A12プロセッサーは本当にスゴい? iPhone XSを2週間使い倒してベンチマーク総括

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Photo: Alex Cranz(Gizmodo)

結局、これは買いなのか?

今年も、秋の新作iPhone祭は盛りあがりましたね。やっぱり新モデルが出ると、たとえスマホがまだ使えたとしても、気になってしまうものです。

今回の新iPhoneは、手に入れるべき価値があるのでしょうか? スピードやバッテリー持ちという面は、どこまでA12プロセッサーによって進化したんでしょう。実際に米GizmodoのAlex Cranz記者が2週間ほどiPhone XSを使ってみて、ベンチマーク比較を交えつつ紹介してくれました。


ここ2週間ほど、iPhone XSを使ってみました。不満とか不具合が出なかったわけではありませんけど、これまでのiPhoneのなかでベストなモデルであることに変わりはなさそうです。今回は、これまで2週間にわたってテストしてきたiPhoneのプロセッサーとバッテリーについて、検証していくことにしましょう。

iOS製品のためのA12プロセッサー


Apple(アップル)が開催したiPhone発表会では、プロセッサーをたたえるスピーチが延々と終わらない錯覚に陥るような内容でしたよね。ティム・クックCEOは、新しいプロセッサーがどれほどパワフルかについて、7nmプロセスで製造されたほぼ最初の製品になる、と力説していました。とはいえ、実際のところどういう意味なんでしょう?

AppleがA12プロセッサーについて行なった発表、つまり、非常に高速でバッテリーの持ちがよく、より機械学習に適しているという主張が、実際にはどうなのか検証するべく、iPhone XSでテストを重ねました。その結果、A12のほうが優れているかについて、答えが簡単でないことがわかったんです。

そもそもiOSを搭載するデバイスは、同じ会社がプロセッサーの設計からソフトウェアやその周辺の開発まで手がけているという意味で、非常に特殊です。こんなふうに設計されたデバイスは、iPhoneをおいてほかにありませんよね。すべてが手際よく動作して、基本的にAppleのプロセッサーは、その性能以上のリソースを要求するようなソフトウェアでも動かさない限りは、常にフル稼働できるようになっています。

A11からの着実な進歩


ですから、iPhone 8/8 Plus/Xに採用されているA11プロセッサーでも、使用感という意味ではほとんどiPhone XS/XS Max/XRのA12プロセッサーと変わりないように思えるかもしれません。iPhoneでトンでもない演算を要求するアプリなんて、ほとんどの人は使っていないですし、違いはなかなか感じづらいところです。

でも、当然ながらやはり差は存在します。わずかな改良点でもすばらしいことなんです。たとえば、Face ID。Face IDが好きかどうかに関係なく、いまやiPhoneのロック解除としては将来的なスマホのスタンダードとして定着しつつあります。ここでものをいうのは、どれだけ迅速にロック解除ができるかどうか。

事実、iPhone XSは明らかに、iPhone Xよりもすばやくロック解除することができます。ふたつのiPhoneを並べて、どちらがより速くロック解除できるかを動画で比較検証してみても、その差は明らかです。80ミリ秒は違うんじゃないでしょうか。もちろんこの進歩はすべてプロセッサーの違いによるものだけではないですが、たとえ僅差でも、大きな違いにつながっていくってことです。

A12に適応するアプリがまだ揃っていないのが現状


残念ながら、ベンチマークのために集中的なタスクをこなしながら比較しようとしたんですが、まだ多くのアプリが新プロセッサーの良さを十分に引き出す設計にはなっていません。だから、違いもそこまで体感できません。

ところで、モバイルゲームの「PUBG」はグラフィックスを自由に調節できます。Gamebenchのスコア計測で、このグラフィックスを設定を最大にし、iPhone X/iPhone XS/Samsung(サムスン)のGalaxy Note 9で比較してみました。Gamebenchは、macOSでもWindowsでも使うことができ、毎秒のフレームレンダリングやGPUへの負荷からスマートフォンのパフォーマンスを測定することができます。A12プロセッサーには、グラフィックス処理性能も統合されているんですよね。

その結果、iPhone Xは、毎秒41フレームレートでのゲームプレイができ、Galaxy Note 9は毎秒40フレームレート、iPhone XSでは毎秒39フレームレートでした。さらに大きく差がついたのはGPUへの負荷で、iPhone Xは52%、Galaxy Note 9は58%の負荷がかかっていたのに対して、iPhone XSではわずか21.65%しか負荷がかかりませんでした。

つまり、iPhone XSはパワーに余裕があって、開発者がチップの性能に合わせ他アプリを投入し始めたら、さらに多くのものを引き出すことができるってことです。

Qualcomm系のチップにも快勝


モバイルチップでのタスク処理を一連にわたって総合的に測定するGeekbenchのテストでは、A12が、A11にもAndroidで活躍しているQualcommのSnapdragon 835および845にも圧勝しています! Geekbench 4のマルチコアベンチマークで、iPhone XSはスコアが11360、iPhone XS Maxは11555を叩き出しました。いっぽうGalaxy Note 9のSnapdragon 845は9012、iPhone XのA11は10362止まりです。Computeベンチマークテストでも、iPhone XSとXS Maxがいずれも2万を突破したのに対し、iPhone Xは16110、Galaxy Note 9は14419となっています。

A12プロセッサーが採用されたスマートフォンは、きっとこれまでのどのスマホよりも高性能なのかもしれません。とはいえ、Geekbenchのような総合的なベンチマーク測定でのスコアはあくまで数字上のものであり、実際にスマートフォンを使って違いがわかるほどのものではないのかもしれません。

バッテリーテスト


バッテリー寿命については、プロセッサーよりも差が明確です。テストでは、輝度を200ニットに設定し、通信機能や通知はすべてオフにしながら、ひたすらWi-Fi接続で動画をストリーミング再生をしてみました。すると、先ほどの理論どおりの結果が。

A11プロセッサーを採用したiPhone Xには、2716mAhのバッテリーが装備されていますが、このテストで9時間56分までバッテリーが持ちました。いっぽうA12プロセッサーが採用されたiPhone XSでは、2658mAhのバッテリーで11時間11分まで持っています。より大きい3174mAhのバッテリーを装備したiPhone XS Maxでは、13時間7分までバッテリーが持ちました。

Appleは、A12プロセッサーがほぼ初めて7nmプロセスで製造されたコンシューマーチップだと紹介しています。A11プロセッサーおよびQualcommのSnapdragon 845プロセッサーは、いずれも10nmプロセスで製造されており、Intel製の多くの第8世代モバイルプロセッサーもやはりまだ10nmプロセスでの製造です。

この製造プロセスの数字が小さければ小さいほど、理論的にはチップの処理性能が高速になります。情報の伝達に要する距離が縮まっていくんです。

高速処理性能は、多くのモバイルプロセッサーにおいて、バッテリー寿命に関係してきます。Intelが一般に周知させてきたように、チップが要求する電力量が同じでも、もし高速処理が完了すれば、その分はやくアイドル状態に戻って、少ない電力消費量で済むことになりますよね。

iPhone XSのバッテリーサイズは、iPhone Xよりも小さくなったのに、よりバッテリーの持ちは良くなっています。 それは、A12の処理があらゆる分野でA11よりも効率的であるという理論になるでしょう。だから、先のPUBGを使ったベンチマークでは、A12でもA11でもフレームレートの数字は変わらないのに、プロセッサーのパワーをどれだけ要求したのかという負荷の面では差がついたというわけです。

参考までに、Galaxy Note 9は、Snapdragon 845プロセッサーに4000mAhのバッテリーを備えています。こちらでは、先ほどのテストで、14時間11分までバッテリーが持ちました。

やっぱり適応するアプリがまだ少ない


あくまでも私の感覚的な経験ですけど、iPhone XSを午前5時から午後5時まで、一般的なユーザーよりもヘビーな使い方で使い続けても、10%くらいバッテリーが残ってくれます。この時点から機内モードに設定し、友人と食事や飲みに行った帰り道にも、バッテリーが死んでしまわないように気をつけてくれます。iPhone Xもやや大きいバッテリーを内蔵していますが、やはり同じくらいの残量という感覚です。

なお、ここまで紹介したテスト結果は、A12プロセッサーによって、バッテリー寿命が向上したという内容ですけど、ほかのバッテリーテストを参考にすると、それほど好結果にはなっていません。動画ストリーミングでの計測というのは、スマートフォン利用の一面を調べたにすぎず、実際に1日どんなふうにスマホを使うのか、正確にユーザーを模して調べられるテストなどというのは存在しないでしょうからね。

Tom’s Guideには、輝度を150ニットに設定し、LTE接続でインターネットを見続けるバッテリーテストの結果が出ていますが、こちらは散々な内容でした…。

ただし、ここまで3例のうち、ふたつでバッテリー寿命が改善されたという結果は、そんなに悪いものではないでしょう。バッテリー性能の正確な測定には、複数のテストを何度も実施することが必要だと、多くのCPU設計に詳しい人たちは主張します。しかしながら、ここまでのテスト結果だけでも、iPhone Xより、ほんの少しですが、バッテリーの持ちはよくなったことが十分に示されているでしょうね。

A12プロセッサーの描く未来


A12プロセッサーは、Geekbench、WebXPRT、Gamebenchなどなどのベンチマークテスト、Face IDを使った比較で、いずれもすばらしい成績を出しています。小さくなったバッテリーなのに、バッテリー寿命が向上したことを合わせて考えても、A12の価値は明らかでしょう。とはいえ、日々の暮らしのなかでは、なにを意味するんでしょうか? 現時点では、ほとんど意味がないかも。

Appleは、これまでのプロセッサーと比べ、A12が最大の威力を発揮するのは機械学習の分野だと説明しています。この分野では、A12の処理速度がA11の9倍にまで向上するんだとか! とはいうものの、現時点ではARのヘビーユーザーでもない限り、この分野でA12の高速処理を体感できるアプリは、ほとんどまだ出そろっていません。実のところ、ボク自身は、カメラアプリでのボケ効果やスマートHDRでの写真の最適化くらいしかA12の恩恵にあずかっていないように感じます。Appleはこのふたつについて、A12の演算能力が必須であり、いままでのCPUでは不可能だと語ってきました。

自分の撮った写真がブレまくらないようになり、そして、バッテリー寿命が向上したということを除いては、A12のよさを実感できることって、いまはあまりないでしょう。高速なプロセッサーになったからといって、急いで新しいiPhoneに飛びつく必要はないのだと思います。Appleは、これからのiPhoneは長く使えると強調していますから、賢い買い物にはなるでしょうけど、それだけのためにわざわざiPhoneを買い替えなくてもよいのではないでしょうか…。

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Source: Tom’s Guide

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