佐々木蔵之介主演! 水木しげる原案の舞台『ゲゲゲの先生へ』ゲネプロレポート

SPICE

2018/10/9 12:33


舞台『ゲゲゲの先生へ』が2018年10月8日に東京芸術劇場プレイハウスで開幕した。佐々木蔵之介、松雪泰子、白石加代子ら個性豊かな実力派キャストが、前川知大の脚本・演出のもと、水木しげる作品への大胆なオマージュである本作品に挑む。初日を前にした7日に行われた総通し舞台稽古(ゲネプロ)の様子を、出演者らのコメントとともにお伝えする。

物語の舞台は、子どもが生まれなくなって人口が激減した平成60年の日本。とある廃村に、根津という男(佐々木蔵之介)が一人で暮らしていた。根津は半分人間、半分妖怪の半妖怪。かつて村人がいた頃は、彼の周りに妖怪の姿があったが、村人が減り、子どもが消えていくのと並行して、妖怪たちも姿を消していた。そんなある日、都市から来た若い男女が現れる。根津と2人との会話を通じて、なぜ根津が半妖怪になったのか……次第に明かされていく。

本作品は、「イキウメ」を拠点に劇作家・演出家として活躍している前川知大が脚本、演出を手掛ける新作。2015年に亡くなった水木しげるの「世界観」をもとに、いくつかの原作短編を織り込んでいるもので、ある一つの作品を舞台化したものでも、水木の評伝でもない。膨大な作品群とその登場人物、エッセイ、インタビューで語られた言葉・エピソードを読み解いて編み上げられた新しい物語となっている。
左から 浜田信也、(中央・木の裏)大窪人衛、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀
左から 浜田信也、(中央・木の裏)大窪人衛、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀

脚本・演出の前川が「今回集まっていただけたキャストの方々は、人間、妖怪、半妖怪と担う役割はそれぞれですが、『妖怪は自然に、人間はグロテスクに』という水木作品のテイストに基づいた演技や表現の住み分けを、両者の狭間にる半妖怪の根津=佐々木蔵之介さんを始めとする11人全員が見事に果たしてくれています。水木しげる作品には、幼い頃から当たり前のように接していて大きな影響を受けています。この作品が恩返しになってくれたら幸いです」と語るように、作品全編を通じて、水木しげるに対するリスペクトの思いや作品への愛が感じられ、社会への風刺も随所に散りばめられていた。

主人公の根津を演じるのは佐々木蔵之介。4年ぶり5回目の前川とのタッグとなる。佐々木は「日々の稽古を踏まえて戯曲ごと更新していくような作品作りを楽しみました。水木先生の作品・世界観を丸ごと演劇に取り込む、という試みは、とても面白いです。前川さんの水木さんへの惚れ込みようと、嬉々として語ってくれるその熱が日々、俳優たちにも伝染ってきて、僕自身も水木さんの漫画だけでなくその破天荒なエピソードひとつひとつに心惹かれて、どんどん好きになっています」とコメントしている。
左から 松雪泰子、佐々木蔵之介、白石加代子 撮影:田中亜紀
左から 松雪泰子、佐々木蔵之介、白石加代子 撮影:田中亜紀

さらに今回の役どころと作品については「今回演じる根津は、水木さんもとても愛着を持っていたキャラクター・ねずみ男と、水木さんご自身を重ねて作られた登場人物。怠け者でずる賢く、頭の中は金の事ばかり……と、妖怪なのにとっても人間臭い役。楽しくて、懐かしくて、ちょっと寂しい、水木さんらしい作品になったと思います。どんな『目に見えないモノたち』が現れるのか、その気配をぜひ劇場で感じてください」。

約1時間50分の舞台でほぼ舞台上に出たままの佐々木だが、とても軽妙な演技で観客の視線を最初から最後まで離さなかった。確かに不思議な部分もあるけれど、全体的に温かみがあって愛おしい「半妖怪」を見事に演じきったように思う。
左から 松雪泰子、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀
左から 松雪泰子、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀

妖怪を演じる松雪泰子は「前川さんの稽古は、パティシエが材料を何層にも何層にも重ね、まるでミルフィーユを作っているみたいだなあと感じていました。毎日毎日、違う味わいの層が重なっていく。重なっていく度に、驚かされることが多く、楽しんでいました。私の中の前川さんは、水木作品のパティシエ。出来上がった作品が、極上の味わいになるように、これから私たちがしっかりと、水木作品の質感を体現していきたいと思います」とコメントしている。

また、同じく妖怪を演じる白石加代子は「軽い日常的な会話で紡がれながら、内実は奥深い戯曲。自分が今まで取り組んだことのないタイプに感じます。ブラック・コメディ、怪談、SF。色々な要素が、幾つもの層になっているようで、場面によって見え方が違う。平易な日常と地続きのその裏側、特に淡い境目のところを楽しくお客様に提示するところが、前川作品の魅力だと思っています」と話している。
左から 水上京香、水田航生、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀
左から 水上京香、水田航生、佐々木蔵之介 撮影:田中亜紀

生で演奏される音や、シンプルながら奥行きのある舞台セット、暗転(暗闇)の使い方など、想像力を大いに刺激してくれる作品でもある。東京公演は10月21日まで。以降、松本、大阪、豊橋、宮崎、北九州、新潟を巡る。お見逃しなく!

取材・文=五月女菜穂

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