出入り口で待ち伏せし、「僕とつきあってください。結婚を前提に」と告白。

コートのポケットに手をつっこみぬぼーっと立っている姿は、ともすればやばい人。
なぜいつも人前をはばからず大事な告白をするのかと常識を疑うものの、彼はいい人だが空気の読めない不器用な人であることは十分描かれている。萬平さんは、清潔感と知性が変人っぽさを軽減する、お得なキャラだ。

仕事を頑張らないといけない時になんで急に恋に夢中になっているのかということも、いまいち自分に自信が持てない萬平にとって福子を手に入れることが自信につながるのだろうとは想像に難くない。

告白場面で、出勤途中の保科恵(橋本マナミ)が“立ち聞き”しているところがご愛嬌。

あと、ロビーでの告白の時、野呂(藤山扇治郎)が萬平と福子が「ラーメン」を一緒に食べたと聞きショックを受けているところも面白い。野呂は三年間、福子に缶詰を貢いでいたが、缶詰よりもラーメンのほうが上手感を覚えたのであろう。押しが弱かった。

家族いろいろ
2週目の最初は、萬平の描写に力が入っている印象で、主役の福子はちょっとおとなしめ。
だが、福子の家族のことを描くことは忘れない。
母・鈴(松坂慶子)は「武士の娘よ」が口癖の、ネズミ一匹に大騒ぎの生活力のない女。でも、なんだか憎めない。
次女・克子(松下奈緒)は、売れない画家(要潤)に嫁いで子だくさん。でも夫の家に援助してもらっているらしく、生活は切迫していない(けっこう広い庭付きの家に住んでる)。
長女・咲(内田有紀)は、父の死後、今井家を支え、ようやく三年前に嫁いだが、最近、病に臥せっている。
夫(大谷亮平)は真面目で優しい人。

ここまで見て来て、設定も構成もよくできているのだが、褒めてばかりもなんなので、少しだけ。
福田靖の筆は男性を書くほうが乗る気がする(口述筆記らしいので筆ではなく口か)。
代表作「HERO」「海猿」「ガリレオ」「龍馬伝」なども男主体の話。女性が主役のドラマは「ウエディングプランナー SWEET デリバリー」(男女W主役もの)、「キッチン・ウォーズ」「上海タイフーン」などあるが少ないしヒット率も低い。それが今回、女性が主役のドラマの最たるもの朝ドラへの挑戦にあたり、やっぱり男性が生き生きして、女性の設定や描写は典型の域を今のところ出ていない印象だ。

ただ「HERO」や「ガリレオ」は、木村拓哉福山雅治演じる主人公の活躍を、松たか子、北川景子、柴咲コウ演じるパートナーが鮮やかにサポートする完璧な構造で安心して見ることができたので、今回、その方向性になることが予想できる。
女性のドラマだから女性が主体になるのではなく、素敵な男性主体で女性人気を得るある種の必勝パターンである。これぞ内助の功。支える女の俳優がさりげなく巧くないと成立しないので、安藤サクラは今後、長谷川博己をみごとに支えて行く使命が課せられていると見た。

男性主人公の朝ドラも「マッサン」はじめいくつかあるので、「まんぷく」も男性主人公としても良かったのではないかと思ったりもするが、安藤サクラのことも応援したい。
奥手ながら萬平のことをまんざらでもなく思いはじめる感情の動きや、克子の子供(学)の面倒を頼まれ「え~」と焦る言い方など、じつに達者だ。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

「まんぷく」の大阪の風景のなかに映っている「大急百貨店」が出てくる朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月~土、朝7時15分から再放送中。  
ちなみに「べっぴんさん」で大急が話に絡んでくるのは49話あたりから。
「べっぴんさん」第7話レビューはコチラ

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